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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
黒い少女
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ひとりぼっち



 悪魔でもない人間でもない半端な存在。それでもバランダは、『悪魔』としてではなく……『人間』として、カリーを殺したのだ。



 カリーに突き刺した包丁は奥まで、動かなくなるところまでねじ込む。痛みに身もだえていた体は、次第に動かなくなった。最後まで睨みつけてくる視線を受けながら、バランダは包丁を引き抜き……無造作に捨てた。



 その時にはもう、バランダの意識はほとんどなかった。茫然自失、そんな様子で……ただ、家に火を付けたのだけは覚えている。燃える家を背に、あてもなく歩いていた。



 ちなみにこれはバランダも知らないことだが、カリー含め四人の人間が無残な死を遂げたこの事件は当初迷宮入りとされていた。あまりに不可解な要因が多すぎるからだ。



 バランダという少女の存在が公に知られていないというのも要因の一つだ。人間界で戸籍が登録されたリーシャとは違い、バランダは生まれてからもその存在を登録されることはなく、そして誰も知らない。



 外に出なかったことで、バランダのことを知っている者は誰もいない。全く出なかったわけではないが、それでも出なかった頻度の方が圧倒的に多い。



 誰かと話すこともなかったし、バランダの存在を知る者は父と母以外にはいない。そしてそれは、悪魔であるロムに対しても同様のことが言える。



 カリーは、人間界では独身として認識されている。だがおかしなことに、この家には『夫婦』そして『子供』が暮らしていた痕跡がある。それはおかしい。別の人の家? しかしここはカリーの家で間違いない。何が何だかわからない。



 結果、この件は、男達が家に押し入り揉み合いの末乱心、乱心した男達が仲間割れを起こし他を惨殺、残った一人が後に自殺し全滅したとの見解に至った。あまりに不可解な要因を残したこの事件は、こうして一応の決着を見せた。



 この事件を引き起こしたバランダ。しかしバランダの存在をひた隠しにしていたことが、皮肉にもバランダがカリーらを殺した事実を殺すこととなったのだ。



 ……どれほど歩いただろう。家から、あの場所から早く離れたくて……ただそれだけで、目的もなく歩いていた。いつの間にか、バランダの姿は人間のものに戻っていた。



 明るくなって暗くなって、また明るくなって……どれだけ火をまたいだか、数えるのも面倒になっていた。



 何を目的に、これから生きていけばいいのか。いや、そもそも……生きていく意味はあるのだろうか。父を失い、母に捨てられ、そして殺し……生きる意味はあるのか。



 頭の中を、そればかりがしめていく。



 いっそ、死ねば楽になるのだろうか。男達を殺したように、自分にはその力がある。人にはありえないこの力を使えば、自分の命を絶つことも容易いだろう。



 ……なのに、踏みきれない。生きる意味を見出だせないのに、死ぬ勇気がない。



 とはいえ、母との別れの日から、ほとんど何も口にしていない。せいぜい、落ちている木の実を食べたり、雨水をすすったり。まあ元々、たいした食事はしていなかったのだが。



 それも相まって、バランダの体力はみるみる疲弊していく。同じ年頃の人間ならば、とっくに倒れていてもおかしくない。まだ歩けているのは、バランダに人以外の血が流れているからだ。



 自分で死ぬ勇気がないなら、このまま衰弱死してしまおうか。そんなことを考え始めたのは、いつだっただろう。日に日に弱る体。灼熱の太陽に照らされ脱水症状になり、食べ物も飲み水も、雨すら降らない。



 もう、体力も限界で……糸が切れたかのように、ついに倒れたのだ。

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