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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
黒い少女
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許されないこと



 瞳に狂気を、殺意を宿し吠える。それと同時、世界を包み込む闇は私とあの子を覆い尽くし、それはまるでドーム状に形を形成して……



「スライディングっ、ですわ!」



 ……二人が闇に包まれる寸前、声と共に誰かが中に入ってくる。直後、闇は内部と外部とを遮断するように、世界に三人だけを残した。



「これ、は……」



「結界さ。これで、外からは誰からの邪魔もはいらねえ。……ま、一人変なのが入ってきたみたいだけどな」



 私とあの子、そしてもう一人を飲み込み、ドーム状に形成された闇は、どうやら結界のようだ。



 それがどういった影響を及ぼすのかわからないが、結界の意味を考え彼女の言葉を受けるに、私達は外と完全に遮断されてしまったということだ。



 私と、目の前の黒い女の子。そしてもう一人だけを。その、もう一人は……



「お、オルちゃん……?」



 聞こえた言葉通り、スライディングしてきたらしい。砂に汚れた服を払いながら、彼女は苦笑いを浮かべながら舌を出していた。何で、ここに……?



「やっぱり、心配で来ちゃいましたわ。てへへ……」



「来ちゃいました、って……」



「あ、ユメちゃんのことなら心配ご無用ですわ! ドッさんとスカイくんに任せてありますので!」



 私が心配していることだと思ったのか、私が声を掛けるよりも先に、オルちゃんは親指を立てて話す。



 それが心配なのは事実だけど、そもそも初対面の人に預けてしまってどうなのだろうと思いはしたが……それよりも!



「き、危険だよ! ここ……いや、彼女は! だから、早くここから……」



「ダメですわ、まーたリーさんの悪い癖、自分一人で抱え込もうとして!」



「そ、それは……」



「まあどのみち、結界とやらで逃げられませんし……」



「あっ」



 結界により、外から中に入ることも、その逆も出来なくなってしまった。結界を壊すことが出来るかもしれないが、そんな隙を目の前の子が見逃してくれるとも思えない。



「おまけが着いてきたが、まあいいか。あの連中みたいにどうせ全員殺すんだし」



「……! あの連中……全員……?」



 目の前で笑みを浮かべる女の子の言葉に、私は引っかかりを覚える。同時に、嫌な予感が湧いてくる。



 女の子は何がおかしいのかますます笑みを深くする。それはまるで、おもちゃを手にしたばかりの子供が……



「あぁ、アンタも見たんだろ? ……あの、死体の山」



 ……壊すということに何の罪悪感も持っていない、悪を悪とも思ってない、無邪気な表情だった。



「……あなたが、やったの?」



「あぁ? あぁ……どうよ? いい刺激剤になったろ?」



 ざわざわと、全身の毛から神経へと、敏感に何かが働きかけているのがわかる。あの惨状を引き起こしておいて、どんな悪辣な言葉を吐くかと思えば……ただの『刺激剤』と。



 それはつまり……私に、あの光景を見せるためだけにあんなことをしたってこと?



「いやあ、爽快だったぜ。一人一人手を掛ける度に、『助けて』だの『誰か』だの叫び声が大きくなっていくんだ。普段なら耳障りな声も、それが奴らの嘆き悲しみの声だってんだから……」



「もういい……」



 その一言一言を聞く度に、胸の中が熱くなっていくのを感じる。お父さんを殺された時とも、アカリちゃんを失った時ともまた違う、ふつふつと湧いてくる感情。



 その感情の名を、私は知っている。……『怒り』だ。それも、今までにない純粋なまでの。今までは、怒りと、それ以上に自分自身の力の無さを嘆いていた。自分自身への怒り……とも言える。



 でも今回は……違う。



 こんなことを、こんな理由で起こした。それを引き起こした張本人に、私は……



「もういい、もう喋らなくても。……お前は、許さない!」



 感情が高ぶり、私は力を解放させる。天使の翼を広げ、天力を高める。ただ、感情に身を委ねはしない。心は熱く、頭はクールに……これが、あれから学んだことだ!



「待ってくださいリーさん! 私も……」



「オルちゃんは、結界をどうにか出来ないかお願い! 結界を張った本人を倒せば結界が解けるのが王道……とは言っても、そうじゃなかった場合ここから出られなくなる!」



 確かに、オルちゃんと力を合わせた方が心強い。けど、あの子を倒したあとにここから出られなくなる事態になっても困る。ここは、同時進行だ!



 それに……



「大丈夫! レイもいるし、何だか力が湧いてくるの!」



「キシシシ……結界を張った本人を倒せば、か。それはつまり、アタシを倒せるつもりってことだよな?」



 オルちゃんの心配を払拭するような言葉は、決して強がりではない。これまでにないほどに、内から力が湧き出てくるのだ。竜を伏し倒す力を出せる、レイの存在もあるのだ。



 そんな私に対して吐き捨てるように言った彼女は、その背中から悪魔の翼を生やす。同時に、さっきまででも感じていた魔力の圧力が増す。物凄いプレッシャーだ。気を抜いたら、立っていられない。



「さあ、楽しもうぜ!」

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