ネイロの底力
「くっ……噂には聞いていたが桁違いの魔力総量だな。序列四十三位の攻撃を受けてなお限定魔法を発動できるなど信じられん」
「だが立っているのがやっとの状態だろう。所詮は悪あがきだ」
「ネイロさん、あなたにはここで果てて頂きます。どうかお覚悟を」
真打登場とばかりにようやく動き出した四人の殺戮部隊。
勝って当然。勝てなきゃおかしい。
一抹の不安を抱き続ける序列四十三位以外は勝利を確信した薄ら笑みを浮かべていた。
「フフフ……」
「なにがおかしい。気でも違えたか?」
「一つ訊いてもいいかしら?」
「なんだ?」
「……四人でかかれば勝てるとでも?」
思わずゾッとする視線。手負いの獅子ほど恐いものはない。
死神に心臓を撫でられたような感覚に一同の足が止まる。
決して虚勢などではない。本気でそう訊いているのだ。
狂気さえ感じるネイロの微笑を前に四人の殺戮部隊は言葉を失った。
「……万全を期して正解だった。貴様は確実にここで殺す」
「御託いいからさっさと掛かってらっしゃい」
「言うねえ……」
「無残に殺された部下の弔いだ。死ねッ! ウインド・ネイロ!」
一斉に飛び掛かる四人を相手に真っ向から迎え撃つネイロ。
双方の魔法が激突する度に地震のような揺れが大地に木霊する。
――ネイロと四人の殺戮部隊の戦い。
それはどちらかが全滅まで続く死闘の様相を呈していた。




