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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
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自分の体は自分がよくわかってない



「なるほど、そういうことでしたのね」



 あのあと、オルちゃんの誤解を解くのに十分程掛かってしまった。そして今ようやく、全てを理解してくれていた。疲れた。



「この方が、リーさんが言ってた方なのですね!」



 目を輝かせ、カーリャさんを見る。これまでオルちゃんには、カーリャさんについて少なからず話したことがあり、いつか会いたいと度々言っていた。



 それが、ここにきて叶ったということだ。



「この子がリーシャの相方? へぇ……」



 カーリャさんの方も、私と旅を共にしてくれているパートナーのことを興味深そうに見ていた。



 その際、オルちゃんの胸元を見たあとに自分の胸を見て、とても悲しそうな顔をしていたのはおそらく気のせいではないだろう。



「はじめまして、オルテリア・サシャターンですわ」



「はじめまして、カーリャです。この度は、リーシャがお世話になって。あの子に、まさかこんなに親しい友人が出来るなんて……」



「いえいえ、私の方こそ、リーシャさんには助けられてばかりで。友人になれて、私の方こそ嬉しく思っていて……」



「やめて!」



 深々とお辞儀しあう二人。このままだと何か始まりそうなので、そうなる前に食い止める。聞いてる方が恥ずかしいし、このままじゃ長話に突入だ!



「そ、それより、オルちゃんは私を探しに??」



「えぇ、そうですわ。どこにいるかもわからないから、建物を一つ一つ見て回りましたの」



「一つ一つ!?」



 その行動力が凄いよ。とはいえ、私はサラリアさんにここを聞いたわけだし、ここにいることをオルちゃんは知らないもんな。



「それは……ごめん、とご苦労様?」



「ま、無事見つかって何よりですわ。ひとまず戻りません?」



 謝罪するも、オルちゃんは別段気にした風もない。こういうさっぱりしたとこが、彼女の良いところだ。



「そうだね」



 ずっと消えたままだと他のみんなに心配されるかもだし。ひとまずみんなの所へ戻るために歩き出す。



 ……が、その時だった。



「……っく……!」



 胸が、痛む。どくんと、心臓が跳ねているかのようだ。



 突如、胸を押さえてしゃがみ込む私を心配そうに見るオルちゃんとカーリャさん、ミシェルさん。こ、この痛みは……!



 ま、参ったな、まさかカーリャさんといるときに、『これ』が起こるなんて……



「リーシャ!?」



 人魔戦争を機に、以前とは力の在り方が変化した。その影響か、度々訪れるこの痛み。心臓を握られたような、そんな嫌な、苦しく、鋭い痛み。



 いつ起こるともわからない。私は、この症状をわかりやすく『発作』と呼んでいる。最近は治まっていたから、油断してた……!



 発作の周期に決まりはない。胸が痛むことに変わりはないが、最初の一回を超えるほどの痛みは、今までにはない。時間が経てば、いつも治る。



 だから今回もそのうち治まるはずだけど……それにしたって、カーリャさんにこの姿は見られたくなかったな。



 命に関わるような苦しみではないが、楽観的にしていられる苦痛でもない。今だって、心配して声を掛けてくれる三人の言葉に取り合う余裕がない。



 かろうじて見た先には、オルちゃんが二人に何かを話している姿。おそらく、この発作の原因を話してくれているのだろう。原因といっても、私が予想しただけのもの。その原因の、確実なものはわからない。



 ただ、激しい発作の直後にこの姿になったことを……髪の毛の色と、瞳の色が変わったことを考えると、この痛みがそれと無関係には思えない。



 誰かが、背中を擦ってくれているのがわかる。この手は……オルちゃんだろうか。いつも、私が落ち着くまでこうして背中を擦ってくれているんだ。



 そのことに若干の安堵を感じていた時だった。体を、温かな光が包み込んでいく。この光は……天力?



 その正体は、カーリャさんだ。私に手をかざし、その手の先からそこから漏れる光が私を包み込んでいる。



 温かで、優しい気持ち。それが心地よく身を委ねていると、不思議と発作の苦痛が引いてきて……徐々に体は落ち着いていき、ものの数秒で発作は治まっていた。



「はぁっ……はぁ……」



 苦痛が引いていき、息を整える。さっきまで苦しんでいたのが嘘のように、今は落ち着いている。



「リーさん、大丈夫ですの!?」



「ぁ……うん」



 心配して顔を覗き込んでくるオルちゃんに少し驚きながらも、頷いて答える。すると、正面から抱き着いてきた。



「よかった、よかったですわぁ!」



「大袈裟だってば。……ありがと」



 間近にある彼女の頭を撫でながらも、次いで視線はカーリャさんへ。



「カーリャさん、今のって……」



「気休め程度の治癒。発作を完全に消した、とかってのは期待しないでよ」



 と、肩をすくめる彼女に「ありがとうございます」とお礼。「気にしない気にしない」と手を振ると、一本立てた指を私に突き付ける。



「私はその手の専門家じゃないし、詳しくはわからないけど……多分、体の中で天力がごちゃごちゃになってる」



 わかるようでわからない例えを出してくる。ごちゃごちゃ、って言うと……



「それって、どういう……?」



「うーん、何て言ったらいいか。……天力に限らず力ってのは、体の中で一定の法則を持って循環してる。それがあんたの体の中は、力がでたらめに乱れてる。血液に例えるなら、動きが逆流したり激流してる、みたいな」



 なるだけわかりやすく例を立てて説明してくれる。つまりは、血液の流れがめちゃめちゃになっている、というのだ。……こわっ! え、私そんな危ない状態なの!?



 今まで重く考えてなかったけど……これって結構ヤバいんじゃないだろうか。



「や、素人意見だからそんな気にしないで。幸いここには専門家もいるし、そいつに聞いた方がいい」



 顔を青くする私を見て、カーリャさんのフォローが入る。素人意見とは言うけど、素人意見でもその見解が出るってくらいヤバイのに変わりはないのでは。



「せ、専門家が……いるんですね」



「あぁ。天力の専門家……人間世界で言う医者、ならわかりやすいか?」



「天使にもそういうのいるんですね。……あれ、じゃあ私、熱出したときとかどうやってたんだろ?」



 自分がヤバイというのに、ついつい別のことが気になってしまう。



 私はハーフとはいえ、半分は天使だ。それを、人間の医者に見せて不審に思われないものだろうか? 小さい頃は熱とか出してたみたいだし。



「聞いた話だと、熱とか出しても自然に治っていったんだってさ。ま、あの方の血を継いでいるんだから、当然と言えば当然だけど」



 幼い私凄いな。あの方、というのは、私の母親が二大天使という地位にいたからだ。で、その娘なら天力も強いため自然治癒力も高いということだろう。



「あ、だったら、発作のこと一々専門家に見せなくても、私の治癒力でどうにかなるんじゃ? カーリャさんの天力で、治まったわけだし……」



「気休め程度、って言ったろ。それに、あんたの治癒力でどうにかなってないから今こうなってんでしょ。ほっといて悪化したらどうするの。自分の体のことは自分がよくわかる、って言うやつが自分の体のこと一番わかってないんだから」



「うぐ……」



 提案してみたが、正論で返された。

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