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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
大罪魔獣
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新たな乱入者



 刃が通らず、驚愕に目を見開くエドさん。……が、それも一瞬だ。すぐに魔物から距離をとると、正面に捉えた魔物に対して改めて剣を構える。



 周りに魔物が群がっているのに、慌てることなく。呼吸を整え、集中して……



「“十二星”『獅子(レオ)!』」



 踏み込んだと同時、目にも止まらぬ速さで、正面にいた魔物の背後へと移動していた。魔物とすれ違う刹那の間に、居合いの要領で剣を振るったのだ。



 斬撃を受けた魔物は、暫し立ち尽くし……胴体が真っ二つに切断されるのと、弱々しい雄叫びを上げたのを同時に、地に倒れた。



 その切断面は生き物のそれに違いはなく、魔物がアンドロイドという疑惑は晴れた。だがどのみち、並大抵の攻撃は効かないということに変わりはない。



 それに……一体倒したところで、戦況は変わらない。圧倒的な戦力差……これをエドさん一人に任せておくわけには、いかないだろう。



「私も……!」



 外に出て一緒に戦う……そう言おうとした時だ。突如、視界に影がさす。それに、何だか嫌な予感がして……空を、見上げた。するとそこには案の定、嫌な予感が的中していて……



「う、そ……」



 視界にさした影の正体……それは、ボスケルベロス魔物が、前足を振り上げていた。巨大すぎるその足により影がさしていたのだ。……そしてこれが意味することは一つだ。



 それが頭を過ぎるより先に……その前足が、勢い良く振り下ろされた。私達を、踏み潰すために。



 バムッ……!



 私達に向かって振り下ろされた足……それは私達を守ってくれている防壁にぶつかり、何とも珍妙な音を立てて防壁を破らんと押さえ付けてくる。



 まるで、なかなか割れない風船を力付くで押さえ付けているかのよう。



「ぬっふ? ぐ、うぅうう……!」



 そのせいか、防壁を張っているオルちゃんがとんでもない声を上げる。何とか防壁を破られまいと力を込めているようだが、上から押さえ付けられる力に加えて、あのケルベロス魔物のボス的な存在だ。そもそもの力が半端じゃないだろう。



 ……防壁を破られるのも、時間の問題だ。



 エドさんは魔物の軍団に囲まれてこちらに気を割けないし、オルちゃんは防壁維持で手一杯だ。……私がどうにかしないといけない!



 こんな時レイがいてくれれば、たとえあの魔物相手でも押し返せるだけの力は出せると思うんだけど……今そんなことを考えても、仕方がない!



「オルちゃん、ごめん、もう少しだけ堪えて!」



「えっ……って、リーさん!?」



 私は天使の翼を広げ、その場から飛び立つ。オルちゃんには防壁を維持してもらいつつ、私がボスケルベロス魔物を遠ざける!



「せやぁあああ!」



 防壁から飛び出て、そこから魔物に向かって加速していく。その勢いを乗せ、天力を込めた拳を額におみまいする。普通の魔物ならば、これで倒せるか、せめて後退りさせることはできるんだけど……



 ……魔物はその場から動くことなく、蚊でも止まったのかと言わんばかりの顔で私のことを見ていた。



 やっぱり、硬い。それも、予想以上に。でかいから強い……などと単純に思うわけではないが、これは……手強い。ただの魔物だからと、侮ってはいられない。



「グルルル……!」



 ダメージはない。しかし、少なからず煩わしさは感じたのだろう、魔物は私へと視線を向ける。おかげて防壁への注意はそれたけど……代わりに、射抜くような視線が私の体を貫いていく。冷や汗が、流れる。



 とはいえ、足踏みしているわけにもいかない。今も、エドさんが対処しきれない魔物が防壁に群がっているのだ。このままでは破られるのも時間の問題……そうならないためにも、一刻も早く倒さなければ。



私は気合いを入れ、魔物に向き合う。レイはいないけど……一人でも、やってやる! そう、固く胸に誓って。



「よしっ……行くぞ! はぁあああ……!」



 ……そんな思いは、直後に、あっさりと崩れ去った。



「ガ、ァ……ッ」



「……え?」



 上空から加速し、再び拳をぶつける……そうするために、魔物に一直線に向かっていた時にそれは起こった。突如、魔物が苦しげな声を上げて体勢を崩したのだ。当然、私は何もしていない。



予想外のことに、動きを止めて魔物の体を確認する。目を凝らして確認すると……魔物の体を支えていた右の前足が、なくなっていたのだ。



 ……正確には、切断されていた。



 支える足が欠けたことが、魔物が体勢を崩した理由。でも、どうして魔物の足が?



 私は何もしてないし、エドさんも向こうにかかりきり。オルちゃんは防壁を張るのにいっぱいいっぱいで、スカイくんとユメちゃんは防壁の中。



 他の誰かの線もない。そもそもエドさんの剣が普通には効かなかった魔物のボス的存在で、私の拳も通用していない。だというのに、こんな巨大な魔物の足を切断することができるのか?



 ならば、何らかの理由で足が切れた?例えば体に何らかの負荷がかかったとか、あの魔物は不完全な状態とか。他に原因が考えられない。



 ……そんな私の耳に……



「へー……こんなでっかい犬は初めて見たが、存外たいしたことねぇな」



 聞き覚えのない声が、聞こえてきた。



 空にいる私にも聞き取れた、謎の声。それは感覚が研ぎ澄まされていたからか、単にその声が大きかったからかはわからない。ただわかったのは、その声は男のものであるということだけ。



 どこにいる……声の主を探すために、視線をさ迷わせる。声がしたのは……あの辺りだ。ちょうど、切断された魔物の足が転がっている辺り。そこに意識を集中させ……見つけた。



 その男の容姿が細かに見て取れたのは、天力により視力が上昇しているのとは別に、その男の風貌が一際目立つものだったからだ。



 短く乱雑に切り揃えられた紫色の髪。細身の体は一見頼りなさそうに見えるが、魔物の足を切断したのが彼だと考えるなら、その腕力は計り知れない。



 その、魔物の足切断したのが彼とわかるのは、魔物の足の側に立っていたのもそうだが……その手に、剣を持っているから。



 ……いや、あれは剣というより……



「それに……」



 目立つ男の容姿。その最たるものは、その服装だ。もし今平和な世の中だったら、流行と呼べたであろう服を着こなし、サングラスをかけている。誰に見せるわけでもないのにオシャレな格好をしている。

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