犯した罪
まさに命懸けの行為……それは、見事オルテリアの読み勝ちとなった。
「この……!?」
追撃を試みる『色欲』だが、背後から数本の水の槍に、串刺しにされる。水を操ることを得意とするオルテリアだ、空気中にあるすいぶんなんかを使い、それを槍と変化させたのだろう。
さらには、流れ出たオルテリア自身の血液も操られ、追い打ちをかけるように重ねて突き刺される。『色欲』はもう、一歩も動くことは出来ない。目の前の女を、忌々しく睨みつけることしかできない。
「くっ……!」
「でもさすがにおかあ……あの人の、姿に、まで……化けると、思いません、でした、けど……」
痛みを堪え、オルテリアは距離を保ったまま話す。今の『色欲』の姿は……オルテリアの母親の姿である。オルテリアはそれを直視しようとはせず、苦々し気に視線をそらしているが。
しかし、それも数秒。すぐに鋭い目つきに戻り、体から青色のオーラがにじみ出る。そのオーラは膨れ上がり、同時にオルテリアの力の大きさを表していて。
……次第にそれは、人一人程度ならやすやす丸飲みにできそうなほどの、巨大な水の竜の姿を模していく。
「……ちっ!」
『――――――!』
それは、雄叫びのようなものを上げて『色欲』へと襲い掛かる。
先程まで一瞬でも動揺を見せていたオルテリアの姿は、もうない。"敵"と見定めた者のみへと向ける、鋭い視線。そしてそれは敵だけではない……思い出すのも辛いほどに、自身の犯してしまった過ちを思い出させた者への、憎々しい視線。
仲間には……特にリーシャには話せない、己の罪。それは……
「では……さようなら」
今でもオルテリアの中で、後悔の塊として残っている。




