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起動したてのアンドロイド  作者: 葉藻阪 松園
第一章:家族になったアンドロイド
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連治は猿でもできる反省をする

イライラする。こんな感情は久しぶりだ。


なんでこんなに不機嫌なのか分からない。それがまたイライラを加速させる。


「お風呂開いたわよ!」


ベットの上で仰向けに寝ていると、隣の部屋に馬鹿姉がそう叫んで突撃していった音が聞こえた。


何か姉が喚いているようだ。内容までは分からない。

しばらくするとキュッキュッと車輪が廊下にすれる音がして隣の部屋から少女が出ていく。おそらく風呂だろう。




まずは落ち着こう。そして、考えを整理しよう。

そう考えて目をつぶった瞬間に突然部屋の扉が開けられ、今度はこちらの部屋に姉が飛び込んできた。


「連ちゃーん、愛してるわ―」


暑苦しい言葉を吐く姉が、寝ている俺の首に腕をまわして頬ずりをしてくる。

馬鹿姉を引き離そうとすると、もう照れちゃってと呟いて、意味深な瞳でこちらを凝視してきた。




なんか言いたいことあるのかと聞くと、勘違いも甚だしい答えが返ってきた。


「ごめんね。連ちゃん。

さっき、久美ちゃんとばかり話してたから、妬いちゃったんだよね。

大丈夫。私、連ちゃんのこと大好きだから」


違う。断じて違う。そんなことでイライラするわけないだろう。


反論しようとすると、首にまわした腕をさらに締め付けてきた。




まず引き剥がそうか。

とりあえず、実力行使することに決定し、姉が首に手を回せないように両手を伸ばして姉の両肩を押さえつける。

力では、もう姉に負けることはない。


体を離されたことに不満げに口をとがらせながらも、少女と初めて会った時のことを長々と語り始めた。

恋愛小説の主人公がお姫様に出会った場面でしか使わないような華美な言葉で装飾して。




「彼女見てると、ぎゅっとしたくなっちゃうよねー。

あっ、連ちゃんも、したらいいのに。

めちゃくちゃ抱き心地いいのよ」


犯罪行為に同意を求められても困る。


人の話を聞かない姉の話をききながら、この状態になったら満足するまで話終わらないんだよなと連治は心の中で呟く。




「でね。絶対彼女ツンデレだと思うの」


これが姉の最終結論らしい。

姉の最後の結論に至るまでの過程が全く分からなかったが、さっきまで感じていたイライラはいつの間にか全くなくなっていたことに気付いた。


ほんと馬鹿姉と話してると調子狂う。




そう感じていると、少女が風呂から上がったのだろうか、隣の扉が開く音がした。


ふっと、部屋に案内した時に無表情な彼女に一瞬浮かんだ不安げな表情が思い出される。




少しずつ後悔の念が大きくなっていくと、突然、姉の携帯に着信があった。


「あら、こんな時間に仕事の電話だわ」


やっと話が終われるな…。




姉は一度部屋を慌てて出て行こうとするが、扉近くいった後に再びこちらに引き返してきた。


不審に思う間もなく、耳元でこれからは3人で頑張ろうねと囁いた後、頬にキスをしてくる。




「おし、3人で幸せになるぞー」


小学生か?

姉が勝手に大声で宣言して部屋をようやく出ていく。

また隣の家の田中さんに文句言われそうだ。話長いんだよな…。しかも途中から毎回戦国武将の話になるし。

今回の罰と思えば耐えれるかな…。

姉にこの日何回目かわからないため息をもらし、相変わらず嵐みたいだと嘆くしかなかった。


2011年 07月 26日―投稿

2011年 08月 04日―改定―迷惑かけます

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