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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
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人々の希望"双翼の星"



 学園にいた頃から強い力を持っていたけど、今に至ってはあの頃の比ではない。こんな状況ではあるけど、悪魔を相手に戦い続けたことが彼女のセンスをみがいていったのだろう。



 ただ……天使の力というアドバンテージがある私とは違い、オルちゃんは純粋に力があるんだよなあ。頼もしいけど、逆に私自身がふがいなく思ってしまう。



「むぅ」



「ん、どうしたんですのリーさん。ご飯を頬張ったハムスターみたいですわよ?」



「何でもない。オルちゃんはすごいなあって思ってるだけ」



「いやあ、なんだか照れますわね」



 元々のセンスに加えて、教えたことはすぐに吸収する柔軟性もある。パートナーとしてこれ以上頼もしいものはないけど、逆にオルちゃんは私のことをどう思ってるんだろう。



 それを聞くまでもないのは、彼女の態度からもわかる。どうでもいいと思ってる相手と半年も一緒にいるほど、お人好しではない……はずだ。それでも、オルちゃんは結構お人好しだと思うけど。



 性格はよくて、一緒にいて楽しいし、戦闘センスはいいし、強いし、スタイルいいし、おまけに……胸だって、大きいし……



「……どうしたんですの? 何だか今のリーさんから、アカリさんとよく似た視線を感じるんですけど……」



「気にしないで」



 アカリちゃんと似た視線とは。……そういえばアカリちゃんも、胸の大きさに思うとこあったみたいだしなあ。私以上に。



 よくこう漏らしてたなあ……オルテリアちゃん、おっぱいお化けめ……って。



 ま、こうして嫉妬しても仕方ない。いや、人柄って言うのか……オルちゃんには、嫉妬する気持ちすら起きないんだよな不思議なこと。尊敬する相手ではあって妬む相手じゃないもんね。旅の最中でも、オルちゃんは良きパートナーであると共にお師匠みたいなものだし。



 神力や護身術をよく教えてもらっていた。ほら、思い返せば、色々なことを教えてもらった光景が鮮明に思い出される……



『ほら腰! もっと腰をこう……グッと引き締めて。さあほら、グッと』



『違いますわ! もっとこう……バシューッとやるんですわよ。手を、バーッと』



『惜しいですわ! 後はもう少しシュビシュビと出来れば完璧ですわ!』



 ……あんまり教えるタイプには向いてないけど。



 それでも、彼女自身のその動きを見て、私のものにすいるため盗むことは出来る。おかげで、私自身の戦闘力もアップしたし。



『格段に進化してますわ! 例えるならそう……金魚が、鯛に進化したって感じですわね!』



『あれですわ、えっと……小石一撃でフライパンを粉砕出来るみたいな!』



 証拠に、彼女自身からもお墨付きを貰った。まあ、例えがよくわからなさすぎて素直に喜んでもいいのか微妙なところではあるんだけどね。強くなったんだ、と思いたい。あの惨劇から、強敵という強敵とぶつかってないから断言は出来ないけど。



 教え方は滅茶苦茶だけど、こうして実感できるくらいには自分の力が強くなっているのを感じる。後は、どれだけ実戦で通用するか……だ。ホントは、戦うための力なんてないほうがいいんだけどね。



 でも、そんなことは言えない世の中になっちゃんだよね。



『戦うため、じゃなくて、守るための力を身に付けるのよ!』



 ふと、頭の中に懐かしい声が流れる。それは、私の師匠……私にとってもう一人の、お母さんのもの。あの頃は、無理言って稽古付けてもらったんだっけ。懐かしい……



 ……って、懐かしさにふけっている場合じゃない。



 周りに、もう悪魔の気配はない。どうやら隠れている様子でもなさそうだし、もう大丈夫だ。悪魔に虐げられていた人達をしないと!



「大丈夫ですかっ?」



 彼らは、今まで自分達を虐げていた悪魔が倒されたことに驚きを隠せないようだ。それはそうだろう、なにせ最長でも半年……今まで、悪魔の支配を受けてきたのだから。



「あ、あんた達……一体、何者だ?」



 複数いる人達の中から、前に出るのはご老人。多分、この人達の長的な存在なのだろう。悪魔を倒したことから、私達のことを敵だとは思ってないだろうけど、正体のわからない相手に困惑と若干の警戒が見える。



 何者、か。うーん、この場合何と答えたものかな……正義の味方?



「私達は皆さんの味方ですわ! さあお喜びなさい! おーほっほっほ!」




 私達が何者であるか。それを考えている間にも突っ走って話してしまうのが……オルテリア・サシャターンという人間なのだ。でもオルちゃん、今はちょっと黙って! というか久しぶりに聞いたよそのお嬢様みたいな笑い方!



「オル姉ちゃん変な笑い方ー」



 こら、スカイくんも喜ばない!



「悪魔を簡単に倒した二人の人間……も、もしかして、噂に聞く“双翼の星”じゃないか?」



 二人が好きに話しているうちに、先ほろの老人とは別の男が口を開く。出てきた単語に、私は困惑しながらもうなずく。その仕草に、人々は歓喜する。



「おぉ、ホントに……!」



「悪魔と戦っている人がいるっていうのは、本当だったのね!」



 私達の正体がわかったみんなは、いっそうの喜びに満ちていた。



 “双翼の星”……それは、私とオルちゃんを指し示す、言わば通り名のようなもの。悪魔に立ち向かう二人の人間がいるという情報が広まり、こんな呼ばれ方をされるようになった。なった、とは言っても今までは、倒した悪魔からしか聞いたことがなかったわけで。



『お、お前らが……噂の、“双翼の星”……だった、のか……がくっ』



 こう言い残して消えて言った悪魔を見た時、「なに言ってんだこいつ」と私は思った。まさかそれが、私達のことを指しているなんて思わなかったからだ。



 誰が呼び始めたのか知らないが……ちょっとかっこいいのと、ちょっと恥ずかしいなと、私は思った。

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