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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
大罪魔獣
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お別れと旅立ちと



 あれからも少しだけ話をして、ひとまずの会話を終える。話といっても、次の目的地を話し合う、などやはりこれからどうするかというものだった。



 これまでのことを整理し、新たにこれからのことを頭の中に組み入れる。



 差し当たって次の目的地、という目的地は思い浮かばなかった。とりあえずは、魔力が集中しているところ……という結論に。そこならば、捕まっている人も多いのではという見解からだ。



 ……とはいえ、レイが出てこなくなった今、捕まっている人達を解放しても、カーリャさん達の作り上げた組織『天』に転送できないんだけどどうしよう。



「あの、ちょっと行ってみたいところがあるんだけど」



 問題は数あれど、私は今気になることがあった。それを確認するために、私達はあの場所へ……魔王になったヒロトと再会することになったあの建物へと、足を進めた。



 建物の前に立ち、扉に手をかける。ここから建物の中に入り……そこで、ヒロトと再会したのだ。もしもここが、ヒロトと再会したあの場所と繋がっているのなら、今度もまた、あの場所へと行けるはずだ。



 そう考え、軽く深呼吸をしてから扉を開けた。だがそこは、あの息の詰まりそうな真っ暗な空間ではなく……ただ薄暗いだけの、本当にその建物の内部だった。



 あのだだっ広い空間はなく建物の外見にあった広さで、あの場所とは似ても似つかない。



 何か特殊な条件でもあったのだろうか。時間か、他の要因か。もしかしたら私一人だけではないからか。



 それともこの建物があの場所に繋がっているのではなく、誰かの意図により偶然この建物があの場所と繋がってしまっただけではないのか。



 もし誰かの意図だとしたら、いったい誰が、何のために? いろいろ可能性を考えてみても……結局、答えはでなかった。



 確認したいことも一応確認でき、体力も回復した。もうこの場所に留まる必要はないし(相変わらずレイの気配は感じるためあくまでも近くにはいるらしい)、後はここを出発するだけ……



「ねえ、みんな。ここを出発する前にちょっと、いいかな」



 だが、実はまだ放っておけないことがあるとユメちゃんが手を挙げる。その内容はというと……



「あのね。……最後にみんなに、お別れを言いたいの」



 それは、ここを出発するために、お別れを言いたいというものだった。『みんな』というのは……バランダに手に掛けられた人達。そして先ほど、私達の手で一人一人のお墓を作った人達。その、みんなにだ。



 お墓を作った際に、土の下に眠る一人一人に黙祷を捧げていたが……それとは別に、ちゃんとお別れをしたいのだという。ここから旅立つことに……それに、本当の意味での『お別れ』をするために。



「うん……わかった」



 それを断る理由は、もちろんない。ちゃんとユメちゃんが納得できるように、私達は見守るだけだ。一足先に歩くユメちゃんの小さな背中を見ながら、私はそう思っていた。



 辛くないはずがない。だけどその足取りはしっかりと、地面を踏み締めている。その心の強さは、私には計りきれなかった。



 お墓が並ぶ場所に戻ってきて、辺りを見回す。改めて思うが、これだけの数の人が土の下に眠っている……その事実に、胸が痛む。だが、一番胸を痛めているのはユメちゃんだろう。



 どれほどの時間かはわからない。けど、ここにいた人達と、ユメちゃんは過ごしていたのだ。私にはわからないが、この人達にいったい、どんな気持ちを抱いていたのだろう。今、どんな気持ちを抱いているのだろう。



 その小さな体に今、どれほどの悲しみが降り注いでいるのか。悪魔に捕まり、その中で出会った親しかったであろう人達を目の前で殺され、その人達のお墓を自分の手で作って……



 私が言うのも変かもしれないけど、ユメちゃんにはこの年にして、そしてこんな短い期間でこんなにも辛いことが降りかかっている。



 それはとても悲しいことで……どうして、こんなことになってしまったのか。



 こんな悲しい思いをしないために、させないために私は……私達は……



「……じゃあみんな……ばいばい。私、行ってくるね」



 全員が眠るお墓に手を合わせ、それを終えて……最後に全体を見渡し、告げる。それはこの土の下に眠る人達に向けての、お別れのメッセージだった。



 それを最後に、私達は新たなメンバーを加え……出発した。

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