教祖猫組
「くそ、何が起こってんだ」
逃げて逃げて、逃げる。なるべくバラバラにならないように固まって、行動する。まずはこうなってしまった原因を突き止めないといけない。そのためにも一旦落ち着ける場所を探さないと……
「!しまっ……」
とはいえ、どこへ行くともわからない中で完全に奴らに見つからないなんて出来るはずもない。最後尾を走っていたピルカが、物陰から出てきた悪魔と鉢合わせしてしまった。
気付いたみんなが戻るが、それよりも悪魔の動きの方が早い。そうしている間にも、悪魔の手は伸びていき……
「げへへ、死ぶふら!」
手が触れる寸前、悪魔が吹き飛んだ。誰かに殴り飛ばされたのだ。だが俺達はみんな間に合わずにここにいる。すると、腰が抜けたピルカの傍に立つ人物がいた。その人物が悪魔を吹っ飛ばしたのだろうか。
そこにいたのは、ふわふわの白髪を風になびかせる女性だった。褐色の肌やすらっとした体型は健康的なものを思わせる。その中で一際大きな目が特徴的だ。
だが、それよりも特徴的なものがある。それは……
「ふぃー、危なかったね。大丈夫かにゃ?」
まるで猫の耳みたいになっている髪と、「にゃ」という語尾だった。
その日、その人に助けられた俺達は……彼女と、彼女と行動を共にしていた数人の人達と行動を共にすることになり、自然と組織のようなものを作り上げていた。
その組織の名前は『教祖猫組』。何て怪しい名前なんだと胡散臭さ半端じゃないが、まあ俺にとって組織の名前なんてどうでもいい。
そして、組織のトップに立つ、リーダー的な存在……それはあのとき俺達を助けてくれた人、ネコミ・レイだ。
どうやら彼女は、神力学園ってやつの生徒会副会長だったらしい。知らない名前だが、ベルが使ってた『不思議な力』の正体が『神力』だと教えてくれたのも彼女だ。
ネコミリーダーと、彼女と一緒にいた学園の生徒は、学園に襲撃してきた悪魔達から逃げ出してきたらしい。自力ではなく、謎の光に包まれて気がついたら別の場所にいたとのことらしいが。
彼女らと行動を共にしたおかげで、生き残る可能性はぐんと上がった。何せリーダーの強さは半端じゃなく、加えて神力の使い方を教えてもらったベルもかなりの使い手だからだ。
今じゃ、『教祖猫組』のツートップなんて言われてるしな。しかも二人とも身体能力が高いからなおさらに納得だ。
そんなこんなで現在、リーダーを中心に俺達は、旅を続けている。元々目的なんてなかった俺達だった、助けられた恩を返すと同時に、リーダーの『目的』とやらに付き合ってもいいと思ったのだ。
「なんだ、起きてたのか?」
ふいに、声をかけられ我に返る。いかんいかん、つい昔のことまで思い返してしまったようだ。
俺に声をかけたのは、今思い出していた中にいたベルだ。こんな夜中に目を覚ましたのは、俺だけではなかったらしい。
「おいおい、まさかお前……」
「待て、お前が考えてることは何もないぞ?」
ベルが顔をひきつらせたのはきっと、俺が寝ているユウキの顔を見つめていたからだろう。夜這いでもしていると思われたのだろうか。
「ちょっと、目が覚めただけだよ」
「ふぅん」
ジト目を向けてくるベル。信じているのかいないのかはわからないが、まあいい。俺がそんな奴じゃないってのはこいつがよくわかってる。はずだ。
とにかく、せっかくだ。洞窟の中で話すのもなんだし、外に出ないかと誘う。
「おう、いいぞ」
というわけで、俺とベル、二人だけで洞窟の外へ。まあせっかく外に出ても、空は暗黒だし星も見えないんだけどな。
「何か久しぶりだなぁ、こうして二人で話すのも」
「確かに、そうかもな」
思えば、その通りだ。これまではユウキやピルカ、シズがいたし、リーダー達と行動を共にしてからはそんな機会は余計になくなった。
こうして二人だけで話をするのは、いつ以来だろうか。
お忘れの人も多いかもしれませんが、ネコミさんは、神力学園編で出てきた副会長です。
会長に刺されてしまった子です。




