EPILOGUE②【完】
「二年前ぶりだね……」
思いもよらぬ人物との再会。一瞬は目の異常さえ疑った。
二度と関わることはないだろう。
少なくても男にとってはそのつもりだったので驚きは如実に顔に出た。
「……風の噂で聞いたぞ。なんでも異例の速さで執行官になったんだってな」
「なんだ、もう知ってたんだ。せっかく自慢できると思ったのに」
「こんな辺境の地に何の用だ。遊びにきたってわけでもないんだろう?」
「相変わらず冷たい物言いだね。ちっとも変わってない」
「うるせーよ」
「もしも二人がいなければボクがこの地に来ることもなかった」
「ずいぶんと面倒な言い回しをするようになったな。言いたいことがあるならハッキリ言えよ」
ぶっきらぼうな男の物言いに対して喜ぶようにその口元を緩める女。
少し見つめ合った後に女はようやく自らの素性を名乗った。
「聖騎士団執行官ミラ・アースガルド。本日付けでこの地に着任しましたので以後お見知りおきを」
「マジかよ……」
「言っとくけど二人がボクの前から姿を消して以来ずっと探してたんだからね」
「俺達とお前とじゃ進む道が違う」
「勝手に人の人生決めつけないでよ。二人から学びたいことは山ほどあるのに」
「けっ、何言ってやがる。もうお前に教えてやることなんて一つもねぇーよ」
「じゃあ今のボクとカナメさんが戦ったらどっちが勝つ?」
「そりゃ百パーセント俺だろう。お前弱いし」
「だったら学ぶことあるよね。今日からボクもこの家に住むからよろしく」
「はぁぁぁぁぁ!? ふざけんな!」
「そうゆうわけでネイロさんにも挨拶してくるから」
「おいッ、待てコラ! 話は終わってないぞ!」
「あとで屯所から荷物運ぶの手伝ってね」
「この……馬鹿弟子がぁぁぁぁ!」
山彦のように木霊する咆哮。何事かと飛び出してきた近隣住民に頭を下げた四条要は家に入るなり頭を抱え、魂が抜けるぐらい大きな溜息をついてへたり込んだ。
――「殺戮部隊と弟子・完」




