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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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神力学園の落第生



 ーーー人は皆平等だと言うけれど、人は生まれながらに不平等だと俺は思う。



 金持ちの家に生まれた子供、貧乏な家に生まれた子供。才能に恵まれた子供、何の取り柄も持たない子供……想像してみれば、この世は正反対の人種にあふれている。



 人は生まれながらに不平等だ。そうは思わないだろうか?



 この世界を作ったのが神様だと言うのなら、神様って奴は何ていい加減なんだろう。そんないい加減な神様に俺は生まれてこの方祈った事がないし、これからもそのつもりはない。



 例えば神様に、お金持ちになりたいとか恋人が欲しいと祈ったところで、そいつを神様が聞き入れてくれたことがあるだろうか?……少なくとも俺の周りにそんな奴はいない。無論、俺自身にも。



 だいたい神様ってのは、人間が作った都合のいい空想の産物だろう。そんなものいるわけがない。もし実在するなら、目の前に現れて「私が神様です」と言ってほしいものだ。



ーーー



「えー、ついこの前神頼みした私の前でそんなこと言う?」



「気にすんなって、これは自論だから……別にアカリが神教者でも俺は気にしないから」



 少し肌寒い今日この頃。最近、寒いと思ったらいきなり暑いくらいになったり、その逆だったり……気候がおかしく感じる。



 そんな想いを持ちながら俺は、目指す場所へと向かって足を進めていた。



「だいたい、ヒロトだってしたじゃない、お参り」



「あれはお前に着いてっただけだし、願い事ったって儀式的なもんだ。本気で叶うと思って願ってねえし。

 そもそも、願いをしてそれが全部叶うなら、この世の中は金持ちやスポーツ選手であふれてると思うぞ?

 願い事だ神頼みだ言っといて、それを神様が叶えてくれんのか? 答えはノー、だ。なんだかんだいって叶えるのは自分だよ。だから、俺は願い事とか……」



「あーはいはい、わかったからめんどいなぁ」



 神頼みだの願い事だのと自論を話す俺に、隣の人物は呆れたように首を振る。まあ、この話は何度もしてしまっている気がするから、その反応も致し方ない気もするのだが。



「でもさ、ヒロトのその言い方だと、私達のこの不思議な力はどう説明するのさ?」



「それは……DNAの突然変異的な?」



「あっははは! それは新しい見方だね!」



 隣で腹を抱えて笑いやがる隣の人物……幼馴染のアカリ・ヴィールズは、「あーおかし…」と言いながら浮かべた涙を拭う。涙浮かべるほど笑うかよ。



「まあでもいい線ついてると思うよ。ヒロトみたいな非神教者にはそれが一番しっくりくるかもね!」



 そう言ってアカリは近くに落ちていた空き缶に手をかざす。すると空き缶が宙に浮かび、近くのゴミ箱へと吸い込まれていった。



「通称"神力(しんりょく)"。神様から授けられた不思議な力……そう習ってきたし、そう思ってる。DNA云々も、ないことはないかもだけど」



 今アカリがやって見せたように、俺達にはこの不思議な力がある。物を浮かせたり何もない所から火を起こしたり……俗に言う魔法、超能力と言うやつが備わっている。人によって差はあれど。



