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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
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思いがけない結末



 形勢は一気に、オルちゃんへと傾いた。



「……あぁ、そうか。さっき名前聞いた時に何か引っ掛かってたが……あんたが、大参謀が人間界に馴染むために取り入った人間か」



「……!」



 その場に返ってきたのは、予想外の言葉。



 彼女が言う大参謀……それは、悪魔大参謀という肩書を持つ悪魔のこと。オルちゃんの幼馴染という記憶を彼女に植え付け、裏で暗躍していた男。キルデ・オスロのことだ。



「貴女……キルデを知ってるんですの!? 私のことも、どうして……」



「そりゃ、大参謀なんて、新参者でもなけりゃ知らねえ奴はいねえくらい有名さ。それほど名の知れた方だしな。あんたのこと……いや、だけじゃないが、大抵のことは聞いてるよ」



「聞いてる、か。……お前にその情報を与えた奴と、お前のバックについてる奴、同じ奴なのか?」



 拘束されて尚も薄ら笑いを浮かべるサラリアに詰め寄るのは、カーリャさんだ。その瞳は鋭く、しかしそれだけでなく悲しみが浮かんでいるように見えた。



 これまで、仲間として接してきた者が、敵だった。その悲しみを。



「たった一人で乗り込んでくるなんて、誰かの命に従ったとしか思えない。……一人だよね?」



「うん、もう悪魔いないよー」



 確認する相手が、この小さな男の子というのは些か疑問に思えるが、現にスカイくんはサラリアの正体を見破っている。疑う余地はない。



「はっ、冗談! バランダ様とあの変態を一緒にすんな」



「バランダ……それがお前のバックについてる悪魔か」



 ちっ、という舌打ちと共に、サラリアが笑みを浮かべる。



「ま、名前なら知られても問題はねえからな」



 彼女に命を下したのと、情報を与えた者は別人ってことか。サラリアのバックについている、その者の名前は、バランダ。



 聞いたことのない名前だ。



「バランダ……どこかで……」



 対して、小声で何かを言っているカーリャさん。それを問いただそうとする前に……



「キルデ……キルデは今、どこに!?」



 拘束されているサラリアに詰め寄るのはオルちゃんだ。先程までの余裕は消え、肩を掴み問いかけている。



 オルちゃん、やっぱり……



「おいおい、自分を利用した相手を直接殺しにでも行くつもりか? 別にあんたがどうなろうと構わねえが、少しでも長生きしたいならおとなしくしとくこった。触らぬ神に祟りなし……人間界じゃ、こんな言葉があるんだろ?」



「利用されたとか、殺すとか、そんなのは関係ない! いいから言いなさい!」



 胸ぐらを掴み、睨みつける。こんなに感情を……怒りの感情を露にするオルちゃん、初めて見た。



 やっぱりキルデのこと、オルちゃんはオルちゃんなりに考えてたんだ。悪魔だと知っても、その想いは変わることなく。



「落ち着いて、オルテリアちゃん。こいつにはじっくり尋問して、情報を聞き出す。あなたの知りたい情報はもちろん、どうやってこの場所を知ったのか。何より、天使に化けた方法をね」



「はっ」



「まさか、天使に化けた方法に、情報を与えた奴が絡んでいる……とかか?」



 鼻で笑い、しらをきるサラリアを、しかし私達は逃がさない。私達はさっき出発するつもりだったけど、こうなってしまった以上放置はできない。



 見届け、カーリャさん達の手伝いをしよう。



「はは、誰が喋るか。バァカ」



「なら、覚悟しろよ? 拷問なんて経験がないから、加減がわからないがな」



「必ず吐かせてやりますわ」



 睨みをきかせ、サラリアに迫る三人。この状況においても不敵な態度を崩さないサラリアが、何だか不気味だ。まさか、まだ何か手が残ってるんじゃないだろうか?



 それとも、たとえ何をされても話さないと、強い意思の表れなのか?



「ふんっ、せいぜい無駄な時間を……っ、がっ……ぐぁ……!?」



 自分を相手にしても、無駄な時間を過ごすだけ……そう、言おうとしたのだろう。だが、その時だった。異変が起きたのは。



 何の前触れもなく、オルちゃんに胸ぐらを掴まれたままのサラリアが、呻き声のようなものを上げる。それは、とてもじゃないが正気の沙汰とは思えない。



「あ、あがぁ……! うぁ……がぁああ!」



「な、何が起きて!? わ、私じゃありませんわよ!? ……ひっ!」



「わかってる! 早く離れて!」



 呻くだけでなく、苦しそうに体を動かしている。近くにいたオルちゃんの腕を掴むが、それを振り払われる。すると今度は、さ迷うように手を動かし……自分の首をかきむしっていく。



 伸びた爪は皮膚にくいこみ、首が、手が血に染まっていっていく。それでもなお、止まることはない。ひたすらに、自傷行為を繰り返す。



 見ている方が、痛々しく思うほどに。拘束から逃れるために、自傷の演技をしている……そんな甘い言葉では、済ませられない。何かが、起きている。



「……あ、や、やめないか! くっ、何だこの力……!」



 その光景に目を奪われてしまったが、行為を止めるためにサラリアの体を捕まえる。しかし、その力は凄まじく……簡単に、振り払われてしまった。



 数人がかりで押さえ込んでも意味はなく、神力や天力でも抑え込めない。その後は、やはり自傷行為に浸るのみ。獣のような声を上げながら。



「そ、そんな! 拘束が!」



 あまりの暴れ具合のせいか、足を拘束していた氷が割れる。それに従い、体を支える理性を失ったサラリアは、その場に倒れ……しばらく、首をかきむしる。もう死んでもおかしくないほどの傷を負っても、苦しみを続けて。



 だが、その時間にも終わりが訪れる。どれほどの時間が経っただろう。ついに命が尽きたのか……サラリアは、動かなくなっていた。



「……サラ、リア?」



 辺りを包み込む静寂。それは倒れた彼女の安否を確かめる声によって破られたが……返事は、返ってこなかった。恐る恐る近づいても、まるで人形のようにその体に動きはない。



 ……目を見開き泡を吹いて倒れているサラリアは、首の皮膚が抉れ中身が見えるほどの自傷行為を行い……絶命した。まだ首が繋がっているのが、不思議なくらいに酷い有り様で。

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