表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
起動したてのアンドロイド  作者: 葉藻阪 松園
第一章:家族になったアンドロイド
14/30

久美は電波少女になる


夕食の後、一人で自分の部屋に帰ってくると、先ほどのターゲットの言葉が電脳中枢で突然再生された。


「凛音と似ているけどやっぱり全然違うんだな」


やっぱり不審に思われているのかも…。


彼の双子の妹に似せて作製されたためどうしても比較われるのは仕方ないことなのだけれど…。


それによって違和感を感じてしまうかもしれない…。




通信機を取り出しシードのアドレスを選択したのち、通信に応答があるまでにもう一度報告の内容を整理していると、今回はすぐにシードが出た。


まずムーンだと名乗る。

その後、ターゲットはこれから違和感を覚える可能性があると報告した。




シードが理由を尋ねてきたので、余りにも双子の妹に似ているので頻繁に比較されることと、それにより違和感を感じる可能性があるのではないかと答えたところ、確かに危険だなと呟いた後シードはしばらく沈黙した。




「では、魅了電波を使用してみるか」


魅了電波と名なんなのだろう?


長い沈黙ののちにシードが提案してきたのは、魅了電波という聞いたことのない能力だった。


そのため使用方法と効果をシードに尋ねることにした。




「魅了電波は、近くにいる人間の神経細胞に働きかけ、視界にあるものに好意を持たせる電波だ」


好意?好きになってくれるということなのかな…。


「それで問題が解決するのですか?」


「ああ、人間は、好意を抱いた相手に疑問を抱かない特性を持っているから、問題が大幅に解消されるはずだ」


好意を抱いた相手に疑問を抱かない…。

本当に人間は変わっている…。

人間のことが未だに理解できない…。




シードは魅了電波の話を続ける。


「メンダスィウンと唱えれば、魅了電波が発生する」


メンダスィウン?


どういう意味ですかと質問したところ、魅了電波の開発者が一番好きだった映画のタイトルだと返答があった。




シードはそう解説した後、さらに魅了電波の特徴について話を続けた。


「一度唱えればずっと持続するが、唱えた直後が一番電波の強度が強い。

できるだけターゲットの近くで使えば、ターゲットがムーンに好意を抱くようになるだろう」


唱えた直後…。

ターゲットの近くで唱えたら、不信がられたりしないだろうか?

小声でささやけば、大丈夫かな…。




「魅了電波を使用するときは、できるだけターゲットの視界に入るように正面に立てば、魅了電波の影響を最大にできるぞ」


「具体的にはどのくらいの位置に立てばいいのですか?」


「目を見て会話するようにすれば大丈夫だ」


目を見て…。

目を見て話すとなぜか心臓の拍動が速くなる…。

大丈夫だろうか…。




シードは、最後に効果が出ているかどうかの確認方法を久美に告げた。


「効果があれば、相手の瞳孔が開いて、頬が赤くなる。そうなれば、相手に好意が植えつけられている証拠だから、確認したらいい」


瞳孔…。

確認するためにも、目を見る必要があるみたい…。




魅了電波の説明が大体理解したので、魅了電波発生プログラムをインストールすることにした。

ハート・プログラムと同様の方法で。あの頭痛の伴う方法で。




頭痛が治まった後、シードがほかに質問がないのかと聞いてきたので、最近なぜか気になり始めたことを質問する。


「なぜターゲットが危険だと分かっているにもかかわらず、排除せずに観察するのでしょうか」


久美の質問を聞いた後、そういえば言ってなかったなと呟き、シードは話を続けた。


「彼の子孫に、非常に優秀な人間がいてね。大きくアンドロイドの発展に貢献したのだよ。

もちろんその子孫がもう一度、同じ発見をするかどうかは分からないが、できるだけ、同じ歴史を繰り返したいのだよ。その方が、人間をコントロールしやすいからね。

それに、同じ発見をしなくても、別のアンドロイドに有意義な研究をしてくれる可能性もあるからね」


優秀な子孫…。

できるだけ同じ歴史を繰り返したい…。

つまり、ターゲットをできるだけ排除したくないのかな。




シードはさらに話を続けた。


「ちなみにその大きな発見というのが、認識阻害電波なのだよ。

研究者自身に認識阻害がかかっては、研究がなかなか発展しないからね。

認識阻害電波が効きにくい彼の子孫だからこそ発見できたのだろうね」


認識阻害電波の開発者…。


そこまで重大な発見をした子孫がいるなら、確かに排除はしない方がアンドロイドの発展には有益かもしれない。


そんなことを考えていると、ターゲットの姉が機嫌のいいときに口ずさむ鼻歌がなぜか電脳中枢で流れているのを感知する。

なぜだかわからないけれど、機体が喜びを感じていることが確認される。





しかし、シードが話題を変えてゴーハの話をしてきた瞬間にその鼻歌が鳴りやんだ。


「そういえば、今日はゴーハと買い物中に接触したようだな」


「はい。ターゲットをうまく騙せているかどうかと・・・」


ゴーハには全く興味はなかったのだが、シードはさらに彼の話を続けてきた。


「そうか。

奴は、人間の中では、使える方だ。

何より、人間の意見は、ターゲットと良好な関係を構築する上で参考になるだろう。

我々では、理解しがたいことを人間はすることがあるからな。

何か分からないことがあったら、奴にも連絡してみろ。

携帯の番号は、伝えていただろ」


「はい」


「では、引きつづき、監視を続行しろ」


「了解いたしました」


通信を切ると、魅了電波をどう使えばいいかと考えていた。

完全にゴーハのことは忘れて…。



2011年 07月 30日―投稿

2011年 08月 04日―改定―迷惑かけます

2011年 08月 07日―改定―迷惑かけます


【感謝】

今日初めて評価をつけてくれる人がいました。

どこのどなたか存じ上げませんが、この場を借りてお礼申し上げます。

どこぞの校長のスピーチみたいになってしまってすいません。


それから、初めてお気に入りユーザー登録してくれる人もいました。

ありがとうございます。


いいことばかりで、ちょっと不安になってきますが…。


読んでくれている人もありがとうござます。

これからもがんぱってい書いていくので、読んでくれると大変喜びます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