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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
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双子の強敵



 竜を倒した感傷はとりあえず置いといて、二人を探す。オルちゃんは謎の女の子と、エドさんは謎の男の子とそれぞれ相対している。戦況は、見た限りでは互角だが、それぞれの違いは疲労の差だ。



 オルちゃん&エドさんはすでに、見てわかるほどに疲れが出ている。しかし、相手側にはそれが見られない。あれだけお互いに攻防を繰り返せば、多少なり疲労が見えて当たり前なのに。



「やぁああ!」



 叫びと共に、青髪がなびく。傷だらけの体でなお戦う彼女は、緊迫した空気だというのを忘れるほどに美しかった。水と血が飛び交い、赤くなった水が何本もの鞭のようにしなり、眼前の敵へと放たれる。



 それを、謎の女の子は表情一つ変えず、かわし、受け止め、握り潰す。



「こ、のぉ!」



 襲い掛かる水の鞭を前に、恐れるどころか歩みを止めない。かわすこともそうだが、驚くべきは彼女が水の鞭を受け止めているということ。それを、腕でやってのけているということ。



 自らの腕を盾に、襲い来る鞭を防いでいるのだ。



 以前、オルちゃんと手合わせした時や、ちょっとした悪ふざけの時、何度か水の鞭のお世話になったことがある。あれは、痛い。お尻ぺんぺんされた時なんかちょっと泣きそうになった。というか泣いた。



もちろんそれは本気ではなかったのだが……それでも痛かったのだ。今は見てもわかるように、本気で打ち込んでいる。もちろん、それを腕に受けて涼しい顔で流せるものでは、当然ない。



「どうなって、ますの!? もしかして腕に、何か仕掛けが……!? いやでも、力は感じませんし……」



 目の前の光景が信じられないとばかりに、疑問の声が上がる。しかしそれに答えは帰ってくるはずもなく、謎の女の子の歩みは止まらない。ダメージの見えない相手に、顔が歪む。



 オルちゃんの言うように、何らかの力で腕を強化している可能性はある。しかし魔力は感じないし、当然天力も。ものすごく体が硬い、としか説明がつかない。



「はぁあああ!」



 別のところではエドさんも戦いを続けている。そこでは、剣技と肉弾戦の嵐が繰り広げられていた。せっかく竜を倒したというのに、四人の激しい打ち合いに、私が入り込む余地が見つからない。



 目にも止まらぬ連撃。素早い剣さばきを、しかし対峙する謎の男の子は涼しい顔でかわしていく。身を捻り、かわし、飛び退き、かわし、峰を見切り弾き、かわし。



 目の前の、剣による連撃が見えているのか、その動きに一切の無駄がない。だが、無駄がないからこそ動きも読みやすい。



「そこ!」



 無駄がない動きだからこそ、隙を見つけやすい。そこへ、エドさんは目を光らせる。それを逃さぬよう、素早さを保ったままに剣を振り上げ、振り下ろす。



 かわすことのできない、絶対の一撃を。



「……っ!?」



 勢いよく振り下ろされる剣を、その速度を見切り弾くなど不可能だ。今までかわされ弾かれ、一太刀を浴びせることが叶わなかった『星剣』"星砕き"が今、目の前の敵を斬る。



 それは、目の前に立つ敵に、致命的なダメージを与えるはずだった。だが……その時だった、信じられないことが起こったのは。エドさんが振り下ろした剣、その斬撃を……受け止めたのだ。



 ……その、生身の腕で。



「な、にっ……!?」



 謎の男の子の腕は、軽々と剣を受け止めている。自身の肉を盾に、自傷行為をいとわない防御姿勢……というわけではなく、本当に防いでいるのだ。



 刃が肉を切断するどころか、食い込むことすらなく。



「どう、なってる……?」



 信じられない光景。鋭い刃の一撃を生身の腕で受け止めるなんて、尋常ではない。



「せいや!」




 とっさに反応できないエドさんとは別に甲高い声が響く。次の瞬間、周囲の地面が一瞬にして凍っていき。地形が変化する。



 それは、エドさんと相対している謎の男の子の足元を、氷で固定する。



「今ですわ!」



 それにより謎の男の子の動きは止まり、エドさんに反撃の隙が生まれる。瞬時に動く。生まれた大きな隙を、見逃さない。



 見れば、オルちゃんが対峙していた謎の女の子も、動きを封じられていた。目を離した隙に、何が起こったんだ。



「あぁ、感謝する! “十二星”『獅子(レオン)!』」



 先ほど生まれた動揺を呑み込み、剣を構える。少しだけ距離を開き、構えた剣を一閃に凪ぎ払う。それは洗練された、無駄のない一撃。



 これで、勝負が決まってもおかしくない……その、はずだった。



「……っ! なっ!?」



 鋭い斬撃は、謎の男の子の右腕を捉えていた。右腕を狙ったその一撃は、今の状態ではかわしようもない一撃。『星剣』"星砕き"は右腕を捉え、それに留まらず腕を振り上げる。



切断された腕は、宙に舞う。先まで肉に食い込むことすらなかった剣技は今、その真価を発揮し目の前の敵の腕を奪い去ったのだ。次の瞬間には、腕を切断されたことによる絶叫が聞こえるはずだった。



 しかし、聞こえたのは絶叫ではなく、まして彼の困惑でもない。斬った本人であるエドさんの、困惑の声。



 切断された腕から流れるはずの血が、流れない。絶叫もない。困惑するのは、エドさんが困惑するのは当然だ。いや、私やオルちゃんも同様に。



なぜならば……飛ばされた腕の切断面、ちぎれた腕の切断面には、人の内側にあるはずの肉がなかったからだ。



 わかりやすく言えば、機械のような何かがそこにあった。断面から覗いているそれは、機械のように無機質で、バチバチと音を立てている。



 その腕はまるで、彼が人間でなくロボット……いや、そんなものではない。そう、人造人間、アンドロイドであると示しているかのようだった。

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