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神殺しの弾丸  作者: 白い彗星
最弱と最強の出会い
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まさかの共同生活



 まあ、いろいろあったわけだが、結果としてこうして、晴れてエルシャは神力学園に通うことになった。エルシャの処遇、というか今後どうするかはとりあえず決まったわけだが……



「で、学園に通うにあたってキミの部屋だが……カルバジナ、キミの部屋が空いていたな。そこにするといい」



「「「は?」」」



 次なる問題は、エルシャがどこに暮らすか。この神力学園は全寮制なので、空き部屋か誰かの部屋に入れてもらうかになる。エルシャの場合、寮以前に住む所がないのだが……



 その辺、先生はどう考えているのか。考え無しに学園に通えなんて言ったわけじゃないだろうし……と考えていたところへの今の台詞だ。



 その提案に、三者の声が重なる。俺にエルシャ、そしてアカリだ。



 通常この神力学園で、二人一組をルームメートとして寮に入ることになっている。そして俺のルームメートは現在いない。



 つまりは……そういうことなのだろう。ルームメートがいない且つ事情を知る人間、条件としてはこれ以上ないが……



「俺の……ルームメート?」



「ふざけるんじゃ……」



「ダメよそんなの!」



 その提案は、素直にはいそうですかと受け入れられるものではない。男と女が同室なんて。



 さすがのエルシャも反対のようで抗議しようとしたが、それよりも先にアカリが声を荒げる。バン、と両手で机を叩きながら……



「そんなの! 男と女が、お、おおおんなじ部屋なんて…」



「だがなぁ……たまたまルームメートがいないのがカルバジナだけなんだ、それにエルシャと初めて会ったのもこいつだし、色々都合がいいだろう? 男女でというのも前列がないわけじゃないし」



 アカリの抗議になぜか冷静な先生。って、前例あんの!? 初耳だよ! というかルームメートがいないとか止めてくんないかな、悪気ないのかもだけど傷つくんだけど。



「だ、だからって……そうだ、私! 私の部屋に来ればいいわ!」



「それだとキミのルームメートに迷惑だろう?」



「説得しますから!」



 確かに男女でルームメートというのは問題あるけど、なぜアカリがそこまで言ってくれるのだろうか? やっぱり幼なじみとしていろいろ考えてくれてるのだろう。



 するとそれまで黙って聞いていたエルシャが、何かを思い付いたかのような妙な笑みを浮かべて口を開く。あ、これ絶対嫌な予感しかしない。



「そうよアカリちゃん、それじゃ相手に悪いわ。私は別に構わないわよ?」



 と、いけしゃあしゃあと言い放ったのだ。あれ、あなたさっきまで反対派の意見じゃなかったっけ?



「あ、あんた何言って……」



「ヒロト君と同じ部屋で構わない、と言っているのよ?」



 気のせいか、二人の間に火花が散っているように見える。というかアカリが噛みついているように見えるが。エルシャもなぜいちいち煽るような笑みを浮かべているのか。



「あんただって嫌でしょ!? ヒロト……男と一緒なんて!」



「べっつにー? 私は気にしないわよ。それにあんたって、あなた失礼ねぇ。エルシャよ、私の名前は。いいじゃない同室くらい」



「ダメよ! 絶対ダメ!」



「私がいいって言ってるんだからいいじゃない。それとも私がヒロト君と同室だと、あなたに何か不都合でもあるのかしら?」



 二人の言い争いは平行線……ではあるが、エルシャの方が優勢に見える。ぐっ……と悔しそうなアカリ。あれ、おかしいな、俺も当事者のハズなんだが蚊帳の外だぞ?



「本人の許可がとれているんだ、問題はないだろう」



「そんな……!」



 その本人の中におれが含まれてないってのが、非常に悲しいところではある。とにかく、ただでさえアカリが不利な状況が、なぜか二対一になったことでますます不利になっている。



「じゃ、決定ね?」



「ちょ、俺はまだ……」



「カルバジナ……私にこれ以上面倒事を押し付けるのか?」



 不利どころか決定事項に?抗議を申立てようとするが、先生のその睨むような眼光を前に、俺は何も言えなくなった。というかこの人、単にめんどくさくなっただけじゃないか?



 こうして、俺とエルシャ……二人は、同室のルームメートとなったわけだ。俺にとってはほとんど蚊帳の外だったけどな!



