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残響
生まれていないものは死なないとかそんなはなし。
私を人々は見ていた。
人々はガラスの向こうから見ていた。
水で満たされたこちらを羨むように見ていた。
水銀灯の下の青白い顔を私は見ていた。
つるりとしていておよそ人々は生きていると見えなかった。
私はそんな人々が白く、しろくなってゆくのを見ていた。
灰色のそらに穴が開いて、服を着た犬が私を見付けた。
私は壊れてゆくそらをぼうっと見ていた。
服を着た犬はガラスの向こうからこちらを憐れむように見ていた。
ガラスが割れて、ただ生臭い潮水だけが床に広がった。




