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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
大罪魔獣
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もしもその時は



 ただ……何の考えも、根拠もないのに、本当にちっぽけな悩みに思えてくる。



「……しかし、どうするんだ? また彼女がその……暴走、したら。キミが彼女と戦うのか?」



 そこへ、今まで傍観していたエドさんが挙手する。実際にみんなに、どこからどこまでを見られたのかはわからない。けど、あの状態の私を少なからず見られたのは事実だ。



 それを踏まえて、何が起こったかわからないため暴走の一言で収めている。



 これは、一見すると意地悪な質問に思える。けど、エドさんにそんなつもりはないし、私もオルちゃんもちゃんとわかっている。ただ……



「ちょっと、そんな言い方……」



 出会ったばかりの、ユメちゃんは別だ。エドさんの台詞の中にトゲを感じたと思ったのか、物申すと前に出てくる。表情はムッとしており、表現はあれだが敵に威嚇中の小猫みたいだ。



 それに対して困惑したエドさんが何かを言い返そうとした……が、その前にオルちゃんがユメちゃんの前に手を伸ばし、動きを制する。



「大丈夫ですわよ。これは意地悪じゃなく、純粋な疑問ですわ。ドッさんも、そんな意地悪をする人じゃありませんから」



「……そう、言うなら。っていうかドッさんって?」



 噛み付きそうなユメちゃんを宥める構図は、こんな話題ではあるけど何だか微笑ましいものがあった。あとエドさんの、オルちゃん専用ニックネームがドッさんであることを知らないユメちゃんが目を丸くしているのも面白かった。



 向き合ったオルちゃんは、コホンと咳ばらい。私も、オルちゃんがどう答えるのか興味がある。



 そして一言。



「私はリーさんがどう変貌したのか、見たわけじゃないからわかりませんけど……そうなったら、とりあえずは顔を水の玉で覆って意識を奪おうかと」



「「「こわっ!!」」」



 オルちゃんから告げられた、暴走した私を止める方法。それは顔を水で覆い意識を奪うという……言うなれば、窒息させようというのだ。



 予想の斜め……いや遥か上をいく答えに、見事に聞いていた三人の声がハモった。



「意識を奪えば元に戻るでしょうし。それに、暴走……というからには理性がないんでしょう? それなら、ただでさえ触れない水から逃れるのは困難……うふ、ふふふ……」



「……聞いててなんだけど、もういいです」



 嘘か本気かのオルちゃんの答えに私は背筋が寒くなるのを感じた。だからってわけじゃないけど、これは余計に、本当に今後あんなことがないように気をつけないとな。多分本気だろうし。



「その……怖くないの?」



「怖い?」



 きょとんと首を傾げるオルちゃんに、私ははっとして口を押さえる。どうや無意識に、言葉に出てしまっていたらしい。



 それを聞いたオルちゃんは……急に、ぷっ……と吹き出したのだ。



「あははは! り、リーさんを怖がる? あり得ませんわ!」



 何がツボにはまってしまったのか、おかしそうにお腹を押さえている。いったいオルちゃんのツボはどこにあるんだろうと思ったが、その言い方だとまるで……



「むぅ……それって私けなされてない?」



 思わず、むっとしてしまう。そりゃ、話の流れ的にそんなことないとは思うのだが、そんなに笑わられると別の意味もあるんじゃないかと思ってしまう。



 現にアカリちゃんにも、リーシャは小動物みたいでかわいいモえるわ!って言われたことはあった。私ってそんなに威厳というか、そういうのないかな。



「あぁ……け、けなすだなんて、とんでもないですわ」



 まだ笑いながらも、涙を拭いながら私の言葉を否定する。どこまで笑ってたんだよ。



「確かに私は暴走状態のリーさん見てはいませんが……怖いとか恐ろしいとかリーさんをそう思うなんてことはありませんわ。それに、さっきは暴走を止める方法と言われましたが……今後、のようなことにはなりませんわ。私が、させません!」



「……」



 語るオルちゃんの瞳は、どこまでもまっすぐで。ホントになんの根拠もない。それなのに……心が、満たされていくように感じる。



「そんな不安な顔せずに、少しは信じてくださいな。これまでずっと一緒にいたじゃありませんか。そしてこれからも……私は、ずっとリーさんの隣にいますから」



 手が、温かなものに包まれる。私の手を包むオルちゃんの手は私より少し大きくて、とても……温かい。やだなあ、こんなこと言われたら……泣いちゃうよ。



「あらら、もしかしてリーさん泣きそう? ねえ泣きそう?」



 そんな私の顔を覗きこんで、からかうような口調をぶつけてくる。そ、それは事実だけど……何か認めてしまうのが悔しい。



「そ、そんなことないしっ」



「うふふ、そうですかぁ」



 咄嗟に顔をそらしたけど、ごまかせてない気がする。それに、いつの間にか頭を撫でられているのが何だか見透かされているようで。



「……め、迷惑かけると思うよ? いっぱい」



「この半年、一つも迷惑をかけなかったとでも? 今更ですし……そもそも迷惑かどうか決めるのは私ですわ。ま、リーさんの迷惑ならどんとこいですけど」



 返された正論に、思わず苦笑い。そうだよね、これまでの旅の中で、私はいっぱい迷惑かけてきた。申し訳なくあるけど、ついつい甘えてしまう。

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