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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
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天使を探して



 村を発ち、数日が経った。のだが……



 『組織』の場所はおろか、女性達が連れていかれた場所にさえ、未だ辿り着けないでいた。食料とかも、そろそろ底をつきそうだ。



「……本当にこの方角であってるんですのよね?」



 不安げなオルちゃんの声。後ろを着いて来ている村人達に問い掛けると、その中から声が返ってくる。



「それは間違いないんだが……運びに行かされる時はいつも、変な穴潜ってたから正確な位置までは……」



 その言葉に、私もオルちゃんも足を止める。変な穴と聞いて、嫌な予感。……それってもしかして、いわゆるワープゲートみたいなやつじゃないだろうか?



 だとしたら……



「何でそれを先に言わないんですの! じゃあ方角もあってないってことですの!?」



「い、いや。方角は間違いない。奴らが、村から東の場所に繋がってるって言ってたから……」



「だとしてもぉおおっ! っ、あっつぁあああ!」



 顔を覆い、天を仰ぐように膝をつくオルちゃん。てっきりある程度の場所までわかっていると思っていたんだから、その落胆は当然といえば当然だろう。



 そして、膝を地面についたことで、熱くなっていた地面による灼熱がオルちゃん膝足を容赦なく襲う。この世界、闇に包まれてしまったのに、天候は変わりがない。なので暑さに晒されれば地面も熱くもなるし、雨も降る。今は曇りなのに快晴……みたいな。



「あはは……とりあえず、休憩にしよっか」



 方角はわかっても、距離はわからない。何だか限りない振り出しに戻った気はするが、ひとまず休憩することに。動きっぱなしでは、いざという時に参っちゃうからね。



 場所は、もうボロボロになった何かしらの屋台の前。建物もボロボロであるが、文字が荒み何屋かもわからないほど。



 そこにあった、これまたボロボロの椅子。強度を確かめ、椅子に座ろうとした時だった。



「……どうしましたの?」



 椅子に座ろうとしている状態で固まっている、微妙な姿勢の私を見て、水泡で膝を冷やしているオルちゃんが不思議そうに問い掛ける。



「この気配……近くに、天使がいる……かも?」



 そう、私が感じたのは、天使の気配。今までの邪悪なものとはまったく違うもの。私の中に流れる天使の血が、この気配の正体を教えてくれる。



「え、マジですの!?」



 ぐっ、とオルちゃんが私の顔に自分の顔を寄せる。近い近い近い! パーソナルスペース考えようよ! 私だからいいけど!



「う、うん……間違いない、と思う」



「ということは、付近に天使さんの組織があるんですのね!?」



 多分ね。とはいえ、はっきり感じるわけではないし……天使の気配だって、カーリャさん以来に感じるものだから。



「もしもっしー? 天使さん達ー、いるなら出てきてくださいなー」



 あくまで多分……しかし、そんなもの関係ないとばかりにオルちゃんは捜索を開始した。捜索と言っても、呼びかけているだけではあるけど……というか、それしか方法がないけど。



「おいおい、天使ってマジか」



「よし、俺達も探そう」



「天使を探すなんて、何だかワクワクしちゃう」



 村人のみんなも、探し始めた。ちなみに今女性口調の人がいたが、女性は全員連れていかれている。そもそも、声色は完全に男だ。



 女性口調の男性……俗に言う、あれだ。オカマさんだ。オカマのミシェル(本名)さんだ。ミシェルさんの親よ、男に何故この名前にした。



 ミシェルさんは、なぜか度々スカイくんをかわいがっている。本人曰く母性本能が働くらしい。男なのに。



「ほぅらスカイちゃん、一緒に天使ちゃん探しましょぉ?」



「ふぇえ……」



 分厚い唇にたっぷりと塗られた口紅。筋肉モリモリの体に、極めつけは坊主頭の、なんとも表現しにくい、特徴的な容姿である。そして女装。



 それを目の当たりにしたスカイくんは、オルちゃんの後ろに隠れている。不満そうなミシェルさん。



 本人曰く、自分が女性にカウントされなかったのも不満だった模様。悪魔達が連れていかなかったのに不満なのはあなただけだよ。



「天使ちゃーん、出てきてー。怖くないでちゅよぉ。……出てこいや!」



 野太い声で吠える。カウントされなくて当然である。



 と、村人観察は置いておいて。みんなが探しているのに、一人でぼーっとしているわけにもいかない。それに元々は、私が天使の気配なんて言ったのが原因なんだし。



「……闇雲に探してもダメ……か」



 とはいえ、多分だけど、闇雲に探しても見つからない気がする。そんな方法で見つかるなら、とっくに悪魔が見つけているだろう。だから私は、周りの雑音を消し集中する。



 私だけが感じた天使の気配。例えばそう、天使の気配を感じることが出来る者だけが、その場所を見つけることが出来るとしたら。



 それなら、悪魔に見つかることはない。可能性としては、充分なものだろう。



 この当たりで一番天使の力を感じる場所を探し当てる……ここ、かな。この場所に例えば、異空間のようなものを作って、その中に隠れているとか。



「うん、ここかも」



 気持ちを集中させ、間違いないポイントを探り当てる。周りとは違う、変な感じのする空間がある。変といっても、暖かくなるような、そんな感じ。



「リーさん、どうしましたの?」



 私の異変に気づいたのか、オルちゃん始め周りの人達も集まってくる。私は素直に、この辺りに不思議な気配を感じる、と伝えると……



「……何も、感じませんけど……」



 困ったように首を傾げるオルちゃん。人には、感じることのできない気配……おそらく、間違いないだろう。



「ホントにナニかあるなら、大手柄よん?」



 バチンと音が鳴りそうなウインクをするミシェルさん。寒気がした。



 あ、自分がウインクされたわけでもないのに、スカイくんが泣き出した。



「もしかしたら、天使特有の感覚共有みたいなのがあるのかも」



 ふむふむ……エドさんの言うとおりかもしれない。これならば悪魔にばれる可能性は格段に減る。考えたな。



 代わりに人にも見つけることはできないけど。



 さて……ここに何かがあるのは確定だとして。問題はどうやって、向こうにいるであろう天使とコンタクトを取るか、だな。

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