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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
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探求心の塊



「しィカし……それは残念でもあるかなァ。人間には興味が尽きない……だからこソ、わたシも人間の姿に倣っているというゥのに!」



 二人からの評価は、はっきりと酷評だとわかる。魔界にいる頃から人間への興味が尽きず、周りから変態扱いされてきたドッマ。悪魔の癖に、とるに足らない人間などを調べてどうなるのだと。



 だからこそ魔界時代とは姿を変え、こうして人間の姿に倣っているというのに。……倣っているのに三メートルという高身長の時点で、不自然過ぎるが。



「あむ……ンン! 今回はカレー味!」



髪の毛をむしり、食す。人間の体を、食べ物を調べ、一つの結論を得た。体毛など人間には必要なものも、あり過ぎると不必要になるという矛盾。それをどうせ捨てるならいっそ食べられるようにすればいい。髪の毛となるものに人間の食べ物の味を再現し、味がランダムに変わるようにした。



 最も、味は再現できても食感は髪の毛なのだが。



「期待ハズレかなぁ……せェっかく、ハーフエンジェルはおいといて青髪水女と剣男と戦わせたとイィうのに」



 髪の毛カレー味を食べながら、ため息を一つ。人間の力を計るために人間と戦わせたのだ。その結果がこれだというのなら……



「ふぅむ……あの女モ、つまらない相手に負けたもんだァネ」



 以前、悪魔を天使化させることに成功した薬を渡した女。確か、サラリアと言っただろうか。彼女は、今戦ってきた青髪水女に負けたのだ。脅威に思えない、楽勝と評された人間に負けたとなれば、全くつまらない。



 まあ、薬の実験体として貢献はしてくれたので、その存在価値にも意味があったということか。



「なら、収集したデータを二人のプログラムに追加、学習させれば……勝ち確実か、かなカナ?」



「はい。ですが……」



「アァ、殺しはしない。というか、またしばらくは大人しくシクしとこうカ」



 今回のデータにより、人造人間(アンドロイド)の戦闘技術が向上するのは間違いない。だが、やるのはそこまで。それ以上は、再び傍観の立場でいることを示す。



「……不明。マスターの意図が不明」



「意図……目的、ねぇ……」



 そもそもの話、ドッマは天界侵攻の一件以降、行方不明扱いになっているのだ。これまで大々的に状況に介入したことはない。



「そゥダねぇ……大まかに、悪魔側の目的ハ世界支配。対抗馬の天使は支配からノ解放。片や世界支配なんてバカバカしいシ、片や本気で世界を救うとかおめでたいと思わなイかい?」



この世界にある二つの勢力。そのどちらに対しても、ケタケタと笑いながら自分なりの答えを述べる。無論、今挙げた目的というのも大まかに言えば、だ。それが全てではないだろうが、そんな細かなことを気にするつもりもない。



「確かニ、悪魔側にいた方がわたシの実験も充実することだろウ。だが……つまらない」



 人間を捕らえ、奴隷のように扱っている悪魔側であれば、好きなだけ人間を実験することができる。だがそれでは、つまらないと……声のトーンを低くするドッマの目は鋭く。



「元々わたシは腫れ物扱い。そんなもの気にしないが……やはり一人ノ方が気が楽なのだヨ!」



 他者が自分をどう思っているか、そんなものは彼の知ったところではない。言いたい奴には言わせておけばいいのだ。いちいち気にしていたら、それこそ何もできなくなってしまう。



 ドッマにとって周りの声は気にならないが、自分のスペースが狭くなるのは我慢できない。……まあ、詰まるところ。



「わたシはね……自分勝手にいたいんダよ。何者にも縛られず、何者も気にすることない……自由な空間! それが、わたシはたまらなく欲しかった」



 これまで介入の姿勢を見せなかったのは、下手に自分の存在が露見しても後々面倒なことになるからだ。今回は特別だし、あのくらいの時間であれば外部にばれないよう取り計らう方法はいくらでもある。



 基本的に、傍観の姿勢を貫く。自分が好きにできれば、満足できれば、楽しければ、世界がどうなろうと知ったこっちゃないのだ。



「それに……あのまま悪魔側にいたら……今戻ったラ、アぁ……魔王を、解剖していたかもしれなィ。人間が悪魔に……いヤ、悪魔がその力を封じられ、人間として暮らしてイた……アァ! 興味が尽きないィイ……!」



 この場所にいるのには、自己満足以外に理由がある。人間として暮らしていた現魔王。そんな、前例のない対象が目の届く範囲にいれば、どうなる。いずれ興奮は爆発し、何をしてしまうかわからない。体を引き裂き、内側から外側まで隅々に調べ尽くし犯し尽くす。



 恍惚と頬を赤く染めるその姿は、実際にその状況を想像しているのだろうか。



 想像でこれなのだ。実際になると、確実に理性が効かない。例え、その結果自分が殺されることになっても構わない。最高の実験体となりうる素材を前にどうして大人しくしていられよう。



 そして悪魔側に戻らない残る理由は、単に程度の低い輩と一緒にいる必要がないからだ。



 探求心とは、悪魔にも天使にも人間にも、知性ある生き物に平等に与えられた権利。それを放棄し、あまつさえ探求心の塊である自分を変態扱いする頭のおかしな連中のところに戻る気も、ないのだ。

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