「ではエルシャの編入についてはこちらで準備を整えておくから、カルバジナはエルシャを部屋にでも案内してやってくれ」



 あれよあれよと事が進んでいく。そんなわけで今、俺達は先生の部屋から退出し、俺の部屋に行くために移動しているのだが……



「認めない……私は認めないから……」



「あなたが認めなくても、これは決定事項だもの」



 二人はまだ言い合っている。というより、やはりアカリが一方的に噛みついているようなのだが……残念ながら、決まってしまった以上覆ることはないだろう。



「なあアカリ、もう諦めろって。多分俺達が何を言っても無駄だよ」



「ヒロト! 当事者なのに何でそんな落ち着いてるの!」



「いや、俺だって焦ったさ。当事者なのにむしろ蚊帳の外だし。けどもう決まっちまったし……ウダウダ言っても仕方ねえよ」



 そう、経験上こういうことは、早々に諦めてしまった方がいいのだ。ウダウダ言って結果が変わるならいくらでも言うが、こういうのは大抵聞き入れられない。



「ふ、ふーん……ヒロトはこの女と一緒がいいんだ!」



 単に諦めただけなのだが、アカリには伝わらなかったらしい。おい、今の台詞のどこにそんな言葉があったというのか。一言も言ってない。



「おい、俺はそんなこと……」



「そうみたいねぇー。ヒロトくんも私と同じがいいみたいよぉ? 何せ……お互い初めての相手だし?」



 横から出てきたエルシャが、また話をややこしくする。頼むから黙っててくれないか!楽しそうに笑いながら、自分の唇を指差すのだが……



「おい、俺お前に初めてとか言ったか!?」



「え、違うの?」



 と、「どうせお前初めてなんだろ」……そんな意味を込めた視線を向けてくる。ぐ、初めてだけどさ……



「そ、そうだけど……」



「ほらね? お互い初めて同士なんだし……あの教員も言ってたけどお互いに都合がいいじゃない?」



 おい、一応放課後だけど誰が聞いてるかわからないんだし、誤解を招くような言い方は止めろ! 初めてとかどうだとか、聞きようによっては危ないんだよ!



 この場にいる、第三者……アカリの様子を確認する。そこにいたアカリは、何だかもう泣きそうになっている。ど、どうしたいったい?



「初めて、なんだ……ぅ、ヒロトのバカァアアア!!」



 睨みつける、にしてはかわいらしい視線を俺に向け、そう言って走り去ってしまう。なぜ俺は罵倒されたんだ? 何故エルシャはニヤニヤ笑っているんだ?



「ぷっ……あははは!」



 アカリがいなくなった後、突然エルシャは吹き出したように笑い出す。突然の奇行に、思わず俺も肩を震わせてしまった。ど、どうしたよいったい?



「な、何だよ?」



「だって……あはは、おかしー! 人間ってなんてからかいようのある生き物なのかしら!」



 どうやらさっきのアカリとのやり取りがツボに入ったらしいが、俺には何のことかさっぱりわからない。つーかこいつ、やっぱりアカリのことからかってやがったな?



 とりあえず、神様がアカリをからかったということと、今のやり取りにものすごく笑えるところがあったらしいというのはわかった。



「ったく、アカリもアカリでどうしたってんだ?」



 そんなことを呟くと、エルシャが一瞬キョトンとした顔をこちらに向ける。なんだ、その面白いものを見るような、はたまたかわいそうなものを見るような、そんな複雑な目は?



「え……アカリちゃんがあんなに取り乱した理由気づいてないの?」



「気づいてって、何がだよ……」



 一瞬の沈黙……そしてまたもエルシャは吹き出す。



「ぷっははは! き、気づいてないの!? そ、それはそれで傑作……!」



 近くの壁をバンバンと叩きながら、笑い続けている。何だってんだ、意味がわからない。何がこいつのツボに入ったんだよ。何でこうもテンション高いんだよ。



「はは、あぁーおかしい。こんなに笑ったの久しぶりだわ。面白いのね人間って」



 笑いすぎて浮かべてしまった涙を、拭いながら言う。誉められてるのかそれとも貶されてるのか、わからない。多分、誉められてはいない。それはわかった。



 そんなやり取りを繰り広げつつ、やがて俺の部屋に着いたわけだが……



「ふーん……なかなか綺麗にしてるじゃない」



「まあそれなりには」



 男の一人暮らしだ、だらしないと思われがちだが、そこはきちんと掃除している。何せ、アカリが逐一チェックしに来るからな。



 部屋に入るや、ドカッとベッドに座り込むエルシャ。遠慮なしだな。いやまあ、今日からこいつの部屋でもあるから別にいいんだけどさ。



 元々が二人用の部屋なため、一人ではちょっと広いかなと思っていたのだ。まさか女の子と同室になるとは思わなかったけど。しかも神様。



「はぁ……色々あって疲れた」



 そう言って神様はベッドに身を任せる。確かに今日は色々あったもんな…チンピラに絡まれ、何か強大な力を譲渡して、神力学園に入ることになって……それにこいつは、俺と会う前にも苦労してたみたいだし。



 傍若無人な奴ではあるが、そのことを思えば少しくらいなら、休ませてやっても……



「あ、お風呂沸かしといて~。あとお腹空いた~」



 ……前言撤回。この女くつろぎすぎだろ。これが神様? しかも俺を何だと思ってやがる。お手伝いさんじゃねえぞ俺は!



「それくらい自分でやれよ」



「何よ、あなたこんないたいけな少女のために働こうって気はないの?」



 ベッドでゴロゴロ転がる神様は、不服そうに唇を尖らせている。いたいけって……自分で神様だって豪語する奴がそんな言葉を使うもんかね。



 あといたいけってほどかわいげのある女じゃない。



 ……とはいえ今までは俺がやっていたことだし、こいつに言われたからってやることが変わるわけではないか。しかし……やれやれ。こりゃ、厄介なルームメートが来てしまったもんだ。

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