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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
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不穏な前兆



 三手に別れた私達は、たとえ誰かを見つけても、一人で突っ走らず合流してから動くことを決め、合流地点を決める。また、時間も決めておく。誰か見つけられなくても、今から二十分経ったらひとまずここに戻ること。それらを決め、バラける。



 三手にバラけ、私とレイは散策を開始。……とはいえ、初めて来る場所だから手当たり次第に歩き回るしかない。それも、これまでと変わらない。



 人の気配は、今のところは感じられない。でも、今まで訪れた場所よりは一番大きな場所だ。それに、前情報もある。いくらかの期待を胸に、周りにある家の扉を開けてみる。数ある家の中には、しかし誰もいない。それどころか、人がいた痕跡すらない。



「いないなぁ……」



 これだけ広いというのに、成果は得られない。歩き回って歩き回って、何の成果も得られない内にすでに十分が経ってしまっている。この分だと、他二手に成果があるのを期待するしかないか。



 ……と、その時だった。足取りは自然、取り分け大きな家にたどり着く。取り分け、とは言ったがあくまで他の家に比べて、だ。なのにそう感じたのは、何か妙な存在感があるからだろうか。他の家に比べて外装が少し綺麗に見えるのと……ここには何かがある、と感じさせられる謎の圧力があった。



 もしかしたら……と、何度目になるかわからない期待を込め、扉を開く。そして、中に足を踏み入れて……



「暗い……」



 元々外の天候は、光が差し込まないというのもあるが……それにしたって、中は暗かった。外との境界である扉を開けたというのに、そんなものは全く意味がないと言わんばかりに明るさはなかった。扉を開けたまま、中へと一歩、二歩……進む。



 バタンッ



「えっ?」



 室内へと足を踏み入れると、開けっ放しの扉が、音を立てて閉まる。風でも吹いたのだろうか? 振り向き扉を確認するが……不思議な光景が、あった。



 振り向いた先に、入ってきたはずの場所に……扉は、なかった。



「あ、れ……扉、は?」



 おかしい。せいぜい数歩歩いた程度だというのに、引き返しても扉どころか、壁すらない。暗いといっても、数歩で見当違いの場所に来てしまったとは到底思えない。



 周りを確認するために天力を使い、手の平に明かりを点す。何が潜んでいるため、室内全体を照らすものでなく半径数メートルを照らすものだ。すると……



「何……これ……」



 室内に入ってきたばかりの私の目の前には、闇が広がっている。扉も、実は見落として別の場所にあった……という淡い期待は砕かれた。



 目の前に広がるのは、途方もなく広い……先が見えないほどの、通路だった。



「な、にが……え?」



 訳がわからない。室内に入ったばかりで、振り返ればそこには壁があるはず。なのに、先に広がる通路は一体……?



 何か潜んでいるかもしれない……そんな心配をよそに、私は明かりを大きくしていく。室内全体を包み込むほどに。そうして、ようやく気付く。



「ここ……どこ……」



 ここは、違う。私が入ってきた家は、確かに周りの家よりも大きかった。でも、それでもたかが知れている。今私がいるのは、それとは違う。広く、広い。つまり……外観と内観の大きさが、全く合っていない。



 外の造りと中の造りが多少違う、というのはよくあるかもしれない。見た目より広いな、とか狭いな、とか。でもこれは、そんなレベルじゃない。一軒家に入り込んだら、中身は高層ビルのそれ……そんな衝撃がある。



「ここは、何……? 私は一体……」



 いくら考えても、答えは出ない。もしかしたらあの家がどこか別の場所に繋がっていたとか、家の中に入った瞬間別の場所に転送されたとか、考えは思い付いてもどれも確証はない。



 仮にこれが、誰かに転送にされたものだというのなら、その目的は……?



 私は警戒心を引き上げ、周りを見渡す。本来真っ暗ともいえるこの場所は、今は私の天力で明るくなっているが……もし誰かがいた場合、自分の場所を知らせるようなものだ。なので力を抜き、明るりを消す。これで暗闇に逆戻りだ。



 ……最も、誰かが私をここに転送したのだとしたら、真っ暗なこの部屋に承知なはずなため目が慣れているかもしれないけど。とはいえ、明かりを点すだけでも少なからず力を使う。何があるかわからないから、なるべく力は温存しないと。代わりに気配を、研ぎ澄ませ。



「……行くか」



 ただ、ここでじっとしていても仕方ない。ここがどこか突き止めるためにも、何か行動を起こさないと。警戒を保ったまま、前へと進んでいく。



 右を見ても左を見ても、広々とした空間が広がる。元々真っ暗な場所なのか、辺りを照らすものはない。それに恐ろしく静かで、私の呼吸と靴音しか聞こえない。とはいえ、それも最小限に殺しているため、ほぼ無音だ。



「……っ」



 意識すればするほど、自分の呼吸が大きく聞こえるのがわかる。唾を呑む音さえ。息を殺すだけの行為で、額から冷や汗が落ちる。ここがどこかはわからない。けど……本能が、この場所を警戒しているのだろうか。レイからの応答は……何故かない。



 どこまで続くかもわからない道。わかるのは、床や壁、天井までもおそらくコンクリート製だということくらい。若干の息苦しさを感じるのは、この場所の影響だろうか。何か邪な気配が漂っているのか、それとも別の?



「! ……明か、り?」



 無限に続くかに思えた空間に、突如変化が訪れる。視線の先に曲がり角があるのか右側から、ぼんやりと光が漏れている。もちろん、私の天力ではない。この空間にある、光だろう。緊張が走る。とはいえ、ここまで来た以上引き返すわけにもいかない。



 ……いざ!



 一歩踏み出し、角の向こう側へ。そこに、あったものは……

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