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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
欠けた翼
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二人の気持ち



「そうだ、この炎で治せるんじゃないの!? この……炎……」



 ならば、この炎で治療できるのではないか。先程焼けたユメの脚がこの炎により治るのを、ちゃんと見ていた。これがユメの力によるものなら、自分で自分を治療できるのだろう。



 その可能性に気付き、ユメの体の一部を包む炎を見る。すると、その炎は何だが、冷えてしまったオルテリアの心を直接温めてくれているようで……



「温かい……」



「二人仲良く葬ってやろう」



 背後、黒炎を右腕に纏った『憤怒』が冷淡に告げる。やっていることはユメと同じでも、その力は桁違いだ。もはや抵抗の術もない少女二人を消し飛ばすにはあまりある力がそこにある。



 そして、その拳は……無情にも、二人へと振り下ろされる。それは難なく、目の前のひ弱な人間に直撃するはずだった。



だが……その拳は、何かにせき止められているかのように動きを止めていた。それは実際に、何か……いや、壁にせき止められていた。それも、水の壁に。



「ぬっ?」



 二人の少女を守るように、ドーム状に包む水の壁。それも、『憤怒』の力のこもった一撃をせき止めるほどの。いかに炎と水の相性があるとはいえ、多少の力の差ならば簡単に打ち破れる。



 ジュワッ……炎と水がぶつかったことで、接触している部位が蒸発している。それほどまで、二つの力は拮抗しているということなのか。



 思わず後ずさる。それと同時に立ち上がるのはオルテリアだ。ユメを優しく座らせ、『憤怒』に向かい合う。



「オル……姉……?」



「その呼び方、やめてって言ってるでしょ。それに何なのその炎……ここが、すごくもやもやする!」



 背中を向けているため、ユメからはオルテリアの表情は見えない。だが、オルテリアが己の胸元を押さえているのはわかった。



 もやもやすると……オルテリアの心境に、何らかの変化があったのか。それはわからない。わからないが今、オルテリアがユメを守るために立ち上がったのは確かなことだ。



「次から次へと、往生際の悪い……」



「あんたこそ、しつこい男は嫌われるわよ」



「ふん、今の今まで震えていた者が今更何を」



「……そうね。でも、こんな小さな子が頑張ってるのに私だけ寝ていられない。それに……何だかわからないけど、この子は死なせたくないのよ!!」



 記憶が戻ったわけでも、神力の使い方だけでも思い出したわけでもない。むしろ、今の現象が自分のものであると気がついていないくらいだ。



 それでも、少女は立つ。後ろに、死なせたくない子がいるから。



「うっ……」



「ちょっと、あんたは引っ込んでなさいって」



「そんなわけに、いかないよ……」



 体は痛むし、気を抜いたら気絶してしまいそうだ。だけどそれに甘え、オルテリアを一人で戦わせるわけにはいかない。記憶がないなら戦うのも初めてで、それどころか『敵』を前にしたことすら初めてなのだ。



 ホントは、戦わせたくない。じゃないとこうして着いてきた意味がないのに……自身の不甲斐なさをユメは思う。しかしそれを嘆いている暇さえないのだ。



「死なせたくないのは、私も同じ……もう誰も、大切な人を失いたくないから!」



 叫ぶのすら辛い。だが声を大にしても、言いたかった。自分の知らないところで死んでしまった姉のような人を、もう生み出したくはないから。



「一人だろうと二人だろうと、どうせ死ぬのは変わらん。まとめて始末してやる」



 片や虫の息同然、片や力の使い方もろくに知らない。そのような弱者が何人集まろうと、自身の敵ではない。不敵に笑う『憤怒』を前に少女二人は、自らが生き残るために覚悟を決める!

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