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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
大罪魔獣
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不審な影



 ……ここはどこかにある、洞窟のその地下深く。そこには怪しい機材や薬、謎の生き物がたくさんあり、見ただけで所有者の頭の危険度を思わせる。



 そんな中で、一際大きなモニターの前に座り、画面を覗き込んでいるのが一人。



 痩せ型で長身の男、病的なまでの肌の白さを持つのは……現在悪魔達の間で行方不明扱いされている悪魔四神、マッドサイエンティストのドッマである。



 彼はケタケタと気持ちの悪い笑い声をあげながら……



「んふへへへ……捗る、捗ルゥ! これダから研究はやメラれないトマらないィイい!」



 ……なぜか涙していた。泣きながらキーボードを打ち、それで喜びのような笑い声をあげている狂気の男がそこにいた。



 奇声を発し一心不乱にキーボードを打つその男を、少し離れた所で見ている人影が二つあった。



「マスター、何か、喜ばしい、ことでも、あったのですか?」



「マスター、少しきも……キモいです」



 そこにいたのは、以前リーシャ達の所へ現れた二体の人造人間(アンドロイド)。以前にも比べて、男の機体はたどたどしいながらも人間味のある話し方に、女の機体は元々話し方は人間に近かったが本心を言い直そうとして言い直せていない。



 しかしその毒舌を、ドッマは何でもないように聞き流す。



「いやいヤ、想像スベき事柄は何事モ試しテミるものダネぇ! 魔物を解剖して新しイ発見もアッたし!」



 相変わらず独特的な話し方で、興奮している理由を告げる。楽しげに話すその内容はまさに狂気そのもの。魔物を解剖、それも同じ魔のものをだ。常識では考えられない。



「新しい発見……ですか」



 ドッマの狂気を見慣れている……というより、その狂気から生み出された二人は特に思うところなく、新しい発見とやらに首を傾げる。



 興味がないように見えるのは感情に疎いからだが、そんなもの関係なくドッマは続ける。



「いやハヤ、今までこンナこと二思い至らなカッた己の頭が恨めシイ!」



 独特的な頭を抱え髪をかきむしり、それを食べる。その狂気の様子を見ている二人は、それがいつも通りと言わんばかりの無表情だ。ちなみに今回の髪は卵味だ。



「思い出シてね、以前悪魔になりたイトのたまってイタ人間がいたのヲ。まあ会っタコとはないが。是非とモサンプルとして会ってミタカったが、人魔戦争で大参謀殿に斬られたと。……が! そこにヒントを貰っタのだヨ!」



 語る間にもテンションが上がっていく。こうなってはもう止められない。元々彼は、その地にしかない薬草とかを求めて定期的に居場所を映してきたのだが、発見がある度にこれだ。



 今回は、その地にあるものではなく、そこいらに生息している生物に対しての発見であるが。



 その時、何かに気付いたように女機体が肩を震わせる。遅れて男機体も。



「彼は魔剣ヲ使用シテいたようデネ。そこで考エた! 人間の体内に、魔の気を流し込んだらドうナルか! あぁ、何故今まで思イ付かなかっタのかのか! あまリニ安易なモノだから逆二考え付かなかったトデもいうノカ!」



「マスター」



「創造、成果、そシテ発見! これゾ研究の醍醐味! アァいィ! これダカらやめラレない止まらないィ!!」



「マスター」



「……何だィ」



 人魔戦争での出来事、それをドッマは直接見てはいない。それでも、知る手段などいくらでもある。



 そしてそれをヒントに、新たな研究へと至った。魔の気……今回は、魔物の血を人間の体内に流し込むというものだ。



 これを試さなかったのは思いつかなかったのもある。魔物という、今となってはそこいらに生息している生物を目にしながら今まで考えが至らなかった。



 近くにあればあるほど、そこに目が向かないものだ。



 それともう一つ。今の世界で人間を生け捕りにするのに苦労する、それが大きい。だがその問題を解消したからこそ、今のドッマがいる。現に寝台には、ようやく手にしたサンプルが寝かされている。



 すでに実験を行われた、人間の姿がそこにはある。そして隣の寝台には、無惨にも解剖された魔物が。



 それによって得られた成果。魔の気を流し込んだ人間と、そして解剖された魔物のその中身。嫌でも高ぶる。その興奮を遮られたドッマは話しかけてきた女機体を睨むが、彼女がそれに怯むことはない。そして口を開く。



「接近者です。およそ一キロ先に」



「……接近者ァ? ここへ? 一キロとは、こレまたずいブんと……」



「はい。約五秒後に到達します」



「……ハァ?」



 告げられたのは接近者の存在、そしてここに到達するまでの時間。それを聞き、さすがのドッマも開いた口が塞がらない。



 接近、というからにはこの場所を狙っているということ。なぜここを突き止められたのか、一キロ先にまで接近されたことへの驚きは、この際置いておく。。



 到達ということは確実にここを狙っている。偶然ではない。問題は、その時間だ。何かの間違い? それともミサイルでも撃ち込まれたか?



  ……いや、女機体は接近"者"と言った。設計者は自分だ、そんな間違いはあり得ない。



 しかし……一キロ、歩いて十分ちょっとはかかる距離だぞ? それをそんな短時間で可能なのか? あり得るのか? あり得たとして、いったい誰が……



 嫌でも驚きに支配される。そして、その微かな驚きが隙を生み、判断を鈍らせる。我に返った時にはもう遅い。判断を下そうとした直後……轟音を立てて、洞窟は崩壊した。

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