 そしてこの力は、誰にも備わっているわけではない。今から俺達が通う学校、神力学園に集う生徒はこの力を持っている。



 いや、この力を持っている者が集められる、と言ったほうが正しいか。



 しかし、神力学園とは何と安直な名前と思ったが、まあその為の学園なのだから当たり前と言えば当たり前か。



「ところで今日は神技テストだけど、ヒロト大丈夫?」



 隣を歩いていたアカリが一歩前に出て、くるっと回る。赤毛の髪がふわっと揺れ、くりっとした目で俺を見つめてくる。



 アカリは女子の中でも小柄な方なので、俺を見る体勢は自然と上目遣いになる。大きな、真っ赤に燃えているような赤色の瞳が俺を覗き込んでくる。



 神技テストとは、神力をどの程度、どのレベル扱えるか、それらを確認する行事。……まあ、その名の通りテストだ。



「そういうお前はどうなんだよ?」



 俺のことはいい。ごまかすように問い掛けを返す。まあ、聞くまでもないんだが。俺の問い掛けに対して、アカリは……



「私?ふふーん、私を誰だと思ってるの? 数多の生徒が集う神力学園の中でも、一、ニを争う超絶美少女の実力者、"閃光の輝き"アカリ・ヴィールズ様ですぜ?」



 自信満々にその小さい胸を張る。決まりはないが、いつの間にか二つ名まで付けられていたのだ。



 閃光とは、入学してから目まぐるしい速度で実力を上げていったということから付けられたようだ。カッコいいと本人は喜んでいる。



 だが閃光と輝きの意味が重複しているのに本人は気づいていない。誰が言い出したのか知らないが付けた奴も付けた奴だが、気づかない本人も本人だ。



 だが実際、入学してからのアカリの成長速度は目を見張るものがあり、二つ名が微妙なことを踏まえてもすごい人物である。



 そんなアカリと一緒にいる俺も、さぞや凄まじい実力なんだろう……そう期待されてしまうことも、アカリの近くにいた俺には珍しくなかった。初めの頃こそ。



 ……そんな、俺の実力はというと……



ーーー



「ヒロト・カルバジナ、Eランク」



「はぁ……」



 恒例行事のように告げられる台詞。またこの点数か。日々努力してるのに、一向に成績が上がらない。



「またEかよ……」



「あはは、ださーい」



 聞こえてるぞ、このモブ共が。



 この神力学園の測定制度には、一般的にA~Dのランクがある。Aに行くほど神力が強く、それ故待遇もいい……まあそんなとこだ。今やっている神技テストがまさにそのランクを計るものである。



 ちなみに例外として、Aランクでも測れないほどの神力を持った者はSランクと認定される。とはいえ、Sランクなんて過去一人しかいないらしいのだが。



 その名前も性別さえも、知っている人がいるのかもわからず半ば伝説のようになっているが。



 それで、S~Dでもない俺のEランクとは何か。その答えは簡単だ。それは……



「カルバジナ……一体キミはいつになったら……はぁ。このEランクというのはキミだけなんだぞ?」



「あはは……いつなんでしょうね」



 俺の成績を見てため息をつく先生。そう、この学園でEランクは俺だけ……というより、俺の成績がDに収まり切らないほどにあまりにも酷すぎてEというランクが設けられたのだ。



 つまり、Eランクとはこの学園で最弱の神力の持ち主という事であり、しかも唯一の人物という事だ。何たる不名誉だろう。



 入学してしばらく経つが、神力のレベルが全然上がらないのだ。努力が実らない、とはまさにこのこと。



 定期的に行われる神技テストの結果以外でも、例えば神力を使う授業なんかでも、俺の神力は見事に別の意味でその力を発揮してくれる。それが重なり、俺の実力が知れ渡ってしまったわけで。



 この学園では、少なからず神力が扱える者が集められる。その中では俺のように神力の弱い者も例外ではない。



 だが、努力したり教えてもらえば、神力は上達するもの。だというのに、俺は全く上達しない。



 神様に与えられただとかいうこの力。いくら努力しても応えてくれず、願い事だって聞き入れてくれない。神力が、せめて人並みのレベルになりたい。



 もしこれが神様に与えられた力ならその願いは叶えられるんじゃないのか。……だけど、そんなことは起こらなかった。



 だから俺はアカリの言う、非神教者になってしまったわけだが。



 全く、苦笑いが止まらないよ。仮にもSランクが存在したならば、Eランクの俺は学園で唯一という意味では全く同じでありながら、その中身が意味するところは正反対なのだから。



 全く上達しない。それも、学園史上初の最低ランク保持者として名を残すことになった。そんな俺を、周りの奴らは次第に『落第生』だなんて呼ぶようになった。



 無論、直接呼ぶ奴なんてあまりいないけど。だが影で言われるよりは直接言ってくれた方がいい。



「ま、まあヒロト!焦る必要はないって!今回は調子が悪かったんだって!自分のペースで行こうよ!ね!?」



 一人自己嫌悪に陥る俺を慰めるようにやって来る、アカリ。そうやって俺のことを心配してくれるのはこのアカリだけだが、悲しいかなこいつは本人が豪語する通り、一、ニを争う実力者。



 A~Dランクの中でも最も高いとされる、Aランクの持ち主だ。しかもその中でも上位に入るほど。



 "閃光の輝き"などと微妙なネーミングはさておき一年生にして学園の中でもトップクラスの実力を持つのが、このアカリ・ヴィールズなのだ。



 そしてその側にいる、Eランクの俺、ヒロト・カルバジナ。当然、学園屈指の実力者アカリと、学園屈指の最底辺の俺が仲良くしていることに、周囲でいい目をしない奴らは多い。



 俺も、俺のせいでアカリまで変な目で見られることになったら良くないと素っ気なくしたりもしたのだが、こいつはそんなの気にせず絡んでくるんだ。全く……



 そんなこんなで……俺が通うこの神力学園。ここでは俺は……肩身が、狭い。

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