-物語4-かざきりウィング
この物語は主人公の非日常を淡々と描いた物語です。過度な期待はしないでください。
家の中には人がいた。
「はい、もしもし?」
ん、妹か?
「あのー、紅神海渡君いますか?」
「どちら様ですか?」
おおっと、名前を忘れてた。
「もとクラスメイトの音神っていいます」
「ああ、もしかして貴方が渚先輩ですか?」
「はい、そうです。 なぜ名前を?」
なんで名前まで知ってるんだ?
僕がこの家に来たのは今日が初めてなのに。
「前に兄ちゃんから話しを聞きましたので」
まじか、紅神が僕の事を話していたか。
まあ、一日中一人でいれば目立つか。
まあ最近は二人だけどな。
「兄ちゃんは死んだ!」
・・・は?
今なんて言った?
「嘘は駄目だよ風ちゃん。すみません姉が嘘を。 お兄ちゃんは今朝出かけたきりまだ帰ってきていません」
なんだよ嘘かぁ、一瞬信じちゃったよ。
「わかりました」
「なんだよ一切ほんの冗談だって」
「駄目だよ風ちゃん、変な噂たっちゃうよ」
まだインターホンから紅神の妹達の話し声が聞こえるが、もう用も済ませたから行くとするか。
元気な妹達だな。
次はどこに行ってみるか
うーん……
「学校に行ってみない? いくら春休みでも部活はやっているでしょう」
ああ、学校かあ。 いい案だな。
「学校か、よし行ってみるか」
今の話しでわかったと思うが、僕も如月も部活には入っていない。
普通は入らないといけないのだけれど、僕と如月はある事情で特別に帰宅部である。
歩くこと十分、学校についた……が、一人も人がいない。
なんか廃墟みたいだな、やっぱり奪われたに違いない。
「なあ、やっぱりこれって奪われてるよな」
「ええ、間違いなく奪われてるわね」
「でも、なんで僕達は奪われないんだ?」
「わからないわ。ただ、今の所奪われてないのは、渚君、私、紅神さん、風切シスターズの五人ね」
風切シスターズ?
「なあ、風切シスターズって誰だ?」
「紅神さんの妹さん達よ。 姉の紅神神風と、妹の紅神一切の、神風の風と一切の切を合わせて風切シスターズよ」
「風切って、風切羽のことか?」
「ええ、そうよ」
風切羽って鳥の翼の部分だよな。
神風と一切で風切、か。
風切シスターズねぇ、だれがつけたんだか。
まあ、僕には関係ないのだけれど、奪われてなかったのでいいとするか。
「でも、なんで僕達や紅神達は奪われないんだろうか?」
「さあ、まだわからないわね、何か理由があるのか、もしくはただの偶然なのか」
「でも、偶然にしては出来すぎだよな」
「そうね……これからどうしましょう」
どうするか……そうだ、あそこがいい。
「神社に行ってみないか?」
「神社って、あそこの?」
そう言って如月は山を指した
「ああ、行ってみよう、御神神社に」
行ってみようとは言ったが学校から神社まではおよそ、10kmある。
出来れば行きたくないなあ。
でもしょうがないか、こんな状況だし。
ああ、まったくよく歩く一日になりそうだ。
まあ、健康にはいいし。
なあ巫琴、僕達は行くぞ、お前のいた場所に。
何があるかわからないが。
何もしないよりはましだ。
ああ、本当にとんだ春休みだよ。
最後までみてくれた方ありがとうございました。
ウィングとは翼と言う意味です。