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隣の部屋から微かに泣き声が聞こえる。青年は、勉強をしていた手を止め隣の部屋に直行する。泣き声はベッドの下から聞こえていた。昼寝をしていた赤ちゃんはベッドから落ちたようだ。青年は頭とお尻に手を回し優しく抱き抱える。
「よしよし。大丈夫。カレンちゃん。」
カレンと呼ばれた赤ちゃんの泣き声は次第に小さくなっていく。
「どうしたの?」
「姉さん。カレンちゃんがベッドから落ちてたから。」
20代前半の女性が部屋に入って来た。赤ちゃんの母親で青年の姉である。青年は姉に赤ちゃんを預けた。
「ん~。痛かったね~。よしよし。」
青年の姉は、ベッドに赤ちゃんを寝かせながらあやしている。
「アー。アー。」
赤ちゃんは青年の方を見て笑った。青年はその笑顔を見て微笑む。この時、既に青年はカレンの虜だった。