表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
世界崩壊
108/314

荒れ果てた世界で抗う者たち





 神力学園で起きた悲劇。その時は、突然と起こった。悪魔が、侵攻してきたのだ。人間達は立ち向かうも、悪魔の圧倒的な力の前に敗北を喫した。


 傷ついていく者、倒れていく者、命を奪われてしまった者……起こった惨劇は消すことができず、惨敗という結果はこの世界を深い暗闇へと突き落とした。


 私達の力は遠く及ばず、何一つとして大切なものを守ることは叶わなかった。


 全てを消滅されそうになった最期の時……突如として、辺り一帯を覆うほどの謎の光が全てを包み込む。光に包まれたのは、一瞬……それでも気がついたときには、私は学園とは全く別の場所に飛ばされていた。


 おそらくはみんなもそうだろう。


 この謎の現象の正体、それはメルガディスや魔王が使ったものと同じ、空間転移だろう。……しかし、あの場のほぼ全員を、それぞれ別々の場所に転移させた彼女の力は、すさまじいものだ。


 彼女のおかげで私は……私達は命からがら助かることが出来た。しかしその後の各自の状況は不明。状況はわからないが、各自それぞれの無事を祈るのみである。


 私達の恩人、そして私の友達の勇敢な行動を、私は忘れない。……彼女は言った、人間はそんなにやわじゃない……と。ならば、悪魔たちに見せつけてやる。


 ……これは復讐ではない。ましてや命を無駄にする行為でも。……彼女は言った。生きて……と。


 生きる……生きるために、戦う。生きて、彼女が守ろうとしたこの世界を取り戻す。そして、あのバカな魔王を一発ぶん殴ってやる。


 私達の世界を……取り戻すために……













ーーーここは人間の住まう世界、人間界。



 しかし、ここにいるはずの人間の姿はない。変わりにあるのは、全てを包み込む闇。一寸の光もない、無限の闇。



 廃墟と化した、街だった場所……整備されてない道……そこに、あちこちに徘徊しているのは魔物や魔獣と呼ばれる、魔の力を持った獣。



 ひとえに、魔物、魔獣と区別はしても大した差はないとされる。言うなれば、言語を話すかどうか……ただ本能のままに唸る獣を魔物。言葉を話し知能がついた獣を魔獣、としている。



 本来人間界に、魔物、魔獣が徘徊することなどない。そこにいるのはいないはずの生物、逆に人の気配はなく……建物は崩れ草木は枯れ、崩壊した街がそこにはあった。



 それはこの街だけではない。世界中が今、このような事態に陥っている。それは何故か……



 理由は一つ。人間界が、悪魔の侵攻を受けたためである。



 半年前、世界は悪魔からの攻撃を受けた。それによって、神力と呼ばれる力を持つ人間と悪魔との激しい戦いが勃発。人間たちは激しい抵抗を見せるも、結果は敗北。



 人類の敗北、それは大きな変化となった。世界規模で悪魔の侵攻が開始され、力を持たない人間達は為す術なく蹂躙された。そして、たちまち支配が始まる。



 殺される者、生かされるも奴隷にされる者……悪魔により人間界は、いや人間は自由を奪われ支配されることとなった。



 抵抗すれば殺され、悪魔の機嫌を損なえば殺され……時に魔物、魔獣の餌とされる。次第に、人間達から抵抗の意志は薄れ……やがては消えていった。



 まさに、鳥かごに囚われ自由を奪われた鳥。希望を失った人間たちはもう、自分で羽ばたくことも出来はしない。



 ……だが、理不尽に支配されるこの世界で……悪魔にあらがう人間達も、確かに存在していた。



 ……一度は全てを失い、絶望した。いくら死を考えたかわからない。……だが、それでも"彼女"達は戦い続ける。



 力も数も、戦力差は明らかだ。だからといって、それが諦める理由にはならない。もとよりそれは、覚悟の上だ。そんなもの、気にするな。



 振り返っても、なくしたものはもう戻らない。失ったものはもう取り戻せない。過去は、なかったことにできない。



 それでも戦うのは……生きるため。彼女は言われた。恩人に……友達に、「生きて」と。



 その約束を守るために……生きるために、戦う。そして、親友が愛した男を殴るために、強大な力にも抗がってやる。絶対に、諦めない。



「……今日も、空は暗いな」



 悪魔に支配されたあの日から、闇に覆われた空。そんな、青空が閉ざされてしまった空を見上げ……彼女は呟いた。こんな中にいては、気分も沈んでしまう。



 だが、空は暗くとも……その心の火までは、陰ることはない。



「よっ、と」



 金色と茶髪とが混ざりあった短髪を揺らし、彼女は立ち上がった。めちゃくちゃになってしまったこの体とも、最近はようやく付き合い方がわかってきた。



「そろそろ行きますの?」



 そんな彼女にかけられる、もう一つの声。彼女と行動を共にする……頼もしい、パートナーだ。短く切り揃えられた、美しい青髪をなびかせ、問いかける。



「うん。一つの場所に留まり続けても、あいつらに見つかる可能性が高くなるしね。そろそろ……行こう」



「そうですわね。………ま、体も休めましたし。……ほら、行きますわよ」



 そして、もう一人の……最後同行者へと声をかける。彼は、彼女らよりも遥かに年下で、ゆえに同行者のムードメーカー的な扱いになっている。



「うん、わかった!」



 三人は、進む。どこへともわからぬ道を。



 ……ここには、理不尽な世界に抗う少女達がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