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理解できぬ者
「おい小娘、恋人でもねーのにいつまで人の腕に抱きついてやがる」
「なっ……違ッ! このスケベ! 変態!」
「痛えな! なんで殴る!?」
「あんたが最低だからよ!」
「ホントなんなんだこのガキ……」
自分の常識では理解できない人種。その相性は最悪以外の何者でもなかった。
だが二人ともが心の底で少なからず思ってしまった。
理由はどうであれコイツに助けられたのだと――……。
「状況を説明しろ。なにがどうなってる?」
「何を偉そうに。こっちはあんたの所為で踏んだり蹴ったりよ」
「勝手に巻き込んどいて何言ってやがる」
「勝手じゃないし。それよりもあんたに用があるの」
「俺に用だと……?」
「本当に殺戮部隊の四条要で間違いないのよね?」
「じゃなかったら誰なんだ?」
「確認の為に聞いてるの」
「めんどくせえ女だな。そうだよ。俺が四条要だ。文句あっか?」
肝心の用件の内容は四条要が考えうる限りある程度限られていた。
――おそらくは戦争関連。
しかし、戦争を知る者は他にもいるはずなのになぜ自分なのか。
僅かに抱く疑問といえばその程度だった。




