聞かせてほしい
私はこれまで、エルシャにひどいことをしたと後悔していた。後悔しても、もう謝ることも何をすることもできないのに。でも、後悔せずにはいられなかった。
だからまさか、一緒にいたかったから、なんて風に言ってくれる人がいるなんて、思ってもみなかった。
実際、その通りであると証明する方法はない。仮にユメちゃんの言うように、一緒にいたいがためにだったとしても……それでエルシャへの、数々の行いが帳消しになるわけじゃない。
でも、そう言われたことで……そう思うことで少なからず、心が軽くなるのを感じた。そんなのは身勝手だと、わかっているのに。
「な、泣かないでよもう」
「だってぇ……」
自分で自分がわからなくなる。今でこそだけど、あの頃私は本当の本当はエルシャのことをどう思っていたのか。もう、確かめようもないけど。
……こんな気持ちになるなんて、あの頃は考えもしなかったな。
「リーさんは泣き虫ですからねぇ。最近はともかく、以前は夜な夜な一人で泣いてるなんてしょっちゅう……」
「なな、そんなことないもん! 泣いてばっかじゃ……って何でオルちゃん泣いてんの!?」
少し気持ちがブルーになっていたところへ、まさかの暴露話。以前……正確にはオルちゃんと二人で旅をしていた頃、その時私が泣いていたということをばらされてしまう。
あの頃はまだ旅を始めたばかりで、いろいろと悲しみとか寂しさとかがあって……!
とっさに反論しようと、暴露した張本人であるオルちゃんに言い返す……つもりが、なぜか彼女は泣いていた。もしかして、ユメちゃんの言葉に感銘を受けたのだろうか。
この中じゃ諸々の事情を一番知ってるし、衝撃を受けた可能性はある。
「いい、話ですわ……」
「それはそうなんだけど私よりめっちゃ泣いてるじゃん……」
まあ、オルちゃんの感受性の豊かさは今に始まった話じゃないけど。それに、私達の仲で……エルシャと一番仲がよかったのは、彼女かもしれない。
趣味が合うというか、似た感性の持ち主というか……だから、思うところもあるのだろう。
「私だって、同じだよ。お姉が死んだって聞かされて……しかも、それが……」
そこへ、自分も同じだと語るユメちゃん。その言葉には、やはりどこか寂しさがあった。それに、どこか信じられないという気持ちもあるのかもしれない。当然だ、彼女は姉の死を見たわけではなく、聞いただけなのだから。
最後言葉がうまく聞き取れなかった。でも、予想はできる。アカリちゃんが死んだ、その原因。メルガディスが話してしまった、アカリちゃんを殺したのがヒロトだということ。
「……だから、聞かせて。ちゃんと。お姉の……最期。ううん、他にも……たくさん」
それでも、彼女は向き合うことを決めている。何て、強い子だろう。もしかしたら実感がないだけかもしれない。それでも……
「……わかった。順を追って、説明するね。まず、私の話から」
ユメちゃんが向き合うと決めた以上私も逃げるわけにはいかない。彼女に向き直り、軽く深呼吸。
今から話すのは、さっき話したものの続き……エルシャが人間界に来てから……私達と出会ってからの話。私が神力学園に通ってからの、話。私が生まれてからの、話、
長い話になる。それでも、ユメちゃんは……エドさんとスカイくんも、聞く姿勢を崩さない。オルちゃんが、後押しするように背中を叩いてくれる。それに安心感を覚えながら、私は……
「私が、天使と人間のハーフだって知ったのはね……」




