過去の因縁
「久しぶりねカナメ君。ちょっとワイルドにイメチェン?」
「ずいぶんな挨拶だな。俺を半殺しにしてくれたことを忘れたか?」
「あのね、それは不幸な事故で私は騙されたの」
「何を言ってやがる。お前は“あっち側”の人間だろう」
「違うわよ。あんな連中と一緒にしないで!」
語気を強めて四条要の言葉を否定するネイロ。
事情が読めないミラとセルヴァスは空気に徹し静かに事の成り行きを見守る。
「それならあのとき俺を襲ったのはなぜだ?」
「事情を話したら許してくれる?」
「考えてやらんこともないが、もしも嘘吐いたら今ここで殺す」
「じゃあ本当のことを話さないとね」
二階から飛び降りたネイロは空中浮遊しながら四条要の前に降り立つ。
同性であっても目が逸らせない魔性の魅力。
間近でそれにあてられたミラは警戒するように一歩下がった。
「序列三位が私に言ったの。カナメ君を倒せばあとは好きにしていいって」
「お前、ふざけてるのか?」
「別にふざけてなんかないわ。でね、あの日あなたと戦って深手を負わせたまではよかったけど結局は逃げられちゃったでしょ。それを序列三位に報告したら私はもう用済み的なこと言われて殺されそうになったから逆に返り討ちにしたわけ」
「するとお前は俺が異次元に封印されてた事を知らなかったと?」
「異次元……。そっか。道理で私の《風》があなたを感じなかったわけね」
ネイロの言い分からある程度の事情を悟った四条要は溜息交じりに頭を掻いた。
おそらくだが封印されている間に立てた予想の一つに合致してる可能性がある。
そう判断した四条要はこれから起こるであろう未来を予感し目を瞑った。




