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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
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『星剣』 "星砕き"



 悪魔改めオニヘイの標的が、完全にエドワードさんへと定まった。



 任せてと言ってたエドワードさんだけど、さっきの攻撃を身に感じた私には不安が走る。あれは、天使の力にも劣らないほどの力だ。



 それにエドワードさん、あんな挑発までしちゃってるし。果たしてだいじょう……



「あまり吠えるなよ、鬼モドキ。お前の息で空気が濁る」



 ……ぶじゃない! とんでもなく挑発してる! なんでそこまで挑発するのこの人!?



「おぉんのれぇええあえあぅあ……!」



 目が! オニヘイの目がヤバい! 見開きすぎて目玉が取れてしまうんじゃないかもいうほどに剥き出しになってる! しかも怒りすぎてか言葉がおかしくなってる!



「R指定ですわ!」



 と、スカイくんの目を塞ぐオルちゃん。ナイス判断!



 対峙する悪魔、オニヘイを睨みつけながら、エドワードさんは何もない空間に手を伸ばす。



「……え?」



 何もないはずの空間に手を伸ばしても、ただ空を切るだけ。そのはずだったが……伸ばした先の空間に、手が入っていく……? まるで穴のようなものが空き、その中に手を突っ込んだではないか。



「僕の……というか、僕の家系で代々受け継がれているこの神力は少し特殊でね。こうして何もない空間に専用の空間を作り、そこに“あるもの”を収めている」



 専用の空間に、ものを収める? そんな万能ポケットみたいな神力……聞いたことも見たこともない。そん、なことまで出来るなんて…ホント何でもありだな、神力。



 何かを探すように動いていた腕が、動きを止める。それからゆっくりと手を引いていき、その手に掴んだものが姿を現す。それは……



「……剣?」



「そう。我がアルスラン家の家宝とも言える剣。あの空間でしか保管出来ない特殊なものでね。ただの剣ではないよ……これは星剣(せいけん)。その名も"星砕き"」



「星剣なのに砕いちゃうんですの!?」



 突然現れた剣。その名前に、思わず出たオルちゃんのツッコミが冴え渡る。



 ……とにもかくにも、空間ポケットから現れたのは、輝かしいまでの光を放つ剣。これは比喩だけでなく、本当に光っている。天使の光とは、また違ったものだ。



 細身の刃は一見頼りなさを感じさせるが、剣全体から出る雰囲気というのだろうか。それだけで、あの剣がただの剣ではないことを伝えてくれる。



 星剣……と言ったっけ。聞いたことがある。……確か魔剣、界剣に並ぶ、名刀三王剣っていうものの一つだと。そういえば、キルデが持っていたのは魔剣だと言ってたっけ。



 それを、こんなとこで見ることが出来るなんて。しかも、代々受け継がれているってことは……元々が、この家系の人達の物だったということか?



 禍々しい雰囲気を持つ魔剣とは対照的に、輝かしいまでの光を放つ星剣。低級悪魔なら、一振りで滅すことが出来るんじゃないかと思えるほどのそれが、エドワードさんの手の中にある。



「お前達におかしな手錠を嵌められたせいでこれを出せなかったけど……ようやく、使える」



 それにしても、あの空間ポケットも神力というのなら、彼も神力学園にいたんだろうか? あんな剣を持っているならかなり目立つはずだけど、見たことがない。



「神力使い……学園出身ですの?」



「いや。神力は、成人して発現することはない。けど僕の家系は、剣に認められる成人となって初めて発現するんだ。だから、学園には通ってないよ」



 いろいろな意味で、特殊な神力ということらしい。学園にいなかったのは、言ってしまえばタイミングの問題だ。



「無駄話たぁ余裕じゃのぅ。へはは、星剣だか何だか知らんが、そんなもんでわしの愛棒『鬼流(きりゅう)』に勝てはせんわ!」



 自らが持つ金棒を振り回し、笑う。



 愛棒……なるほど、愛用の金棒だから愛棒と。その名前、やっぱり鬼を意識してるんじゃないのか。



「愛棒……か、カッコイイですわ」



 オルちゃん!?



「ならその愛棒とやら……斬り落とした上で、お前を殺してやる」



「抜かせ人間の小僧がぁ!」



 エドワードさんの言葉を、新たな挑発と受け取り、飛び掛かっていくオニヘイ。対してエドワードさんは、避ける素振りすら見せない。



「うらぁ!」



 振り下ろされる、重々しい一撃。ズンッ……と心臓に届くほどの重々しい音が、打ち付けられた地面のクレーターが、その威力を物語っている。



 天力のバリアさえも破りかねないあの力、直撃したらひとたまりもないが……



「ちっ、避けたか」



 エドワードさんはというと、その場から大して動くことなく、振り下ろされた攻撃を避けていた。身を捻る程度の、とても小さな動きで。直撃したら痛いじゃ済まないというのに。



「なるほど……当たったら一瞬で粉々だなこれは」



 防御という妨害なく打ち下ろされた金棒本来の威力。その威力を再確認したように、呟く。だが、その表情に焦りはない。 これが本当に、さっきまで爽やかに笑っていたのと同一人物か?



「ヘハハハ!」



 オニヘイは金棒を振り上げ、今度はそれをブンブン振り回す。風圧ですら辺りの建物を揺らすそれは、近くにいるだけでも危険だろう。



 しかし、エドワードさんはそれを涼しい表情でかわしていく。



「くそ、当たらねぇ!」



 初めは愉快そうに金棒を振り回していたオニヘイの表情は、徐々に歪んでいく。攻撃が当たらないほど、イライラするものもないのだろう。あの性格だと特に。



「この程度か? 金棒を振り回すしか能のない力バカが」



 あんな巨大な金棒の振り回しに、億することなく身を捻りかわしているエドワードさんの精神力はたいしたものだ。。当たる、ギリギリの位置を振り抜いても焦った表情はない。



 それどころか、最中にオニヘイを煽ることも忘れない。



「パワーこそ力全て……とでも思ってるんだろ? 単細胞は楽でいいな」



 この人、爽やかな顔して……言うこと言うな。



「キミのスピードじゃ、僕のスピードは捉えられない」



「黙れ小僧ォおお!!」



 ブチィッとここまで聞こえてきそうなほどにオニヘイの血管が切れているのがわかる。



 金棒を振り上げ、今までとは違いそれを両手で握っている。力の全てを振り下ろすつもりだ。



「……あ!」



 それに気付けば、エドワードさんは壁際まで追い詰められていた。このままでは、先程のように避けて移動するという手も使えないだろう。逃げ場が、ない。



「くたばれぇえええ!!」



 渾身の一撃が、振り下ろされ……エドワードさんに、直撃する。

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