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魔力ゼロって言われたけど、無限に溜まってたのでダンジョンから国を作ります  作者: 蒼野湊


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第58話 測れない敵

 王都は、通界を「敵」として測ろうとした。


 正確に言えば、

 敵にした場合、どうなるかを知ろうとした。


仮想敵設定


 非公開の軍務会議。

 地図と数表だけが並ぶ、実務の場。


 感情論は、ここにはない。


 あるのは計算だけだ。


 軍務担当が、淡々と告げる。


 「通界圏を仮想敵として設定する」

 「全面戦争ではない」

 「限定衝突、もしくは圧力行使を想定」


 誰も異を唱えなかった。


 やるかどうかではない。

 やれるかどうかの確認だ。


最初の違和感


 参謀の一人が、資料をめくりながら言った。


 「まず、補給線ですが……」


 言葉が、止まる。


 「どうしました?」

 財務官が促す。


 「通界を経由せずに、補給線が引けません」


 一瞬、室内が静まった。


 「迂回は?」

 「可能ですが」

 「輸送量が三割以下に落ちます」


 「食料は?」

 「通界市場依存が六割を超えています」


 「魔力資源は?」

 「精製工程の半数が、通界式です」


 数字が、次々と積まれていく。


計算が崩れる


 軍務担当が、低く唸った。


 「つまり……」


 誰かが、続きを言う。


 「通界と敵対した瞬間」

 「補給が止まる」


 「いや」

 別の参謀が首を振る。


 「止まる前に、混乱します」

 「流通が先に壊れる」


 「国内が?」

 「はい」


 沈黙。


 紙の上では、軍は健在だ。

 兵力も、装備も、戦術も。


 だが――

 戦争を支える“生活”が、先に死ぬ。


決定的な一文


 最後に、財務官が言った。


 「戦争を始めた瞬間」

 「敵より先に、我々の内政が崩壊します」


 それは、

 敗北宣言ではなかった。


 戦争不成立の宣告だった。


結論なき結論


 王が、ゆっくり口を開く。


 「勝てるかどうかではないな」


 誰も、否定しない。


 「戦争が、成立しない」


 それが、唯一の結論だった。


 攻められない。

 守る理由もない。


 だが、

 敵に回せない。


会議後


 会議が終わり、

 人が散っていく。


 最後に残った軍務担当が、ぽつりと言った。


 「……測れない相手だ」


 数字は出た。

 計算も終わった。


 それでも、

 勝ちも負けも存在しない。


 そんな敵は、

 王都にとって初めてだった。


小さなドーン


 この日。


 王都は理解した。


 通界は、

 倒す相手ではない。


 対等な相手でもない。


 戦争という選択肢そのものを、無効化する存在だと。


 そして。


 それが最も厄介な形だと。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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