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主人公のいない世界で  作者: 名無し猫
背景二人?と日常の雑談
8/32

-物語8-すぴかブライト

この物語は主人の非日常を淡々と描いた物語です。過度な期待はしないで下さい。

唐突だが、死んだら自分はどうなるか考えたことがあるだろうか。

本当に地獄や天国があるのだろうか。

本当に地獄は苦しく、天国は楽しいのだろうか。

そう、誰もそんな事が分かるわけがない。

もし本当にあったとしても体験したのは死んだ自分であって誰かじゃない。誰にも伝えられないし、理解する事も出来ないのだ。

そう、この答えがでないように、僕も未来を知る事は出来ないのだ。

だが、もし未来を知る事が出来たとしても僕はこの後起こる、否、この後出会う少女とは確実に出会っていたのだろう。

あの、星の様に眩しく、雪の様に白く、闇の様に底が見えない、あの少女には。

そして逃げる事も出来ないのだろう

僕一人ではけして・・・そう、僕一人では。




∽神社階段前∽


それにしても長いな・・・この階段。

普通の神社の階段の四倍はあるのではないのだろうか。

登ってる内に五分カップ麺が出来上がるのでは、と思うくらい長い。

下からでは頂上が見えない。

これを登るとすると、七分は多分掛かると思う。

なんか憂鬱になってきたな。


「それにしても長いですねこの階段。 普通の神社の四倍はあるんじゃないでしょうか。 登ってる内にカップ麺の一つは出来上がるんじゃないでしょうか。 多分七分は掛かりますよね」


またこいつと同じ考えかよ、もしかして(かがり)も如月みたいに僕の心が覗けるのか? まあ、それは無いな。 ただ僕が馬鹿なだけか。


「まったく誰かしら。 神社に行こう!・・・なんてドヤ顔で言っていた人は」


別にドヤ顔はしてねぇよ。


「・・・すみません僕です」


「僕とは誰かしら? 名前、性別、血液型、身長、体重を全部言ってくれないと分からないわ」


「・・・ッ!」


こいつ面倒くさ!


「男子、AB型、155cm、43kg、の音神渚です」


随分前のを言ってみる。


「ん? 知ってるわよ?」


「知ってんだったら聞くんじゃねぇよ! 少し恥ずかしかっただろうが!」


「渚君にそんな感情はないはずよ」


「いやあるよ! あるからね?! 僕だって羞恥心くらいあるよロボットじゃないんだから」


「何を言っているの? ロボットにも羞恥心はあるわよ。 ほら、何処ぞの猫型ロボとか毎日が羞恥心だらけよ」


「なんだ? それは遠回しにその猫ロボ自体が羞恥心の塊みたいな事言ってるよな」


「話がズレてるわよ」


「お前がズラしたんだろ!」


「先に猫型ロボの話を出したのは渚君よね」


「グッ!・・・」


くっ・・・失敗したか。

何なんだこの異常な敗北感は。

篝も篝でさっきから横で笑ってるし。

僕の味方は居ないのか?!


「いやぁ、お二人はいつ聞いていても面白い会話をしますね。 私もまぜて下さいよ」


なにを言い出しやがったこの女は!

これ以上僕の敵がでては、僕の精神がもたない!


「そ、それより早く登ろうぜ! 時間も無・・・時間はあるけど、はやいに越した事はないだろ?」


「そうですね! 早くしないと日が暮れてしまいますしね」


いや、まだ日は沈まねぇよ!

まあ、いいか。


「それもそうね、早く行きましょうか」


そして、階段を登りだしたのはいいが、沈黙は十秒も続かなかった。


「二人はいつ何処で出会ったんですか?」


まだ話して無かったっけ。


「産まれてすぐよ。 同じ病院で産まれたのよ」


そう、僕と如月は同じ病院で同じ日に産まれたのだ。

だがお互いにそれを知ったのは一年前だったっけな。

それまでは喋る事も無く、赤の他人だと思っていたのだ。

だが一年前のある出来事がきっかけで出会い、その事を知る事が出来たのだ。

あの一年前の出来事は最悪な出来事でもあったが、最高の出会いもあったのだ。


最高、か。 僕は一年前までは最高と言う言葉が一番嫌いだった。 自分の限界を決めてしまうというあの言葉が一番嫌いだった。

だが今は違う。 今は最高と言う言葉に限界と言う意味が存在しないと教えられたのだ。

限界は存在しない、限界は四六時中変わると。


全ては自分次第で良くも悪くもなると。

そう言われたのだ・・・とある後輩に。


「そうでしたか。 それで納得しました」


「何を納得したんだ?」


「渚と卯月の相性がいい理由ですよ」


そう見えてるのか? 周りからは。


そんな話をしていると突然声が聞こえてきた。

凄く美しい声であったが、少し不気味だった。


「売れ残りみ〜つけた」


そこには星の様に眩しく、雪の様に白く、闇の様に底が見えない少女が立って・・・いた?

立っていると言うか、少し浮かんで見えない事も無い。

と言うか浮かんでいる。


髪の色は白く、瞳の色は綺麗なサファイアブルー。 髪は長く、腰の下くらいまで伸びていて、服は何と言うか、ゴスロリ・・・それっぽい服を着ていた。


なんだ? いつからこの街は超能力者の訪れる町になったんだ。

しかもゴスロリですか。


売れ残りってなんだ?


「なあ、売れ残りってなんの事だと思う」


小さい声で如月に聞いた。


「多分、今の私達って奪われてないでしょう? 奪われた人が売れていった物だと考えたら、売れ残りは奪われてない人・・・つまり私達の事だと思うわ」


そう言う事か! て事は僕達は今危険か安全で言えば、危険な方だって事だな。


なんか凄い事になってきたな。


はぁ、危ない事がこいつらに及ばなければいいが。


まったく危ない一日になりそうだよ。






スピカとは少女の名前で、ブライトとは眩しいという意味です。

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