表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
大罪魔獣
251/314

わかたれる二人



「うはぁー、さっぱりー」



「ですわぁ」



「うごきたくなぁい」



 結局あの後、三人とも逆上せるまで温泉に入り続けてしまった。



 ちなみに力尽きる前に神力で動けるまでには回復してたので、タオルを神力で動かして……という感じで裸をエドさんやスカイくんに見られるなんてことにはなっていない。神力マジ便利。



 そんで今、とりあえず余韻に浸ってるところだ。



 男性陣が入っている間の見張りとして、こうして休んでいる次第だ。



「いやぁ、久々にゆったりできたね。腰の痛みが楽になった感じ」



「リー姉、おっさんみたい」



 たとえ神力で痛みは緩和できるとしても……やっぱり、温泉に入って癒されるというのはまた違った気持ちよさがあるものだ。極楽極楽。



「ねーねー、もしさ、ドッ兄が私達の残り湯だーとか言って温泉のお湯飲んでたらどうする?」



 唐突な、ユメちゃんの言葉。ちょっと想像してみる。



「いやぁ、ないでしょ!」



「いやいや、あんないかにも真面目って人に限ってわかんないもんだよ!」



「それに綺麗所に囲まれてるわけですし、何考えてるかわかりませんわよ! ぐへへーって感じで!」



「オルちゃん結構言うよね!」



 あはははははは……!



「三人とも聞こえてるんだが!? そんなこと考えてたの!? 心外なんだが!」



 怒られてしまった。どうやら聞こえてしまってたようだ、反省。



 さて、こうして見張りをしているわけだけど……近くには魔力を感じないし、誰かがいる気配もない。ひとまずは安全そうだ。



 こんな風にゆったりできるのは次いつになるなかわからないし、こうしていられるうちに満喫しておこう。そう思って、一息つく。



 その一瞬の油断が……一生の後悔を生むことになるなんて、思いもしなかった。



「ん、何かなこれ……霧?」



 最初に気がついたのは、ユメちゃんだった。その言葉に従い辺りを見ると……確かに、視界が少し白い。まるで温泉に入っていた時の湯気のようだが、湯気とはまた違うもののようだ。



 何しろ、声が聞こえるとはいっても湯気が立ち込めるような距離ではないし、こんな急にというのもおかしい。



 とはいえ、霧自体に脅威があるとは思えない。毒があるとか、体に害を及ぼすものには感じない。だから、これはただの霧のはずだ。



「ん……何か、いいにおいする」



 続いてすんすんと鼻を鳴らすユメちゃん。彼女の言うように、何というか甘い……何か引き付けるような香りが漂っている。これは、いったい……?



「ん、何か霧がとんどん深く……二人とも、だいじょう……」



 ぶ……そう言い終わる直前だった。まるでどこかからものすごい風が噴出したかのように、白い霧がぶわっと辺りを覆い尽くしたのだ。



 気がついた時よりも徐々に深くなっていた霧は、一気に辺りを白い景色に変えた。



 隣にいたオルちゃんとユメちゃんの姿が、見えなくなってしまう程に。



「こ、これ何かまずい、かも……オルちゃん! ユメちゃん! いる!?」



 霧自体に害はない。でも、これはどう考えても異常だ。自然のものとは思えない。ならば、まさか敵がいるのか? なにも感じないけど。



 それよりまず、二人の安否を確認するのが先だ。声を上げて二人に呼びかけるが、返答はない。なぜだか、神力で霧を吹き飛ばすこともできない。天力でも動揺に。



 その間にも深い霧は、次第にその濃度を薄くさせていき……時間にすれば、一分もなかっただろう。霧は消え、すっかり元通りの光景になっていた。



「ぷ、い、いったい何が……ふ、二人とも! どこ!?」



 視界が一気に開けたことで、まるで暗いトンネルから太陽の下へ一気に出たようだ。ゆっくり目を開きつつも、呼びかける。



 すると……



「わ、私は無事だよ。ここにいる」



 ユメちゃんの声。目を開いて確認すると、そこに確かにユメちゃんがいた。見たところ体に傷はないし、無事のようだ。ほっと一息。



「三人とも、無事か!? さっきの霧はいったい……」



 向こうから、エドさんの声も聞こえてくる。どうやらさっきの霧は温泉にも及んでいたようだが、エドさんもスカイくんもゴンちゃんも無事のようだ。よかった。



 こちらも無事だと伝えようとしたところへ、さっきから反応のない……ここにいたもう一人の声がないことに気づいた。嫌な予感がして、オルちゃんがいたはずの場所へと視線を移す。



「もうオルちゃん、さっきから黙って……何か言ってくれないと、心配しちゃ……」



 ……そこに彼女は、いなかった。



「……オル、ちゃん?」



 隣にいたはずの、彼女の姿がない。キョロキョロ辺りを見ても、どこにもその姿はない。まさか、霧の中どこかへ行ってしまったのか?



 …いや、迂闊に動くとは思えないし……もしそうなら、何か一言。……まさかあの霧には、声が届かなくなる仕掛けがあるとか?私の呼びかけに二人は反応しなかったし。



 でも、霧が出ていたのは一分もない。その間に、そんなに障害物のないこの場所でそう遠くにいくなんてできるだろうか? もちろん、オルちゃんの神力なら可能かもしれない。



 でもそうする意味は? やはり誰かにさらわれた?



 いくら考えても答えは出ず……オルちゃんの捜索にあたる。男性陣も合流し、二組に別れて探した。声を張り上げ、力を惜しまず捜索に使って……



 その後一時間、いくら探してもオルちゃんの姿を見つけることはできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