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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
大罪魔獣
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そらに染められそら染まり



 魔力を足場としているスカイくんは、空中を文字通り走り魔物達を屠っていく。魔力で部分強化した爪で、足で。



 空を飛ぶ……いや走る相手に、飛んだりする手段を持たない魔物達に為す術はない。飛びかかっても魔力弾を放っても避けられるだけだ。



 その際も、魔物は私達に見向きもしない。そこで思ったのだ。興味を示さないのは……スカイくんの放つ魔力に惹かれているからではないか、と。



 それならば、これだけの数の魔物が、こうも無防備な私達に興味を示さないのは説明がつく。理屈はわからないし、例えその仮説が事実だとしても天力のことならともかく魔力のことは私にはわからない。



「はぁああああ!」



 こうしている間も、魔物は数を減らしている。それでも、私達に意識を向ければ襲い掛かるのは簡単だ。



 つまり……今のスカイくんには、魔物を惹きつける何かがあるのだろう。それが何なのかは、私にも、おそらく本人にもわからないのだろうが。



「がるるるぅあ!」



 自在に空中を蹴り、狙いを定めて魔物を屠っていく。その姿に、あの臆病なスカイくんの面影はない。本当に本人なのかと疑いたくもなる。だが、彼は間違いなくスカイくんだ。



「っせいや!」



 魔物の力を自分のものとし、その力で魔物を倒している。……何とも妙な話だ。一体、一体とまた数を減らしていく魔物を見ながら、私はふと思う。



 ……天使が作った空間、天使の血を引く私でもそこへ入る方法はわからなかったのにそれを暴いたこと。天使の誰も、精霊すらかなり接近しなければ気が付けなった、天使に化けた悪魔を見抜いたこと。魔物と合体し、それを自分の意思で操っていること。



 そして……彼と出会った時。悪魔に支配されたこの世界でただ一人、それもこんな子供が、ゴーストタウンと化した街で生き残っていた。



 悪魔や魔物、魔獣の蠢く世界で。運がよかった、と言えばそれまでだが……



 スカイくん……キミは、いったい……?



 魔物の数が数え切れるほどに減った頃、場に動きがあった。それは、先ほどスカイくん達を踏み潰した恐竜型魔物が動き出したことだ。



 まるで、今までは様子見だったと言わんばかりに身を乗り出し、口を開け咆哮する。



 おそらくは、この場の魔物の中で一番強い。その魔物がついに動きだし、狙いを定める。人一人簡単に踏み潰せる足を持つ本体の大きさもそれなりで、それだけでも周りの魔物よりも一線を越えている。



 体力も消耗してない恐竜型魔物に対し、スカイくんは数々の魔物を相手に少なからず体力は消耗している。それに、どうやら魔力も。



「ギィアアアア!」



 吠え、振動が大気を震わせる。そのまま恐竜型魔物は口を開き、その中に魔力を溜めていく。ある程度の力が溜まったのか、それを漆黒のブレスとして放つ。



 狙いは間違いなくスカイくん……だが、その攻撃範囲の中にいた魔物も巻き込まれ、消え去っていく。敵味方関係ない、高火力の攻撃。



 それに気付いたスカイくんはとっさに、近くにいた最後の魔物をブレスに向かって投げつける。盾となった魔物は消え去るが、少なからず時間稼ぎにはなる。



 その時間を使い魔力の盾を展開。それにブレスがぶつかると……ブレスを防ぐでなく受け流すために展開された盾は、ブレスの軌道を上空へとずらす。



「ふっ!」



 それを見届けスカイくんは恐竜型魔物に向かっていき、恐竜型魔物は再び攻撃の体勢に。狙いをつけさせないためか空中を上下左右に移動するスカイくんはあっという間に恐竜型魔物の懐に。



 そして……



「せあっ!」



 右足を魔力で部分強化し、顎を蹴り上げる。強制的に口を閉じられ、溜めていたブレスが口の中で爆発した恐竜型魔物は悶絶。自分の攻撃の威力を、自分の口の中で味わったことになったのだ。



 悶絶した隙を狙い、今度はスカイくんは右腕を魔力で部分強化。魔力は爪のような形となり、巨大化していく。それを振り上げ、恐竜型魔物へと向けて……



「だぁあああ!」



 一気に振り下ろした。それをくらった恐竜型魔物が地に倒され消滅したことが、その威力の凄まじさを物語っていた。



 同時にスカイくんの体から魔力が消滅し……次の瞬間にはスカイくんとゴンゾウに別れ空から落ちていた。魔力を、使い切ったのだろう。



「スカイくん!」



「ゴンちゃん!」



 落下していく一人と一匹。気を失っているのか、どちらも動く気配がない。せっかく魔物を倒したというのに、気を失った状態であの高さから落ちたら……!



 幸い、スカイくんが戦ってくれていたおかげで、少しではあるが力を回復することはできた。神力でも天力でもどっちでもいい、とにかく、スカイくんとゴンゾウを助けないと……



「“水の絨毯(アックマット)”」



 このまま地面に激突すれば無事では済まない。だから力を振り絞ってでも、助けなければ。だから私は、意識を集中させ……そして同じ時に、そこへ声が響いた。聞き覚えのある、声が。



 その声に従うように彼らの落下位置に水の塊のようなものが出現し、落ちてくる一人と一匹を受け止める。



 水だからと突き抜けることはなく、受け止めるそれは落下の衝撃を吸収するほどに柔らかい。おかげでスカイくん達は無事。彼らを受け止めた水の技を出したのは……



「オルちゃん!」



 落ちるスカイくんとゴンゾウを助けた人物……それは、地面に倒れながらも手を向けるオルちゃんだった。先ほどまで気絶していたのだが、いつの間にか目を覚ましていたようだ。



 まだ動けるほどには回復してないようだが。



「何だかよくわかりませんが、落ちていたようでしたので……」



「ナイスだよオルちゃん!」



 目覚めたばかりで、状況も掴めていないだろうに即座の判断力。本当、頼りになるよ。

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