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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
大罪魔獣
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実はさっき会ったんだ



 あの時のヒロトに、操られて、とかはなかった。自分の意思で、とは違うものの、操られている様子はなかったのは事実だ。その上で魔王となったヒロトは、アカリちゃんを『コレ』扱いし、無造作に捨てたのだから。



「あの、ユメちゃ……」



「ヒロ兄はさ……優しい人だったんだよ。それに努力家で……勇気があって……」



 ユメちゃんに、何て声をかけよう。言葉も決まってないのに、話し掛けた時だった。突然ユメちゃんの口から、ヒロトのことについて語られ、遮られてしまう。



「自分が何言われてもさ、言い返しもしないで。私やお姉が代わりに怒るんだけど、そんなことしなくていいって言ってさ。悔しくないのか、って思ったけど、影でものすごい努力してるんだよ。その姿が何だか、かっこよくてさ」



 語り出したのは、私の知らない……アカリちゃんとユメちゃんしか知らないであろう、ヒロトの姿。懐かしむように、嬉しそうに語るその姿は……どこか、アカリちゃんと被った。



「それで、自分のことじゃ怒らないくせに、私やお姉のことになるとすぐにカッとなっちゃって。特に私なんか、妹みたいに思われてたからさ、過保護っていうか何て言うか。私がイジメられた時なんか、強そうな相手にもすぐに相手に突っ掛かっていっちゃって。でも、私やお姉相手だとすぐへっぴり腰になって。私が嘘泣きした時なんか、面白いくらいうろたえるから何かかわいくって。怒ってても、すぐに元に戻るんだよ」



 暗いトーンから始まったヒロト語りは、徐々に明るい声色となっていき……思い出しているのか、頬を緩めて笑みを浮かべていた。その頬は、ほんのりと赤く染まっていて。それが何だか、アカリちゃんがいつも部屋でヒロトの話をしていた時の表情に、そっくりで……



 もしかしたら、ユメちゃんも、ヒロトのことを……



「だからさ……だからね。私がヒロ兄に直接会って、ぶん殴ってでも……元に戻してやるんだ。私の知ってる……大好きな、ヒロ兄に」



 顔をあげたユメちゃんの表情は、今までに見たことがないかわいらしい笑顔で……目尻に、涙が浮かんでいた。



 ぶん殴ってでも、か……私と同じようなこと言ってるな。旅を始めた頃の私も、あの男をぶん殴って……と決意を固めていたのだ。その気持ちは、今も変わらないけど……



「あー……ちょっといいかな」



 場がいい雰囲気になっていたところで気が引けるが、言いたいことがあるために恐る恐る手を挙げる。それによりみんなが注目し、無言ではあるが話してオーケーと言われているように感じた。



 なので私は……話しそびれていた、『あの体験』を話す。



「実はだけど……ヒロトに、会ったんだ。さっき……」



「…………」



 そう、ここに来て、人がいないか探していた時……複数のうちの一つの家に入り、それがおそらくどこかに通じていた。そしてそこで、ヒロトと再会したのだ。



「……はっ!?」



 いきなりの私の告白に肝を抜かれたのか、しばしの沈黙。それを最初に破ったのはオルちゃんだった。彼女は珍しくきょとんとした顔を浮かべながら、しばらくして我に返ると勢いよく私の肩を掴む。痛い。



「ちょ、ホントですの!? 私聞いてないんですけど!」



「は、話すタイミングがなくてぇ…!」



 前後にぶんぶん揺らされ、脳が揺れる。お、落ち着いてくれないと話ができない……!



 エドさんに引き離されたオルちゃん。あ、危なかった……揺らされすぎて軽い酸欠になるところだったよ。



 別に隠していたわけではない。タイミングがなかったのは本当だ。だってあの直後に、ここにいた人達の無惨な最期を目にし、ユメちゃんに会い、バランダとの戦いへと続いたのだから。



「でも、会ったって……いたの? ここに?」



「あぁいや、話すとややこしいんだけど……」



 言い方に語弊があったかな。でもこれ以外にどう言えばいいのかわからない。なので、さっきの言葉に補足するように言葉を並べる。



 人を探している最中入った一つの家、その中がどこかに繋がっており、そこてヒロトと再会したこと。ヒロトはやはり、私のことは覚えていなかったこと。そして……



「お姉……が?」



「うん……間違いない」



 死んだアカリちゃんの体が、そこにあったこと。ヒロトと会ったことに加え彼がアカリちゃんの体を確保しているという話だ、もちろん一番驚いているのはユメちゃん。ぶっ飛んだ話続きだけど大丈夫だろうか。



「え、それじゃあもしかしてアカリさん、まだ生きて……?」



「ううん、生命力は感じられなかった。……死んでるよ」



 期待を持ったオルちゃんであったが、その言葉を切り捨てる。だがその期待自体、無駄なものだとわかっていたのだろう。オルちゃんは普通だった。まるで、自分ではなくユメちゃんに、無駄な期待を持たせなくするように。



「まさか、死んだ者を復活させる、なんて考えてるんじゃ……」



「……死んだ者は生き返らない。どんな手を使っても」



 死者蘇生……それはたくさんの人々が夢持つだろうものであり、そして絶対に叶わないもの。死んだ者を生き返らせることは、できない。たとえ神様でも。

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