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漆黒の魔剣士と白銀の姫君  作者: よこじー
第1章 モルネス居候編
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第22話「攻城」

 ヤンド城砦を攻略するべく、カーライム軍は本隊と別動隊の二手に分かれた。

 まず、本隊は城砦正面に聖騎士・シャイニーヌ率いるアルネス騎士団が5千。そして、その後ろに予備兵力としてスペンダー公爵率いるコーリン兵6万が配置されている。

 城砦正面の道は細く、大軍で一気に攻めかかることはできない。

 そのため、個々の武が高いアルネス騎士団が最前線に置かれているのだ。

 そしてシャイニーヌ自身もまた、剣と鎧を装備し、最前線にて敵と相見える。


「今こそ王国最強とうたわれた我らアルネス騎士団の力、見せつける時!皆、我に続け!」


 彼女の美しくも勇ましい声はすべての騎士の耳に届いた。

 兵力で完全に劣っている不利な状況。だが、彼女の言葉で騎士達の士気は最高潮に達していた。


「突撃!」


 城砦正面にてアルネス騎士団とヤンド城砦の守備兵による大規模な戦闘が開始された。

 やがて、そこは地獄へと変わっていくのだった。






 一方、別働隊は険しい山中にいた。

 数はあまり多くなく、わずか3千ほど。いずれもノーネス魔術師団の者である。

 そして当然その指揮官は大魔術師ケルビンだ。


「はぁ、結構きっついなぁ……。団長、この作戦本当にうまくいくんですか?」


 副団長・フォールドは、あまりの山の険しさに息を切らしつつ、横にいるケルビンに尋ねた。

 それに対し、ケルビンはフォールドとは対照的に息を一切切らさない、余裕の表情で問いに答えた。


「まだ若いのにだらしないのう。なぁに、心配しなくてもいい。このわしの大魔法で敵の兵糧庫なんぞ軽く吹き飛ばしてくれるわい!」


 ケルビンはそう言うとガハハと笑った。

 彼らの目的はケルビンの魔法で敵兵糧庫を爆発させることだ。

 本隊が砦の正面で敵を引き付けているうちに、別働体がこっそり山頂に周り、敵の兵糧庫を破壊、敵の戦意をそぐ。

 これこそ、ケルビンの考えた策であった。

 もちろん、ケルビンが本気を出せば兵糧庫はおろか、城砦全体を吹き飛ばすこともできるが、できればヤンド城砦は無傷で奪いたい。

 この戦が終わったのち、ここをジェルメンテ侵攻の新たな拠点とするためである。

 やがて、別動隊は山頂に到着した。


「おお、敵の兵糧庫が丸見えだわい!」


 ケルビンは下を見下ろし、敵の兵糧庫の位置を確認すると、思わず喜びの声をあげた。

 魔法は、その攻撃する対象のものが見えなければ使うことができない。

 わざわざ険しい山を登ったのはそのためである。


「じゃが、こちらから敵の城を一望できるということは、敵もまたこちらを発見しやすいということ。詠唱中わしはしばらく無防備だ。お前たち、頼んだぞ!」


「ハッ!」


 いくらシャイニーヌたちが敵を引き付けているとはいえ、敵に位置を見つけられる可能性は十分にある。

 弓ではいささか距離が遠すぎるが、敵に魔術師がいないとも限らない。

 無防備な状態で敵の魔法を食らえばいくらケルビンといえど、無事では済まないだろう。

 3千の兵を連れてきたのはズバリそのためだったのだ。

 この戦いはいよいよ佳境を迎えようとしていた。

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