次の目的地
『隻腕の死神』。彼もしくは彼女が何者かはわからないけど、出来ることなら……会ってみたい。そして、『悪魔を倒す』という目的が一致しているのなら……共通の目的を持つ者として、協力したい。
名前……いや、二つ名しかわからない相手と、どう出逢えばいいのか。どこに現れるかも、その風貌もわからないのに。
「どうしましたの? リーさん」
いきなり黙り込んでしまった私を心配するように、オルちゃんが顔を覗き込んでくる。
「あ、ううん。何でもないよ」
……ま、今はいっか。考えても仕方ないし……目的が共通しているのなら、いずれ出逢うこともあるだろう。
今重要なのは、今だ。
「さて……これで、本当に悪魔は殲滅したね」
戦いが終わり、エドワードさんは張っていた気を解くように伸びをする。その姿は、戦いの時とは別人だった。
爽やかな面と、冷酷な面。そのどちらが彼の本質なのか……きっと、どちらもなのかもしれない。
「戦いになると性格が変わるんですかね、剣士さんは」
オルちゃんも感じ取ったのか、私に耳打ちをする。オルちゃんは、人のことを滅多に名前では呼ばない。が、"剣士さん"とは、また安易なネーミングを……
うーん……戦いになると性格が変わる…というより、戦いになると性格が前面に押し出される、という感じがするんだけどなあ。
まあ、性格のことは一旦置いておこう。それよりも、あの悪魔が出てきたことで中断してしまった、話の続きをしよう。
「あの、エドワードさん……」
「エドワードさん、じゃ長いでしょ。エドでいいよ」
話しかけると、名前に対して指摘される。呼び方が長いだろうというのと、「みんなにもそう呼ばれてるし」と言うことだ。なら遠慮なく。
「じゃあ……こほん、エドさん。さっきの話に出てきた、"天使みたいな人"の話の続きなんですけど」
「あぁ……彼女も天使、なんだね? キミと同じ」
先ほどの戦いのときとはまた違う、真剣な瞳。エドさんの話に出てきた人物が、正真正銘の天使なのだと確認する。それは、間違いないだろう。
「はい、間違いないと思います。で、その彼女の言っていた『組織』のところまで、皆さんを連れていこうと思うんです」
この人数を連れて旅を続けることは出来ない。けど、『避難所』まで連れていくことなら、何とかなりそうだった。
彼女が、エドさんに「必ず助ける」と言ったのなら、この人達を保護してもらおう。さっき話していた、人々を保護し匿っている『組織』と、天使の彼女が言った『組織』。
確証はないけど、十中八九同一だろうと私は考えていた。
「それで……その場所、わかりませんか?」
するとエドさんは困ったように、頬をかく。
「そこまでは……ただ、ここから東から来たと言っていたよ」
手がかりは方角のみ、か。東か……ん? 東といえば、そういえば。
「それって……」
「あぁ。ここの女達が連れていかれたのも、東の方角だ」
この村の女性達が連れていかれた場所、天使の女性が来たという場所……どちらも、同じ方角だ。どうやら、次への進路は決まった。
連れていかれた女性達を助けるにしろ、『組織』に向かうにしろ……東に、目的とするものがある。
「なら……まずは東へ。東へ向かいましょう」
その言葉に、みんなはうなずく。みんなには歩いてもらうことになるが、そこは我慢してもらうしかない。これまでとは違い、明確な目的地が決まった。
それから少し休息し、私達は次の進路……東へと出発した。




