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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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神様のお買い物



 翌日、目を覚ますと隣のベッドに寝ていたはずのエルシャはおらず、もぬけの殻となっていた。ちなみに俺は当然のように床なわけだが。



「あれ……どこ行った?」



 まだ眠い頭を必死に回転させながら、辺りを見回す。まさか夢……にしてはリアルすぎる。



 とりあえず目を覚ますために、洗面所に向かった俺だが……そこで俺は、顔を洗うまでもなく目を覚ますことになる。



「! な、何やってんだ!」



 向かったそこには、なんとバスタオル一枚に身を包んだエルシャがいた。髪をドライヤーで乾かしていることから、朝シャワーでも浴びてきたのか、今風呂から出てきたのだろうが……



「あ、おはよー」



 俺に対して何事もないように、挨拶をしてくるのだが……正直こっちはそれどころではない。慌てて、背を向ける。



「お前、入ってるなら鍵掛けるとか……」



「寝てたから大丈夫かなって思ったんだけど、思ったより起きるの早いのね。休日なんでしょ、今日」



「これくらいの時間に起きるのが習慣になってるし、今日は色々買い出しとかあるし……いいから、服着ろって!」



「まだ髪乾かしてるから~」



 ダメだ、全然気にしてない。神様だからと本人はいうが、こちらからは見た目はスタイル抜群の女の子なのだ、目に毒すぎる。とりあえず外に出て、扉を閉める。



「はぁ……こんなんじゃもたないぞ」



 昨日もそうだが、少しは羞恥心というか、そういうものを身に付けてほしい。というかこっちの身にもなってほしい。無理だろうけど……



 しばらくして出てきたエルシャと入れ替わりに、洗面所へと入っていく。その際エルシャが笑みを浮かべているように見えた。



 エルシャの場合、天然というよりも狙ってやっているみたいだ。どうにかしてあの挑発的な態度を止めてもらいたい。



 それから朝食を作り、食べ、出掛ける準備をして……さあ今から出発するかとなったとき、インターホンの音が部屋に鳴り響く。



「ん、誰だ?」



 朝早く……というわけでもないが、こんな時間に誰だろう。扉を開けるとそこには、幼なじみであるアカリと、その後ろにもう一人女の子が立っていた。



「アカリ? どうしたんだ?」



「おはようヒロト。今日買い物でしょ? 私も付き合ったげる」



 どうして今日買い物行くこと知ってるんだろう。話した記憶はないのだが……まあ長い間一緒にいるから、大抵のことは何かわかるのだろう。



 それに、一連の流れを知っていれば、増えた同居人のために買い出し、という予想もつくだろう。



「エルシャが増えたから色々必要なものあるんでしょ。それに女の子の意見もあった方がいいよ?」



 やはり俺の考えは筒抜けだったようだ。同性の意見というのも納得。まあ一緒に行くことに異論はないのだが、気になるのはもう一人の子で……



「えっと……そちらは?」



「紹介するね。私のルームメート、リーシャ・テルマニン。リーシャ、こっちがさっき話したヒロト・カルバジナだよ」



 紹介されたのは、アカリのルームメートだという少女。へー、アカリのルームメートか。話には聞いてたけど、会ったのは初めてだ。



 茶髪をショートヘアーに髪留めを付けており、赤いふちの眼鏡をかけている。見た感じおとなしそうな印象を受ける。小柄であり、アカリよりも身長が低いようだ。



 何て言うか、小動物みたいなイメージ。



「あの……は、初めまして!」



「あ、初めまして……」



 アカリの後ろから一歩出て、深くお辞儀をするその様子は、かなり礼儀正しいみたいだ。けど、何だか距離を感じるのだが……



「えっと……テルマニンさんも、もしかして一緒に?」



「あ、その……迷惑でなければ……」



 迷惑だなんて、そんなことは全然ないのだが……



「もちろん歓迎だけど、どうして?」



「それは、いつもアカリちゃんがカルバジナさんの話ばかりするから気になっ……」



「わーわーわー!」



 テルマニンさんが言いかけた言葉を、焦ったようにアカリはストップストップと中断させる。まあそのかいむなしく、ほとんど聞こえてしまったわけだが。



アカリが、俺の話を……? それって……



「アカリお前…てルームメートにまで俺の愚痴言ってんのか?」



「へっ?」



「いや、それはちが……」



「そ、そう! 全くヒロトったら、私がいないとダメだなー、とか、ここがダメね、とか、話してるの! ね!」



 一瞬ぽかんとなったように見えたが、まくし立てるようにアカリは言う。やっぱりそうか。しかしルームメートに言うほど俺に不満があるのかね。ちっとばっか悲しいよ。



「……バカ」



「ん、何?」



「何でもない!」



 一通り話し終わった後、何か聞こえた気がしたのだが聞き違いかな? それはあまりに小さくて、聞こえた気になっているだけだろうか。



「なになにー、盛り上がってる?」



 と、後ろからエルシャがやって来る。すると何やら笑みを浮かべ、ジトッとアカリを見つめる。あ、こいつまた余計なこと考えてるな?



