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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
153/314

危険な科学者



「……帰還」



 空を飛んでいた巨体が、ゆっくりと下降する。その背に乗っていた人影は飛び降り、目的地に着いた事実に、感情を感じさせない声で呟く。



「お疲れ様……ポチ」



 少女は、自分達をここまで運んでくれた巨体……ポチと名付けた竜に向かって、労いの言葉をかける。言葉が通じているか定かではないが、それに応じるように竜は小さく唸る。



 そして人造人間(アンドロイド)の少女は、目の前にそびえ立つ岩場を見上げる。その岩場へと、歩き出す。岩場と岩場の間を抜け、奥へと進む。



 道中、周りには何かの機械や何かの肉などがそこかしこに転がっている。いや、廃棄されているという表現が正しい。



 その中には、人造人間(アンドロイド)に至らなかった者達も廃棄されている。欠陥品。失敗作。一歩間違えれば、自分達もああなっていた。その事実を、淡々と受け止める。



 ある程度進んだ先に、隠されたように地下へと扉がある。といっても、これは外からは見えない仕様になっている。人造人間(アンドロイド)である彼女らだからこそ、そこに隠し扉があることを認識できるのだ。


 さらに、隠し扉の側には隠しカメラも備わっており、それが扉の前に立つ者を認識する。それがあって初めて、扉が開く。それは、許可された者以外の訪問を許さない、徹底した仕様である。



 扉を確認、カメラの認証をクリアした人造人間(アンドロイド)は、扉の奥へと進む。地下へと続く階段を下りていく。下へと進む度に暗さが増していくが、暗闇を照らすように、明かりをともすランタンのようなものが一定の距離で置かれている。足を進める靴音だけが、響く。



 どれほど下りただろう。やがて、階段の終わりにたどり着く。目の前には三メートルほどの扉がある。さらにその横には指紋認証の機械。それの認証を受け、クリアし、扉が開かれる。重々しい音を立てて開いた扉の奥……その空間は、広い。人三十人くらいならば、余裕で入るだろう。



 だが、広いはずの部屋に広さは感じられない。なぜならば、機材が散らばり物が散乱……何だかわからない道具や生物の死骸など、お世辞にも綺麗とは言えない状態で、物の散乱状態で部屋の広さは埋まってしまっている。その奥、机に置かれたパソコンを操作する男が、一人。



「マスター、ただいま帰還しました」



「ん、あァーあ、戻ったか。お疲れ様ァ」



 その部屋の汚さには目もくれず、目の前の男の背中に声をかける。その男はカタカタとパソコンを操作し、壁に備付けられた複数のテレビモニターを見ながら返答する。



 テレビモニターには様々なものが映っている。戻ってきた際に待機させているポチ、とある場所にて悪魔に労働を強いられている人間達、悪魔と対峙するハーフエンジェルの少女達……いったい、どこから撮っているのか。



 ちなみにポチは、異空間へと転送させて外部からの発見を防ぐ。



「さて……さてさてさテ? で、どうだっタ?」



 振り返る人物は、立ち上がり自らが作った人造人間(アンドロイド)を見下ろす。その身長は三メートルはあろうかというほどで、並みの身長では必然的に見上げる形になる。巨漢……というよりも細身で、遠めから見たら電信柱か何かと見間違えるかもしれない。



 青白い顔は健康的とは言い難いが、その瞳に宿るのは不健康さを感じさせないほどのキラキラとした輝き。それはまるでおもちゃを目の前にした子供のように輝いており、ただ純粋な好奇心だ。その不健康そうな表情とのアンバランスが半端ではない。



「実際に戦っテみた、感想は?」



 瞳に宿った好奇心は、先程まで目の前の人造人間(アンドロイド)を送り込んでいた、戦場での感想だ。その光景自体は、隠しカメラで見ていたのだが、やはり実際に戦ってみた者の感想を聞きたいのは当然のことだ。



 『感想』というものについて人造人間(アンドロイド)がどう答えるかは定かではないが。



「……正直、それほどの脅威とは思えません。マスターや、他の悪魔四神の手にかかれば……」



「……楽勝」



「あはァは! そうかそうカ! 言うじゃなーいか二人とモ! 戦闘だけでなく、言語学習能力も付けておいて、あ、正解だっタネ!」



 先程戦った人間達の評価。それを聞いた二人のマスター、ドッマは独特的な喋り方で、愉快そうにケタケタと笑っている。二人には、戦闘面だけでなく言語面でも学習能力を追加しており、この戦いで目まぐるしく開花したということだろう。



 レイの話し方は、すでに流暢にもなっている。



「わたシといても一向に向上しなかっタのにのに、この短時間でこんなに……んー、微妙!」



「戦闘最中に学習しました……ですわ」



「おかしな言語はいらないネ」



 一緒にいた時間が圧倒的に長いというのに、言語能力が上達しなかったのは、つまりそういうことだろう。とはいえ、これが独特的な話し方だとわかっていても直すつもりはさらさらないのだが。



 学習能力が高いゆえに、妙な言葉を覚えてくることもあるが。

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