新たな神力
『憤怒』を包む炎、それは本来の炎の色である赤だ。黒炎を基調とする『憤怒』のものとは別物であろう。
ならば、その炎は誰の手によるものか……オルテリアの神力が復活したのか。それとも……
「なんだいきなり、鬱陶しい」
しかし考える間もなく、炎に包まれた『憤怒』が炎を弾くようにして出てくる。その体にダメージのようなものはない。
だが、意識をオルテリアからそらすことには成功したようだ。
「今の……あっ……?」
起こった現象を理解できていないユメを、次なる現象が襲う。今の今まで焼けるような痛みが走っていた脚の痛みが、引いたのだ。
確認すると……ユメの脚を、赤く燃え盛る炎が包んでいるではないか。さながら、炎の鎧を着用しているかのように。
だが不思議と、痛みはない。今までの痛みも嘘のようになくなり、立ち上がることもできる。動かしても、違和感はないし焼けたとは思えないほど自由に動く。
先ほど『憤怒』を包んだ炎、今ユメの脚を包んでいる炎……それは同じもので、しかし効能は全く違う。攻撃と防御、といったものだ。
それはつまり、ユメ達に敵対する『憤怒』を攻撃し、ユメをそのダメージから守ったということ。それはつまり……
「もしかして……私の……?」
この力、ユメには経験がある。姉であるアカリが操っていた神力、それと同じ力を感じるのだ。
無意識に覚醒したユメの神力……アカリと同じ、炎を主とした力。実感こそないものの、これで目の前の脅威、『憤怒』に対抗する力を得たということだ。




