-物語5-ねがみチャット
この物語は主人公の非日常を淡々と描いた物語です。過度な期待はしないでください。
まあ、そういう訳で神社までの長い道程をまたまた如月と雑談しながら歩いてるんだが。
うん、だって人が全くいない事を話してても辛いだけじゃん?
まあ、明るく前向きに、みたいな。
それにしても本当に誰も見かけないな。
なんかここまで誰もいないと世界を我が物にしたみたいだな。
……こんな誰もいない世界を我が物にしても悲しい。
逆にイジメにあってる気分だ。
てか、人だけじゃなく犬や猫、それどころか鳥すら見かけない。
いや、確か……紅神の猫はいたな。
紅神の猫、黒猫、主人公の猫……まぁいいか、僕には何の関係も無いのだから。
だけど電気や水などは出ているから、異変が起こったのは酷くてもこの町周辺といったとこだろ。
確信は無いけど。
でも、車が走ってないだけで車が無くなった訳じゃ無いようだ。
これで僕達を残してこの町の人達が一斉にピクニックに行ったという意見はなくなったわけだ。
まあ、そんな馬鹿みたいな意見をだしたのは如月だけれど。
如月も表情を奪われただけで感情を失った訳じゃないから、冗談くらい言う事もある。
まあ、そのたび僕は馬鹿にされるんだけどな。
理不尽だ!
てか、今何時だ?
僕が家を出たのが6時くらいで、猫にひかれかけて、紅神に会って、如月に会って、紅神の家に行って、風切シスターズに会って、学校に行って・・・今は8時過ぎといったところだろ。
よく考えると、今日はたった2時間くらいで沢山の人に会ったな。
いつもは一日に一人二人がいいところなのに。
しかも全員今年で中学生。
僕と如月、紅神がまだ中学二年生。
風切シスターズが今年で中学一年生。
プラス猫。
まったく、僕達は来年受験生だというのにこんな事してて落ちたらどうしよう。
まあ、如月と紅神は勉強しなくても百点をとるのは簡単だろうけど、僕は今の所勉強しないと九十点くらいしか取れない。
だけど皆これでも頭が良いって言ってくるんだよな。
皆って言っても如月とアイツだけにだが。
アイツとは僕が前に言ってた信頼出来る友達の一人だが、今は説明しなくてもいいだろう。
どうせ後々語られるだろう。
てか、さっきから僕が独り言を言ってるようにみえると思うけど、ちゃんと如月と雑談をしながら考えてるんだよ。
「ねえ渚君、この町ってなんで日本地図に無いほど無名なのかしら」
「いや、そんな事僕に聞かれてもわからないよ」
「無能ね」
「……」
「馬鹿ね」
「………」
「人間のゴミね」
「…………」
「もはや人間ですらないんじゃない」
「黙って聞いてれば、なんでそこまで言われなきゃいけないんだよ! 馬鹿で無能だけど人間ではあるからね?!」
まったく、僕が考え事してる時になんでこんなに罵声あびなきゃいけないんだよ!
「っん!!……喋ったわ!?」
「喋るからね?!僕だって人間だからね?!」
「覚えておくわ」
「いやわかれよ!覚える前からわかれよ!」
何なの? 僕って人間じゃないと思われてたの? 少しへこむわぁ。
「頭が?」
「頭がへこんだら駄目だろ! 何、僕に死ねと?」
「誰もそんな事言って無いわ……まだ」
「まだだろ? て事は言うつもりだったんだよな?」
「当たり前じゃない」
不思議な顔された。
「当たり前じゃないからね?! 普通そんな酷い事人に言わないよ?!」
「だって渚君は人じゃなーーー」
「人だよ!! ちゃんとした人! 人間!」
「分かったわ?」
「疑問系じゃねぇか! わかってないよね!?」
「回ったわ?」
「何がだよ?! 回っちゃ駄目だよね?!」
「勝ったわ」
「そうですね! 如月さんの方が勝ってますよ! だからって別に偉くないから、ドヤ顔みたいな態度やめようね!」
こいつ表情は無くても、その分態度で示してくるからな。
まったく、まだまだ神社までの道程は長いな。
とんだ雑談になりそうだ。
まだまだ終わらない一日になりそうだ。
最後まで読んでくれた方ありがとうございました。
チャットとは雑談という意味です。