「おやおやアカリちゃん、休日でもヒロトくんといたいのかな?」



「ばっ、何言ってんの! 私はただ……」



 もうこの二人の関係がはっきりしてきたような気がするな。いじるエルシャにいじられるアカリ。その内容まではよくわからないけども。



「もしかしてこの人が、アカリちゃんが言ってた泥棒猫のエルシャさん?」



「リーシャぁあああ!?」



「ふーん、そんなこと言ってたんだ~」



 唐突に暴露される、アカリのエルシャに対する呼び方。泥棒猫って、何がどうしてそうなったんだよ。というかテルマニンさんも愚痴ばっか聞かされて迷惑じゃないのだろうか。



「も、もう!それより、準備できたなら行くよ!」



「わかったよ、慌てんなって」



 ばつが悪くなったかのように話題をそらしているが、まあ玄関先でずっと話していてもな。話なら歩きながらでもできるし。



こうして俺とエルシャに加え、アカリ、テルマニンさんと出掛けることになったわけだが……



「あれからヒロトに変なことしてないでしょーね」



「変なことって何のことー?」



相変わらず二人は睨みあっている。どっちかというと、アカリが噛み付きエルシャが煽る構図なのだが……この二人、仲がいいんだか悪いんだか……



「えっと……テルマニンさん?」



「あ、リーシャでいいです。同じ学年ですし……」



「そっか、ならおれもヒロトでいいよ」



 結果的に二人ずつのペアができてしまったようになる。とはいえ、俺とテルマニン……いや、リーシャは今日会ったばかりだ。それなのにいきなり二人きりとか、ハードル高すぎね?



「えっと、リーシャ、居心地悪くない? アカリはあんなだし、俺とは初対面だし……」



「大丈夫です、男の人と話すのは苦手だけど……アカリちゃんの幼なじみなら、大丈夫かなって。それに……」



 話すのが苦手……ということは人見知りだろうか。男嫌いというわけではなさそうだし、まさに見た目通り。



 それでも話そうとしてくれているようで、それに……と、後ろで言い合っている二人を見つめる。



「こういうのも、いいかなって」



 喧嘩するほど仲がいい、とかそういうことを言ってるのかな。それにしては何だか表情がうっとりしている気がするが。



「それなら良かったけど……」



「ヒロトさんは、アカリちゃんとずっと一緒なんですよね? ……いいなぁ」



 ずっと一緒……まあ幼なじみだしな。少なくとも、身内を除けばお互いがお互いに一番長い付き合いなんじゃないかと思う。最後に何か聞こえた気もするが、内容までは聞き取れなかった。



 ……と、こうして話している間にショッピングモールへと辿り着いた。なかなかに大きな、名物ともいえる場所である。



「おーい二人共、着いたぞ?」



 家を出てからずっと言い争っているなんて飽きないんだろうか。それに疲れないのか……まあいいか。着いたぞと、二人に声をかける。



「へー、ここが……なかなか広いわね!」



 偉そうにエルシャはこんなことを言いつつも目を輝かせている。その様子から察するに、口ではああ言いながらもじつは楽しみで仕方ないんだな。



「まあこの街一番の買い物名池だからな。まずはどこから……」



「それはヒロト、もちろん服だよ! 女の子たるもの、いついかなるときもオシャレには気を使わないと!」



 さてまずはどこへ……プランを立ててくればよかったなと思っていたときだった。ない胸を張って答えるアカリ。



 何だかんだ言ってもエルシャのことちゃんと考えてるのな。その辺りのことは、情けないがアカリに任せることになるかな。



 じゃあ目的地を服屋に……そう思っていたところ、隣からきゅるるる……という音が聞こえた。これは……腹の音?



 原因を探るために隣を見ると、隣に立っていたリーシャが顔を真っ赤にしている。お腹を押さえている。



「……リーシャ?」



「へ!? な、何でもないですよ! お腹が空きすぎてお腹なんてなってませんから!」



 言い訳を述べるが、残念、自滅だ。何てわかりやすい子だろうか。そう言っている間にも、ぐぎゅるるる……とさらに大きな音が鳴る。この子あれか……腹ぺこキャラなのか!?



「あうぅ……」



「あはは……まずご飯にしよっか」



 まだ昼には少し早いが、まあ別に構わないだろう。 鳴り続ける腹の音を聞きながら、俺達は少し早めの昼食をとるために店を探し始めた。

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