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路地裏の猫

ちゃんとした設定も立てずに書き始めてしまったので心配ですけどちまちま頑張りまっす。

活気溢れた街をボロボロのマントを纏いフラフラ歩く人影が一つ。そのいかにも、な身形に訝しげな目で見る人こそあれど話し掛ける者は誰一人として居なかった。

ボロボロのマントを身に纏った人物は視線から逃れるようさっと路地裏に体を滑り込ませ大きな嘆息をつく。



「…ったく、なんで俺がこんな目に…」

ぼそりと悪態をつけば目深に被ったフードを脱ぐ。

現れたのは綺麗な顔をした少年であった。

「アンバルツの王族が随分と堕ちたな…」

はぁあ、と大きな溜め息を零した瞬間、後ろから声が響く。

「……貴方今アンバルツの王族って言った?」

「!?誰だっ」



振り向き様に剣を抜き放ち、後ろに居るであろう何かを斬りつける。ヒュッという空を切る音がする。

見るとそこには何も居なかった。

どこへ行った、と辺りを見回すと上から声がした。

「もう一度聞くけれど、貴方はアンバルツの人間なの?」

上を向くと宙に浮き、足に壊れた鎖を巻き付けた猫人族(ケット・シー)の少女がこちらを見下ろしていた。



「……、確かに俺はアンバルツ王国の者だがお前は誰だ?その足の鎖を見るにお前は奴隷だろ」

警戒を解かぬまま少女の問いに答えてやる。

少女は無言で下へ降りてくるとリヤンの前まで足を運びがばっと頭を下げる。


「お願い!私と私の友達を助けて」

「断る」

「即答!?最っ低!話くらい聞いてくれても良いじゃない、馬鹿!」



猫耳をぴんとさせ、怒りを露にした少女はリヤンに飛びかかった。

これが俺と猫人族の奴隷、イリーナの出会いである。



* * * * * * * * * * * *



「…お前の名前は」

「イリーナ。イリーナ=クラネ=アスタフィエフ。貴方は?」

「イリーナな。俺はリヤン、リヤン=バラネフ=アンバルツだ」


あれから小一時間程言い争って俺が折れた。話くらいなら聞いてもいいと言えばイリーナは憮然とした表情から一転し、きらっきらと顔を輝かせ始めた。

時間が掛かりそうだとげんなりしながら人気の少ない路地を練り歩き、一つのカフェへと足を踏み入れ、今に至る。


「それで?なんで助けて欲しいんだ」

「実は、…」

小さな溜息と共に問い掛けるとイリーナは伏し目がちになりながら重い口を開き、ぽつりぽつりと話し始めた。

「…成程。奴隷狩りにあってとある貴族に買い取られたもののあまりの変態ぶりに魔法ぶっ放して逃げて来たと。んで一緒に買い取られた幼馴染君が心配になって助けてくれる人を探していたと?」

イリーナはこくりと小さく頷いた。

あまりの面倒臭さに思わず天を仰いだ。



暫しの静寂を打ち破って出た言葉はリヤンの、

「…最初に言った通り断る」

だった。

「どうして…」

「どうしても何も、俺にもそれなりに事情はあるし、見返りのない仕事はしない主義なんだよ。お前が俺の旅に着いてくる、とかなら考えなくもないけどな」

そう告げればイリーナは俯いて悩み始めた。

これ以上ここに居ても無駄だと判断すると代金を置いてさっさと店を出る。

「あっ…!ちょっと待ってよっ」

中からイリーナの馬鹿でかい声が聞こえてくるが何も聞こえない振りをして歩き出す。

「もうこの街に用はないし、次に行くか」

旅支度をするべく広場へと抜ける路地を足早に抜けていく。



* * * * * * * * * *


あれから小一時間で回復薬やら食料やらを買い込んだリヤンは地図を片手に悩んでいた。



「…次の街へ行くには北のゲートから出て迷いの森を抜けなきゃならないんだよな。迷いの森は確か"案内人"の転職を持つ耳長族(エルフ)を見つけなきゃいけないんだっけか…」

凄く面倒くさい。何故こんなに面倒な道を行かなければいけないのか、謎なところである。

「行くしかないか…」

小さく息を吐き歩き出そうと足を踏み出した瞬間何かに足を掴まれて顔面から地面に飛び込む。


ずべしゃっ


辺りにそんな音が響いて数秒。むくりと起き上がって足を掴んでいる物体を睨みつける。

「……おい、何やってんだこのクソ猫」

「ひぃぃ…!ご、ごめんなさいっ。石に躓いて転んじゃったのぉお!怒らないで!!」

そう、足を掴んでいたのは1時間程前に路地裏で出会ったイリーナであった。

ぺたりと耳を垂れさせてつり目気味の大きな金色の瞳が申し訳なさそうに此方を見上げてくる。こうしてじっくり見てみると汚れてはいるが顔は整っている。余りに長い間見つめすぎたのかイリーナが首を傾げる。はっとして慌てて視線を逸らす。

「……、で今度はなんの用なんだ」


「あのね、私あなたの旅に着いて行く。私の魔法絶対に役に立つから、だから助けてください……」

半ば土下座のような姿勢での頼み事にリヤンは困ったと言わんばかりに頬をかく。土下座までして頼み込む相手を放っておける程冷めた人間ではない。

「……分かった。助けてやるが、条件をもう一つ付け足す。それが飲めないなら諦めろよ」

イリーナが頭を上げてこくりと力強く頷いた。

それを視界に収めればゆっくりと口を開いた--



主人公リヤンとヒロインのイリーナちゃんですね!

詳細はどこかのお話で後書きに書かせて頂く予定です。


亀更新ではありますがよろしくおねがいします~

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