戦う者たち
「にゃー、お二人さん何やってるのかにゃ?」
胸の内が悶々していところへ、背後からリーダーが声をかけてくる。肩にポンと手を置かれ、振り向くと何やら楽しそうに笑っている。
「何ですか、その顔は」
「いやぁ、人間関係って面白いなって思ってて。主に自分以外の」
ぐっ……この人、いい性格してるな。俺がユウキをどう思ってるか気づいているのが知らないが……いや、多分気づいてるな。今の台詞的に。
自分のことだと、顔真っ赤にして慌てるくせに。
「ったく……それより、全然手掛かりありませんね。俺ら以外の人達の」
「そうだねー。ま、私たち以外にも戦ってる人たちがいるのは心強いよね」
こうして旅をしていて、少なからずいろいろな情報を聞くことがある。その中でも、俺たちと同じように悪魔と戦っている奴らもいるという話だ。
聞いた名前は『双翼の星』、それに『隻腕の死神』だ。死神の方はこの名前しかわからないが、前者に対しては『おかしな笑い方の少女』と『子連れの少女二人』という情報がある。
断片的すぎるとはいえ……それがホントなら、たった二人の女の子ということだ。信じがたいが、それしか情報がないのだ、疑いようすらない。
悪魔と倒すという目的を同じにした者同士、手と手を取り合えるはず……これが、リーダーの考えだ。
「手掛かりっていうか、どこに行けばいいのかもわからないのにむやみに歩いてるから当然だと思うけど」
「にゃはは、いやあユウキちゃんの言う通りだよ。何か魔物とかの気配を感知できる方法とかあれば手っ取り早いんだけどねえ」
それもそうだ……何か、効率よく旅を進める方法でもあればいいんだけどな。このままじゃ、進んでるのか戻ってるのかもわからない。
「! あ、何か嫌な気配……!」
「レイさんのそれは、もはや野生の勘だと思いますけど」
まあこれまでも、手段がないと言いつつリーダーの勘というやつに頼ってきた。おかげでかわからないが、悪魔や魔物が密集している現場に出くわしたことはない。……これまでは。
最近はなぜか魔物の数が増えてきているようで、戦闘は避けられない。また、今みたいにリーダーが気配を察知することも多々ある。
リーダーの言葉に、休憩中だった俺たちは戦闘態勢に。とはいえ、ただの魔物なんかに今更遅れは取らないだろうが……
「来たな……」
時間にしてわずか、視界に獣姿の生き物の姿が映る。見たところ、数は十前後……この分なら、問題なく仕留められる!
「さあて、いっちょやりますか!」
「ちょっ、リーダー!」
ここは連携をしっかりして……そう思っていたところへ、リーダーが飛び出して行ってしまう。また、あの人は……!
「"ビリビリ……パァンチ"!」
名前の通り、まるでネコのように身軽に駆け飛び……右腕に電気をまとわせてからその拳を繰り出す。上空からのいきなりの飛来物を避ける手立てもなく、拳が命中した魔物はその体を弾けさせ散布する。
そのまま、跳躍。近くにいた魔物に電気をまとった蹴りを放ち消滅。そのまままるで気ままなネコのように魔物を消滅させていく。
「相変わらず、すごいね……」
「ったく、リーダーなのにいつもいつも突っ込んで……」
もうあの人一人でいいんじゃないかな、という暴れっぷり。だが所詮は一人、何匹かの魔物はこちらへと向かってくる。その相手をするのが、俺達というわけだ。
「カリィ!」
「あぁ、悪い!」
ベルの神力のおかげで、その辺に落ちていたただの枝が殺傷力の高い武器に早変わりだ。知性のない獣相手なら、動きを見極めさえすれば充分対処できる。
「うらぁ!」
魔物の突進をかわし、その眉間に武器を叩き込む。だが魔物も簡単には倒れてくれない、リーダーのように一撃とはいかないか。
だから俺達は、代わる代わる攻撃をおみまいしていく。何度も何度もたたき込み、ようやく魔物を消滅させるに至る。




