行かせるか行かせないか
「仕方ない……連れてってくれるなら、む、胸くらいなら触らせても……」
「だから誤解だから!」
……正直な話、ユメちゃんの言い分もわからないでもない。姉であるアカリちゃん、慕っていたヒロト……大切な存在を失い、それでも自棄にならないのは彼女は強い子だと思う。
でも、だからこそじっと待っていることなんて出来ない。私が同じ立場でも同じことを思うはずだ。
一方、エドさんの言い分……私も思っていることだが、何の力もないユメちゃんが同行するには危険すぎる。
……それを言ったら、スカイくんはどうなんだと言われそうだが。彼は特別だ、戦闘能力は関係ない部分で。
この両者の言い分がわかっているから……簡単には決められない。そしてそれを話し合っている二人は、オルちゃんのせいで話が変な方向に向かっていた。
「な、何ですか! 私のは小さいからお呼びじゃないってことですか! こ、これでもお姉よりは、成長してるんだから!」
「そもそも誤解だと言ってるじゃないか! それにそういう問題じゃない!」
いろんな意味で必至だなあ、ユメちゃん。けど、エドさんの言うようにそういう問題ではない。触らせようがダメなものはダメだ。
アカリちゃんもまさかこんなところでこんなこと暴露されるとは思ってな……あれ、ちょっと待って。
ユメちゃん、アカリちゃんよりあるの? ってことは……え、私よりもあるの? いや、いやいや、そんなことは……
「ぐう、ぅ……」
「どうしましたリーさん、地に手をついて……お腹でも痛いんですの?」
「ううん、何でもない……」
いやいやだってほら、アカリちゃんとユメちゃんが最後に会ったのがいつかはわからないけど……少なくとも半年以上は経ってる。
それだけあれば、私だって少しは……いや、それだと条件はユメちゃんも同じで……くぅう……
ちらっと、ユメちゃんを見る。うーん……微妙に膨らんだ胸元。……あれ、やっぱり私より……でもでも、見ただけじゃわからないし……
……天力使って、どれくらいあるのか計測してみようかな。
「おーい、リーさーん」
「はっ」
突如目の前に、大きく揺れる二つのメロン……いやオルちゃんの胸が。危ない危ない、何だか思考が変なとこに向かってたよ。しっかりしろ私。
……しかし、大きいな……現在進行形で『これ』について考え事してた私への当てつけかこのやろう。
「どうしたんですの? やっぱりまだ疲れが?」
「へぁ!? な、何でもないって! それより、どうかした!?」
心配してくれるのは嬉しいが……言えない。ユメちゃんを同行させるさせないではなく、胸の大きさで悩んでいたなんて。
苦笑いを浮かべるしかない私であったが、何でもないとごまかすことはできた。オルちゃんはというと、困ったように眉を下げて後ろを振り返っていた。
そこにいたのは、折れる様子のないユメちゃんと困った表情のエドさんだ。
「弱ったな……頑固だなあ、キミ」
「えっへへ。頑固なのは私の取り柄ですから!」
どうやら、エドさんももう限界らしい。折れないユメちゃんに、エドさんの方が折れそうになっているようだ。頑固だと言うが……それだけ、彼女の決意が強い、ということでもあるんだろう。
「話は平行線……いえ、ユメちゃん優勢ですわね」
その熱に当てられたのか、それとも初めから否定的ではなかったのか……オルちゃんは、どうやらユメちゃんの動向に賛成寄りらしい。
……となると、あとは私か。
「……あの、ユメちゃん……」
「あっ、ちょっといいですか!」
私も、自分の意見を告げようと近寄った時だった。それに気付いたユメちゃんは「はいはいっ」と手を上げている。いったい何かと聞いてみると……
「……最終的な結論出す前に、殺されたみんなを弔うの、手伝ってくれないかな」
……その内容は、バランダに殺された人達のお墓を作りたい、というものだった。




