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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
大罪魔獣
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強さの意味



「……う、ん……」



 意識が、覚醒する。どうやら私はあのまま眠ってしまったようであり、たった今目覚めたらしい。寝る前には節々が痛かった体は今は少しは楽になっている。



 それにしても、何だか寝心地がいい……



「あ、起きましたか?」



「わひゃあ!?」



 目を開けるとそこには、オルちゃんの顔があった。互いに吐息を感じられるほどに近く、思わぬ距離感に変な声が出てしまった。



 ……あれ、オルちゃんの顔が目の前にあって、頭には柔らかい感触がある。これってまさか……



「オルちゃんこれ、ひざまく……」



「膝枕ですわよ?」



 私の予想通り、今の私はオルちゃんに膝枕されている状態らしい。いくら女の子同士とはいっても、こういうのはさすがに恥ずかしいというか……



「ご、ごめん! 重かったよね!?」



「そんなことありませんわよ? それに、リーさんの寝顔を間近で見られてラッキーでしたし」



「ぬぉおお……」



 これまでにも、オルちゃんに弱みを見せたことはあるが……それでも、慣れないものだ。しかも、この場にいるのは私達二人だけじゃないし……



「あっ、みんなは!? ……っつ……」



「ほらほら、まだ安静にしてないとダメですわよ?」



 他のメンバーのことを思いだし、起き上がろうとするが、頭を殴られたような衝撃が走り起きることは叶わなかった。再びオルちゃんの膝の上に頭を乗せられ、撫でられる。



「みんな、無事ですわ。スカイくんとゴンちゃんはまだ寝たままなのでユメちゃんが傍に。警戒は怠れないからと、ドッさんは見回りに」



 現状は、私が眠ってしまう前とたいして変わってないようにも思う。スカイくん達もまだ寝ているということは、そんなに時間は経っていないのだろうか?



「そっか……私が眠ってから、どれくらい経ってるの?」



「ざっと三時間くらいですかね。よだれ垂らしてかわいかったですわよ?」



「へえ、そうなん……!?」



 私が眠ってしまってからの時間、あまりにもさらっと言うものだから、ついつい流しそうになってしまった。さ、三時間? 三時間も私は眠ってたの? しかもよだれ!?



 ということはまさか、オルちゃんは三時間ずっとこの体勢のままで? ……うわぁ、それは何というか……



「ご、ごめん……」



「これくらいお安いご用ですわ!」



 私には膝枕なんて経験はないけど、正座をしたまま三時間、しかも人の頭を乗せておくなんて、相当しんどいのではないだろうか。



 それを、気にするなと胸を叩くオルちゃんは器が大きいなあ。胸も大きい。



「おや、起きたみたいだねリーシャ」



 改めてオルちゃんに感謝を感じていると、別方向から声が。見ると、そこにはエドさんがこちらに向かって歩いて来ている姿があった。この人にもいろいろ見られちゃったかな……



「ドッさん、どんな感じですの?」



「幸運なことに、周りに邪な気配はない」



 二人のやり取りから、どうやら周りに魔物や悪魔がいないことがわかる。身を隠す場所もない、こんな剥き出しの場所に三時間もいたのに見つからなかったのは幸運と言えるだろう。



「すみません、エドさんにも迷惑を……」



「構わないよリーシャ。それより……あー……よだれ、ついてる」



「……!?」



 言いづらそうなエドさんの発言に、顔が真っ赤になっていくのを感じる。急いで口元をぐしぐし手で拭う。お、オルちゃんに見られるのも恥ずかしいのに、男の人にまで見られるなんて……



「あ、安心してくれ! 別に今回が初めてじゃないし、そんな気にすることないって!」



「!?!?」



 私の反応を見て、おそらくフォローしてくれようとしたのだろう。けどそれは、私にとっては恥の上塗りでしかなかった。



 こ、今回が初めてじゃないって、私今までにもこんなマヌケな顔を……?



「……っ! っ!」



「ドッさんは紳士ですけど、デリカシーには欠けますわよね」



「えっ」



 その後、何とか動けるまでに回復した頃にはスカイくんとゴンゾウも目が覚めていた。私とは違って、スカイくんもゴンゾウも目覚めた後には体はピンピンしていたようだ。ちなみに、スカイくんに合体中の記憶は残っていた。



 ……今回の件で新たに明らかになった謎。それはたくさんで、しかも一つ一つの問題が濃い。そしてそれとは別に、痛感したことがある。それは……



「……強く、ならないとな」



 私自身の、弱さだ。あれから……人魔戦争の時から、強くなったつもりでいた。でも、そうじゃなかった。本当に、つもりだけで……全然、強くなってなんてなかった。



 天使としての私の力が、あの子……バランダには、全然通用しなかった。それどころか、一方的にやられるだけ。今まで相手にした悪魔や魔物とは格が違うとはいえ、あまりにも……



 だがそれよりも……私の内面的なものが、弱いことを痛いほど知った。バランダとの戦闘中に意識を失い、意識が戻った時には惨劇となっていた。



 私が思うに、あれは私の中の精神的な弱さなんじゃないかと思う。だから、精神面で強くなることができれば、きっともうあんなことは……



 強さとは、何も力のことだけをいうのではない。だから、私は……



「強く、なるんだ……」



 バランダにも、そして自分にも……負けないように。

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