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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
異なる冒険
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戦か逃か



「はな……れロ!」



 何が起こったかわからない……が、とっさに悪魔はユウキを振り払う。「キャッ」という叫びとともにユウキは簡単に振り払われてしまう。



 そのまま悪魔は一旦距離をとり、今被害にあった腕を触る……が、肘から先はすでになくなっていた。



 斬ったわけでも、吹き飛ばしたわけでもない。ただ、ユウキがしがみついたそこがまるごとなくなっていたのだ。



「なンっ……何なんダ、オ前は……!」



 驚愕と怒りの表情を浮かべ、悪魔は問いかける。その先には、しりもちをついたユウキがおり……若干の警戒が見える。



 当のユウキはというと……



「へ……何って、え……?」



 よろよろと立ち上がりながらも、何が起こったかわかっていない様子だ。自分が何をしたのか、理解が追い付いていないらしい。



 だが見たままを事実として言うならば……ユウキが悪魔の腕にしがみつき、それによって腕が溶けるように消えた。これがすべてだ。



「ユウキ……」



 とはいえ、それをいきなり呑み込むことはできない。こちらも、頭が追い付いていないのだ。



 ……が、そういえばさっき、俺は魔物に襲われた。その魔物をユウキが突き飛ばした瞬間、魔物は跡形もなく消滅したのだ。



「チッ……!」



 予想外の出来事が起こったためか、先ほどまで余裕たっぷりであった悪魔の表情は、怒りに歪んでいる。



 完全なる想定外……しかしそれは、隙の見えなかった悪魔の動揺を呼ぶには充分なものだ。その隙を、リーダーは見逃さない。



「うりゃああああ!!」



「しまっ……!」



 腕とユウキに意識が集中していたためか、リーダーの動きに反応が遅れる。電気の乗ったリーダーの拳が、顔面に直撃し……そのまま吹っ飛んでいく。



「はぁ、はぁ……!」



 今度は、ちゃんと直撃したはずだ。肩で息をしているリーダーも、それを実感しているようだ。しかし、それでも気を緩めることはない。



 倒れた悪魔……そのまま戦闘不能になってくれればいいのだが、よろよろとではあるが悪魔は立ち上がる。



 ひょろひょろした見た目とは裏腹に、タフな奴だ。



「いテテ……こレはさすガに参ッた……」



 立ち上がる悪魔は顔を押さえながら、体の汚れを払う。見た感じ肉体系ではないため、ダメージは相当蓄積されているはずだ。



 リーダーの拳なら、あと一撃で倒せるはずだ。



 あの巨大な魔物も、人造人間も向こうで伸びている。つまり今は奴一人、絶好のチャンスというわけだ。



「やれヤレ……これはトンだ予想外。有象無象ノ中にイレギュラーが混ザってイタとは」



 奴はすでに虫の息。それは変わらないのに……焦った様子はない。ただ忌々しそうに、ユウキを見るばかりだ。ユウキの力は謎だけど、奴も予想外だというのなら好都合だ!



 ただ……戦況が有利になっても、こっちだって安心できない。何せ、重傷を負ったベルとピルカがいるのだ。



 しかも、ピルカの顔色はどんどん悪くなっている。足を貫かれてから、だ。もしかしたら、ピルカを撃ち抜いたレーザーには毒のようなものが含まれていたのかもしれない。



 あの悪魔を倒せば……そう考えたが、確実ではない。そもそもレーザーを撃ったのは人造人間で、奴は向こうで魔物と共に倒れている。壊れたのかはわからないが、ダメージは相当なはずだ。



 ならば、人造人間を確実に破壊しにいくか? ……いや、俺が動くことで悪魔に狙われ、リーダーの隙を作ってしまうかもしれない。それに、もしもまだ動く人造人間や魔物に襲われたら、それこそ足を引っ張ってしまう。



 結局のところ、リーダー託すしかないっていうのか? ……何も出来ないのが、歯がゆい。リーダーやベルの助けがないと戦えすらしない自分が、情けない。



「全ク……アナタ達には手ひドくヤラレるわ、死神にはワけタ人格をボディごと壊さレルわ、散々ダ」



 俺が自分の不甲斐なさを嘆いている間にも、悪魔は話す……というより、嘆くに近い、か。死神だの人格だの何を言っているのかよくわからないが、悪魔がこの状況を嘆いているのは確かだ。



「さすガにあの時ノよウに、人格をわけ?ナンて芸当易々出来?はずもナシ……ココは、逃げサセてもらう」



「! 逃げる気……!?」



「えェ。ゼロとレイのデータを失ウのは惜しイが、改良魔物の改善点ガ見つかっタノでヨシとしヨウ。何ヨり、このわたシの頭脳がここデ失わレルこトニ比べればソンなもノ些細なこト!」



 嘆いているかと思えば続いて叫び出す。おかしなことを言っているのか、よくわからないがとにかく、奴はここから逃げようとしている! それは確かだ。



 それは同時に、奴にはもう手がないということ。ここから逃げる自信はあるのかもしれないが、そもそもリーダーのスピードから逃れられるとは思えない。ダメージのある今ならなおさらだ。



 だが万一がある。ここで逃がすわけにはいかない。今後のためにも、傷を負わされたベルとピルカのためにも! リーダーも同じ気持ちか、いつでも動けるように身構えている。



「逃がすと思うかにゃ?」



 まるで得物を狩る肉食動物のように、リーダーの眼光が鋭くなる。普段からネコを思わせる言動や行動の多いリーダー。だが今のリーダーは、ネコはネコでもトラのような凶暴な獣だ。

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