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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
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変なあだ名



 天使の作った空間から外に出て、まず辺りの様子を警戒した。しかし静かな風景には、空間に入る前と変わったところはなく、魔族の気配もない。どうやら危険はないようだ。



「戻ってきましたわね」



 何の変わりもない、殺風景極まりない景色。それはさっきまでいた、賑やかな景色とは似ても似つかないものだ。



 ……あんな風景が、いつか、そこかしこで見られればと心底思う。



「さて、と……なら、次の目的地は……」



「あぁ。僕らの村の女性達が連れていかれた先……そしてそこで、彼女らを解放することが目的だ」



 次なる目的地。それはエドさん達の村にいたはずの、女性達が悪魔に連れていかれた場所。そこへの道すがら、組織『天』への道を見つけたわけで。



 元々はこの二つを目的に歩き回り、片方の目的は果たした。……となれば、残る選択肢はもう一つの、女性達が連れていかれた場所。



 そこへの道は、エドさんの村にいた青年が当たりをつけていた。何か物を運ばされていた先で、連れていかれた女性を見たからそこではないかと。それに、そこの警備は一段と厳しかったと。



 確証はないが可能性はある。どのみち、目的はないのだから、そこを目指すほかない。



 ちなみにその場所は、戻ってくる前の話し合いで当たりをつけている。まずはその方角へ、足を進めよう。



「さ、気分一新して、次なる目的地を目指しますわよ!」



「おー!」



 意気揚々と手を挙げるオルちゃんと、それに続くスカイくん。二人を見ていると妙な緊張感も吹き飛んでしまう。



 このテンションに最初は戸惑っていたエドさんも、今では慣れて笑い流せるようになっている。



「オルテリア、体は大丈夫なのか? キミ一人に戦いを押し付けてしまった上、あれから大して休む時間はなかっただろう?」



 心配そうに、オルちゃんのことを労るエドさん。おぉ、イケメンだ。



「ノープログレム! 心配いりませんわ! 戦いに関しては私が任せてと言ったわけですし、ダメージというダメージも負ってませんし。ご心配ありがとうございます、ケンさん!」



「ならいいんだが……え、ちょっと待って。今なんて?」



 女の子に対しての姿勢、紳士だ。それに対してオルちゃんは親指を立て、その場で回転しながら答える。



 謎の名前らしきものを、言い残して。



「え? ノープログレムと……」



「いや違う! その先! え、ケンさんって言ったか!? 誰!?」



 やっぱり聞き違いではなかったか。エドさんにも、謎の名前が聞こえたらしい。それにしても、爽やかで冷静なエドがこうも大声を上げるとは、新鮮だ。



「もちろん貴方のことですわ!」



「エド! 僕の名前はエドワード! 全然掠ってもないんだが!?」



「殿方を名前で呼ぶなんて恥ずかしくて。剣使いなので、ケンさんとあだ名を」



「あだ名じゃない! それ別人! ケンさんという名の別の人!」



 確かにあだ名というよりは、もう別の名前になってしまっている。エドさんがケンさんなんて、普通に考えたら絶対に繋がらない。そしてこうも慌てふためいているエドさん、新鮮だ。



 そういえば旅の途中も、男の人の名前は呼んでいなかったような。呼んでも、それは本人曰く認めた人だけ、らしい。



 ちなみにミシェルさんは『筋肉さん』だったな……女性認定されなかったか。



 スカイくんとドーズさんが名前呼びだったのは、片や子供で片や老人だからだろう。それを除けば、オルちゃんが唯一名前呼びしてた男の人は……



『仕方ないですからこのピーマンあげますわキルデ。別に、私が嫌いなわけじゃなくて、貴方が欲しそうな顔をしてたからですからね。嫌いなわけじゃ、ないですから』



 ……うん。



 それにしても、オルちゃんの付けるあだ名は予想の遥か斜め上を行くな。確かヒロトは『落第さん』だったっけ。あだ名というか下手をすれば悪口だ。



「まあそれは一旦置いといて」



「置いといちゃダメだと思うんだが?」



 だって、話進みそうにないし……



「さ、詳しい案内します、エドさん!」



「おねがいしますわ、ケンさん!」



「あぁ……いや、やっぱりおかしいよな? 殿方の名前呼びが恥ずかしいって言ってたが、そもそもケンさんだって名前っぽいじゃないか! 名前呼びは恥ずかしくないのか!?」



「? だってこれは名前じゃなくてあだ名ですし」



「……ぁぁあ! そのきょとんとした顔は何だよ! ダメだ、判断基準がわからん!」



 やはりあだ名の件をスルーできなかったエドさんは再度オルちゃんに詰め寄るも、その対応に頭を抱える。あぁ、この人案外表情豊かなんだな。新鮮だ。



 オルちゃんのテンションについていくにはまだ時間が掛かりそうだな。かくいう私も、そうだったのだから。



 そんな二人の漫才とも思えるやり取りがようやく終わった頃。次なる目的地を目指して足を進め始めた。

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