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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
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予期せぬ再会



 建物に入り、訪れた謎の空間。先の見えない道に、終わりがあるのかと思い始めた頃、そこに光を見つけた。こんな暗い空間に、いやに目立つものだ。



 それが何かはわからないけど、それを私は、この目に収める。



「……え?」



 そこで、私の頭は真っ白になる。だって、私がそこで見たものは……



「何……これ……なん、で……」



 何度目になるか……答えの返ってこない疑問は、呟きとなって出て、そして消えていく。



 部屋に置かれた……いや、そこに存在している、と言った方がいい。それほどに存在感のあるものだ。それは、人一人が余裕で入れるカプセルのようなものだ。巨大なそれは、私の目の前に堂々と存在している。



 中には、何やら緑色に発光する液体が入っている。発光の理由は定かではないが、そんなことはどうでもよかった。私が驚いたのは、それじゃなくて……そんなことじゃなくて……



「……アカリ……ちゃん……?」



 体が勝手に、震える。目の前の現実が受け入れられないのに、目が離せない。受け入れられない……でも、目の前のことは現実。どうして? 何故? 訳がわからない。



 カプセルの中に入った緑色の液体。その中に沈むようにして浸かっている、アカリちゃん……人魔戦争にて命を落とした、アカリ・ヴィールズを見て私は、ただ立ち尽くしていた。



 彼女を見て、頭の中でフラッシュバックする光景がある。学園に悪魔が攻めてきて、ヒロトに異変が訪れ、そして……



 ……後に人魔戦争とよばれることになるあの事件。思い出したくもないが、確かにあの時、アカリちゃんは命を落とした。それも、好きな人に腹部を貫かれるという、残酷な方法で。だというのに、その傷が、目の前のアカリちゃんにはない。一糸纏わぬその身には、一切の掠り傷すら見当たらない。



 偽物、あるいはクローンという可能性も考えた。アンドロイドが存在する世の中だ、そのくらいの技術はあるかもしれない。



「……違う」



 確信があった。直感……本能が、言っている。目の前のアカリちゃんは、偽物でやクローンなんかではない。正真正銘、アカリ・ヴィールズその人だと。



「何で……」



 彼女がアカリちゃんなのは間違いない。私は私の直感を信じる。だとして、なぜアカリちゃんが……死んだ人間が、こんなことになっているのか。ここは、何で……何なんだ?



「アカリちゃん……ア、カ……ゃ……」



 考えなくてはいけないことが、たくさんある。あるのに……目からは、涙が溢れてくる。死んでいると、わかっていても……こうして会えたことが、嬉しいのかもしれない。思えば、アカリちゃんが逝った時……私は、彼女の最期をちゃんと看取れていない。



 そのことが、心残りだった。考えないようにしてた。考えれば……思い出せば、堪えられなくなりそうだったから。散り散りになったみんなのことも気になったが、一番の気掛かりはアカリちゃんだった。



 果たしてアカリちゃんも移動させられたのか。あの時彼女の体は、魔王となった彼の側にあった。なので、エルシャの力が干渉したかは謎だった。



 移動が叶ったとして、冷たくなった体をどこともわからない場所に放り出すのはあまりにもあんまりだ。私達と同じように誰かと一緒なら別だろうけど……もしそうするなら、私やオルちゃんと一緒にするはずだ。人選がランダムでないのなら。



 移動されなかったとして……いや、こっちの可能性が高い。その場合、あの場に残されたアカリちゃんがどうなったのか……それを考えようとすると、それだけで吐き気がした。冷たくなった、動かなくなった彼女が何をされるか、考えるだけでおかしくなりそうで。だから無意識に、考えないようにしていた。



 最悪な上に最悪な想像から目を背ける、それが単なる自己満足だと知りながら。



「最低だ……私……」



 親友だなんて言っておいて、亡くなった彼女のその後を考えず、都合のいいように彼女の温かい思い出だけを光にして……自分で自分が嫌になる。ひどい自己嫌悪だ。涙が止まらないのは、会えた嬉しさか自己嫌悪による惨めさか……だから……



「……ここで、何をしてる?」



 背後から聞こえる、聞き慣れた声の主の気配に全く気付かなかった。



 この……声は……



「……」



 知っている。この声を……私は、知っている。



「……あな、たは……」



 背後に立つ、強大なプレッシャー。普段なら警戒に警戒を重ね、全身の神経を集中させていたことだろう。でもそれが、今は何の警戒もしていないどころか……無防備な背中を向けてしまっている。



 そのままゆっくりと……振り向く。未だこぼれる涙を、指で拭い。それでも目に浮かべながら。



 その先に……彼の姿があった。



「ヒロ……ト……」



 アカリちゃんや私、エルシャにオルちゃん……学園で楽しく過ごしていた、みんなで笑いあっていつもその中心にいた、落第生と呼ばれながらも努力をやめなかったまっすぐな男の子。そして、アカリちゃんを殺した張本人……ヒロト・カルバジナがそこに立っていた。



 銀髪の髪は漆黒に変わっており、その身には黒いマントを羽織っている。髪の色を除けば、その見た目はあの頃と変化がないように思えた。

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