ミーティング
神殺しの地には総勢三百人から成る野営キャンプ。
指令本部ではミーティングと称した最終確認が行われていた。
「本当に三人だけで大丈夫なのか?」
「ああ、俺達だけでいく」
「選抜した二十名の聖騎士を連れて行ってもいいと言ってるのだぞ?」
「こうゆうのは数いりゃいいってもんじゃないんだよ。とくに洞窟のような動きを制限される場所ではかえって邪魔なだけだ」
「貴様がそう言うのなら別にそれでもかまわんが……」
名目は二カ月ほど前から世界中で報告されている天変地異の調査。
四条要もアウロも神殺しの地が一連の騒動に密接に関係していると確信していた。
なぜならここは世界中の地脈が連なる場所。
世界を巻き込む上で他に都合の良い場所などあろうはずがなかった。
「……で、ミラには話したのか?」
「何の話だ?」
「十年前に貴様がこの地で彼女の両親を殺めたことだ」
「ああ、そんなこともあったな」
「後になればなるほど言い出しづらくなるぞ」
「……かもな」
四条要がこの地に足を踏み入れるのはこれで二度目。景観こそまったくの別物だったが今から十年前のあの日――村を訪れた時の記憶がまるで昨日の出来事のように鮮明に蘇ってきた。
「まあ依頼は完遂するさ。報酬はちゃんともってきたんだろうな?」
「無論だ。なんなら先渡しでもかまわんぞ」
「それは俺のポリシーに反するから後でいい」
「もしも序列一位が相手だとしたら貴様とて倒せるかわからないほどの相手だ。ミラがいるとなにかと不利になるんじゃないのか?」
アウロの危惧。それはミラという不安要素の存在だった。
四条要が殺されるという可能性は不死の性質上限りなくゼロに近いがミラは違う。
もしもミラが死ねば最悪は四条要が道連れになりかねないという負の連鎖。
作戦の成否を四条要に託したアウロにとってそれは看過できない問題だった。
「なんなら我々が安全な場所で預かって……」
「おいおい、何の冗談だ?」
「敵はあのダヴィンチだぞ?」
「ミラはお前が知る未熟だった頃とはワケが違う」
「だとしても実戦経験が少なすぎる。貴様とてそれがわからぬはずがあるまい」
「あいつにはそれを補って余る才能がある。現に二カ月前に襲撃を受けた時は自力で殺戮部隊を倒してる。まあ、ツキはあっただろうが、今はあの時の倍強い」
「……そこまで言うのなら好きにしろ。ただし失敗だけは許さんぞ」
「誰に向かって言ってんだ?」
「これだからならず者は……って、おい待て! 話はまだ終わってないぞ!」
「お前がまだでも俺の方は終わった」
「しくじったら縛り首にしてやるからな!」
一方的に話の折り合いをつけた四条要は軽快な足取りで指令所キャンプを後にした。




