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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
大罪魔獣
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死神さんの正体は



 ……とにかく今は、奴らが何を考えてるかを考えている場合ではないか。今やるのは、状況の整理と、これからどう動いていくかの作戦会議のようなものだ。



「悪魔サイドの数も多いが……その質も、一品というわけか」



「そうみたい……と。あ、他にも……」



 改めて悪魔サイドの面々を思い浮かべげんなりするが、考えてみればそう単純なものでもない。以前、私達の前に現れた二体の人造人間(アンドロイド)、それにドラゴンがいる。



 そして、それらを作ったと思われるマスター・ドッマという存在。彼もしくは彼女……が悪魔サイドかわからないが、私達と交戦した以上、敵であることに違いはない。



「悪魔サイドか第三勢力か……か。どちらにせよ、我々の味方ではないようだな」



人造人間(アンドロイド)? 天使や悪魔以外にもそんなのいるんだ」



 現れる存在がことごとく敵だというのは……希望が見えないというか、何というか。いけないいけない、元々私とオルちゃんは"双翼の星"と呼ばれ、人々の希望となっていたはずだ。



 希望だなんてそんなたいそうなもの、と思っていたが……



「弱気になってちゃ、いけないよね」



 私達が弱気になっていては、ダメだ。ここはそう、前向きなことを考えよう。敵サイドではなく、味方サイドの数とか……



「世界を支配している悪魔達に対して、こちらの戦力は……」



「ここにいる私達……戦えるのは私とオルちゃん、エドさん」



 五人中、三人。スカイくんは、まだ不確定な要素が多いし、何よりあんな子供を戦場に立たせるのは気が進まない。(戦える戦えないは関係なしに)ユメちゃんですら躊躇するところなのに、スカイくんは彼女より幼いのだ。



「他に……カーリャさん達生き残った天使率いる組織『天』」



「だが彼女らは、生き残っている人々を匿っているため……公には動けない。代わりに、悪魔サイドにバレてはいないようだが。……他には……」



「…………いなくない?」



「うあぁ! 戦力足りなさすぎですわ!」



前向きなことを考えるはずが、全然そんなことなかった。



 戦力の差が、こんなにもあるなんて。今更ながらに、状況が危機的であると実感してしまう。それに、差が変わらないのではなく、時間が経てば経つほどに悪魔サイドは増えていく。



 現に、大罪魔獣なんてのがいる。七つの大罪……それぞれの感情を表現したような連中。ふとその存在と、先ほど思ったことが頭をよぎる。ヒロトが、魔王という椅子に座っているだけの抜け殻のようだ、と。



 もしも……ヒロトの中の感情を具現化させたのが、大罪魔獣だとしたら? ……そういえば、ヒロトと再会した時、何だか情緒不安定にも見えたし……



「他にも、味方になってくれる人達がいればね」



 ふと、聞こえた声に思考が現実に引き戻される。みんな、現状況の厳しさに頭を悩ましているようだ。



 味方……か。私達のように、他にも動いている人達がいるかわからないし、いたとしても表立ってではない相手を見つけるのは難しい。



「可能性としては……"隻腕の死神"」



 表立って名前が挙がる存在……それに心当たりがあった私は、ぽつりと言葉をこぼす。心当たりが、とは私だけではなかったらしく、どうやらみんなも考えていたことなのか驚きの声なんかは上がらなかった。



 "隻腕の死神"……名前というよりは、二つ名のようなものだ。悪魔と戦っているという、謎の存在。人間かも天使かもわからないが、悪魔と戦っているのだからとりあえず悪魔ではないのだろう。性別すらも不明だ。



 わかっているのは、片腕のみらしいということ。"隻腕"の名で呼ばれているのだからこれは確定情報だろう。そして、悪魔から"死神"と呼ばれるほどの強さを持っているということ。この二つくらいだ。



 謎に包まれた存在……ただ、悪魔と対立しているのなら、私達と共闘してくれないか……という期待がある。だから、ここで名前を挙げてみたのだ。



「誰なんだろーね、死神さん。会ってみたいな」



「呼ばれ方もカッコイイですしね!」



 どんな人物かわからないのに会いたいっていうのは危険な気もするけど。ただ……その人物が何物なのか、心当たりがある。



 そしてもし私の想像通りの人物なら、危険はないし心強い味方となってくれるだろう。



「……一人、心当たりならあるよ」



 片腕、そして悪魔から恐れられる強さの持ち主。たった二つしかない情報。だが、この二つに見当がある人物がいる。私が知っている範囲の話にはなるから、可能性は低いかもしれないけど。



 その人物は……



「それってまさか……さっき話してた、キミ達の先生?」



 私が話すより先に、エドさんから見当する人物の像が挙がる。先ほど学園で起こった人魔戦争の話をした際に触れた人物……私達の先生であった、ティファルダ・アラナシカ先生だ。



 先生はどうやら、学園史上最高のSランクを叩き出した人物らしい。実際にその強さはとんでもないものだった。何せ……



「確か、悪魔四神三体を同時に相手に渡り合ったんだってね。しかも片腕を失った直後なで。……こう言ってはなんだけど、その先生怪物か何か? さっき現れた悪魔四神、僕なら一体だけでも手こずりそうなのに」



「あっはは……」



 今言ったように、先生は一人で悪魔四神三体と渡り合ったほどの実力を持っている。それも、直前に片腕を失っているにも関わらず。その実力はまさに折り紙付きだ。



 悪魔から死神と称されてもおかしくはない。



 これが、先生と"隻腕の死神"が同一人物ではないかと考えている理由だ。ただ、先生は人魔戦争の際に"無限地獄"に落とされてしまったけど。



「先生が落とされたっていう"無限地獄"……さっきヒロトと会った時に私が飛ばされたのが同じ"無限地獄"なら、抜け出すのは不可能じゃないと思う」



 抜け出すのはそう、不可能じゃないのかもしれない。ただ私の場合、一人じゃ無理だった。みんなが、オルちゃんがいてくれたから、戻ってこれたんだ。



 あんなところにずっと一人でいることになったらと思うと、それだけでもう気が変になりそうだ。



「いずれにしても、確証には至らないということか」



 現在"隻腕の死神"の正体についての確証はない。これは希望の話。ただ、先生だとしても先生じゃなかったとしても、私達の味方になってくれないかなという、希望だ。

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